第四百二十九話 ロブロードの体験~レェンが夢中になれる事 後編
本日は前住居の立ち合いがあるので早めにアップします!
全国的に雨。こんな日は家でゆっくり小説を書いていたい……!
休憩を終えたレェンたち。いよいよ内容について詳細を聞いていく。
「それじゃこっからは私が教えるっしょ。これが防御に使うブロックピース。触ってみて」
「んーと、これは……何だろう? 僕が知らないものの形かなぁ」
「これはモンスターっしょ。スライムとかゴブリンとか」
「モ、モンスター!? これで防御するの?」
「防御するタイプによるっしょ。例えばスライム。これは当たると突き抜けるっしょ。防御効果は
あまりないけどアタックピースの速度が通過時に落ちるっしょ。練習だからまず、アタックピースで
スライムを狙ってみるっしょ。アルン、位置の指示をしてあげて」
「わかった。初めてだからうまくいくかなぁ」
ベルディアがスライムの防御ピースを置くと、ぴゅるいーと喋らないスライムが喋る。
「お兄ちゃん、この方角であってる?」
「レェン……凄いぞ! そのまま弾けばあたりそうだ。何でわかるんだ?」
「声がしたから、そっちかなって」
「やっぱり……凄い五感ね。鋭すぎて怖いくらいっしょ。撃ってみて」
「こう……? えい!」
ぱちりと撃たれたアタックピースルインが、スライムへと触れる。
【一閃!】
【斬撃によりスライムの防御効果は未発動になります】
「初めてにしては上出来すぎるっしょ。今ので本来はスライムの防御効果が発動して動きが遅く
なるんだけど、ルインのアタックピースは斬撃系だから、スライムを倒しちゃった。
遅くならずに通過できちゃう」
「成功したの? 倒したってこと? スライムを?」
「そうっしょ。これで場からスライムはいなくなる。次はファナの弾く番っしょ」
「今回は練習だから、ニーメをルインにぶつけるわよ。 えいっ!」
スカッ
「……ファナ。真面目にやるっしょ」
「だだ、だって難しいんだもん、これ! 邪魔なのよ、前の方が!」
「いっそもぎ取ってあげるわよ、そんなもの。どいて! 私がやるわ!」
「くぅ……こんなハンデがあるなんて思いもしなかったわ」
「ごめんねレェン。使えないお姉ちゃんの代わりにもう一回やるわね。えいっ!」
スカッ
「……何やってるっしょ。二人とも」
「だってだってぇー。ルインにニーメをぶつけるなんて私には出来ないわやっぱり!」
「もういいっしょ。私がやるっしょ」
ベルディアが再度ニーメのアタックピースを弾き、ルインのアタックピースにあてると――――。
【アタックオン】
台の上には小さなルインとニーメが映し出されていた。
ニーメが弓を構えてルインを射るシーンが浮かび上がり、ルインのアタックピースが弾かれる!
台の下には落ちなかったが、かなり移動した。
【やれやれ。命拾いしたな】
「これは妖魔国に来てリルたちを助けに行く途中のルインって設定かしら。かなり前のものね」
「ニーメは最新のニーメよ。うふふ、本来なら勝ち目はないけど、アタックピース同士はぶつけあえば攻撃したほうが必ず弾くわ。アタックピース自体に特殊な防御効果でもない限りね」
「最後にロードピースについて説明するわね。これを落とすのがこのゲームの最大目的かしら。
最も交換される可能性が高いのがこのロードピースになるわね。今のところ……メルザやジオ、フェルドナージュ様やイーファなんかがこのロードピースになっているわ。ベルータスなんかもいたわね……」
「このロードピースの効果は自分の番の時ではなく、相手の番の時に効果が発動するものばかりっしょ。
例えば相手の弾く速度を落としたり、間を通す邪魔をする柱を建てたりね」
パチリと一枚のロードピースを置くベルディア。
【俺様はメルザ・ラインバウト様だぜ。にはは!】
メルザのロードピースの効力を発揮させると……。
【いくぜ! 燃刃斗!】
台の上に炎の剣が現れる。現在は相手側にピースが無いため演出だけで終わった。
「くぅ。やっぱりメルちゃんは可愛いっしょ。これは使わない用にとっておくっしょ」
「なんであんたばっかりいいやつ持ってるのよーー! ずるいわ! 私なんてビノータス
渡されたのよ、ビノータス!」
「まだいいじゃない! 私なんてこないだ来たばかりのデンジー三兄弟よ?」
「あのーお嬢さん方、掃除終ったんじゃが……」
「次は温泉場を掃除しなさい!」
「わし、これでも魔王なんじゃが……仕方ないのう……」
言い争う三人娘を後目に、口をぽかんと開けて驚き続けているレェンとアルン。
覚える事がとにかく多い。
「……僕、凄く楽しいかも。こんな楽しい遊び、生まれて初めてだ」
「レェン。俺もだよ。一緒に頑張って覚えよう!」
「ここにいる町民全員、夢中になってやり始めたところよ。エーナが沢山おはじきを作っているから、二人
がこういうのを作ってほしい! って要望を出せば作ってくれるんじゃないかな? ルインから託された
って言えば絶対よ」
二人は大きく頷き、台の上に乗っているおはじきを、一つ一つ触り確かめていた。
「これだけじゃよくわからないだろうから、紙に書いてまとめておくわね。ところで……」
『誰が一番だった?』
「ええーっ? 僕に言われても、途中から誰が誰だかわからなくなったよー。だから
全員同じ……かな?」
「ふうん。引き分けってのもありかしら」
「三人共一番ね」
「その手があったっしょ!」
無事一軒落着した? 三人だった。




