第四百二十三話 天然温泉場を造る
どっちも二千文字越えてしまった!
私も温泉に入りに行きたいです!
暑い時こそ温泉ですね!
「生き埋めにしましょうか」
「だめだって! ジェネストは物騒なんだよ! 顔は見られたけど、誰だかは名乗ってないし
わからないだろ? だから、ちょいとウォーラスにお願いだ。ある程度力をこめれば突破できる壁で
こいつら囲んでおいてくれないか?」
「わかったかべ。それくらい簡単だかべ」
「いや本当に助かる。壁の身魔族ってのは凄いんだな」
「そう言ってもらえると嬉しいかべ」
ウォーラスが七人を壁で囲っているうちに、メルザの許へ行き事情を説明する。
神の空間を収容して、レウスさんたちも封印に戻した。
「先生、ある程度素材とかは集まったかな? レミもここでの依頼はこれくらいでいいか?」
「ええ。おかげ様で私の薬箱は一杯ですよ。助かりました」
「こっちも簡単な依頼から中くらいの依頼までは終わりました! それに、ここドラグア山脈の
奥に行けば、この人たちは到底来れない地域だと思いますよ?」
「セーレ。どうだ? そろそろいけそうか?」
「ヒヒン! ばっちり行けるよ! 早く乗って! ヒヒン!」
「よーし……ずらかるぞー!」
俺たちは気絶してる七人を、壊れる壁で囲み、そいつらが来れないという地域へと足を運ぶことにした。
しかしあいつら竜にのってたんだよな。本当に来れないのか?
「ヒヒン! 何か凄く暑くなってきたよね。この先火山でもあるのかな? ヒヒン!」
「火山か。確かにこれだけの山脈ならありそうだが……」
「ドラグア山脈、奥は活火山が多いので噴煙により強い竜以外近づけません!」
「ヒヒン! 僕も暑いの苦手だよー! 先に言って欲しかったな! ヒヒン!」
「う……なかなかの熱波だ。メルザ、大丈夫か? 妖氷造形術……氷塊のドーム!」
自分を中心に氷の幕を造り展開する。これで全員少しは涼しいだろう。
しかしこっちの世界に来て初めて見る活火山だ。前世にも存在はしたが、近づくような事はまずない。
ましてや上空から見る機会なんて、普通はありえない事だろう。
「しかし山脈というだけあって、無数の山があるんだな、ここは」
「ここはゲンドールの世界でも有数の山岳地帯ですからね。だからこそ多くの竜種が確認できるんですよ」
「レミ。この辺りで休めそうな場所はあるか? そろそろ日が暮れる。一度しっかり休息をとるべきかもしれない」
「それなら、あちらへ!」
レミの指さした方角へ向かうよう指示すると、セーレがその場所へ向けてひとっ飛びする。
この匂いは……もしかして!
「天然温泉があるかもしれないぞ。これはいい、みんな。風呂に入れるかもだ!」
「ほんとか? ルーンの町以外で温泉あるのか? やったー!」
「お湯ですか? 確かにあるかもしれませんけど、すごいにおいですよ?」
「これは硫黄の匂いだ。粉塵爆発やガスにさえ気を付ければいい効能がある」
「硫黄でしたら私も欲しいですね。あれは皮膚炎などの治療にも使えますから」
指示してセーレに降りてもらったのは少し離れた場所。念のため色々調べてからだ。
まず水源は……やはりある。通気性は悪くないからガスの充満する心配はなさそうだ。
位置で言うとがるドア山脈の麓から北西に一直線んに抜けた反対側の麓らへんといったところだ。
気温は少し蒸し暑いくらいだが、こちらの麓付近は草原になっている。
これだけの草原ができるということは、十分な土壌と水がある証拠だろう。
少し歩いて辺りを調べると……上部の崖部分から下方に落ちる湯気を発するそれがあった。
「あった! やっぱり、天然の温泉だ。温度は……あっつ! こりゃ氷とか用意する必要があるな」
「任せるかべ。ここに壁を作って囲むかべ。ルインはこの辺の草を刈り取ってほしいかべ」
「よーし任せろ! 剣戒! 封剣!」
「てぃーちゃん久しぶりの登場ー! 御前、麿をもっと呼ぶでごじゃろ!」
「いやだって、お前エーナがいないとやる気ないだろ……」
「そんなことないでごじゃろ! やる気あるでごじゃろ! このてぃーちゃんの力、見せてやる
でごじゃろ! ……それで何するでごじゃろ?」
「……草刈りだ」
「草刈りのために呼び出したでごじゃろ!? 酷いでごじゃろ!」
「いくぞ! 妖赤星の……草刈りの将門!」
「一体だれでごじゃろー!」
「日本三大怨霊を文字っただけさ! シッ!」
一気に周囲の草を刈り取ると、あっという間に綺麗になった。可燃性の技は使用できない。
これで十分だろう。
その間にウォーラスが囲い壁を作ってくれた。
「ちょいと熱い温泉水をこの壁部分に流して平気か?」
「やってみて欲しいかべ。うまく調整するかべ」
微妙に調整しながら、斬撃で温泉水の流れる位置を調整すると……とてもいい感じに
壁へと温泉が流れ込んでたまっていく。細い苦し水の場所を用意して……完成した。
着替えられる壁部屋をもう二つ作ってもらい、準備は万端だ。ウォーラスがいてくれるだけで
俺たちの旅のできることが大きく広がった。急ぎみんなのところへ戻る。
「みんな、温泉準備出来たぞ。先生、布とかあるか?」
「はーい私持ってます。五枚でいいですか?」
「俺とメルザ、レミ、シュイオン先生、ジェネスト……でいいか、布をまくのは」
「ちゃんと着替えられる男女を分けた場所まで用意されるとは……さすがですね」
「当然だろう。ちょっと温度が高いから……妖氷造形術、氷の柱! ……よし、これくらいか」
中央に氷の柱をたてて、解けながら温度調整を確認する。壁に逃がした分温度も緩和されていて、
かなりちょうどいい温泉が完成した。
「よし、久しぶりの温泉、ゆっくりしよう!」




