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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第四章 メルザの里帰り

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第四百二十二話 傭兵団の常識

「あそこか……」


 一足先に山頂付近まで登った俺。ペースを合わせているが、一人なら割と余裕で

すぐに山を登り切れる。

 戦士風の男二人と変な恰好の女が一人。あんな恰好で普通山に来るか? という恰好だ。

 戦士の一人は分厚い両手斧、もう一人が軽装の戦士。

 まぁまぁ戦えそうだが、俺やジェネストの敵じゃない。


 これなら放置しておいても問題ないな。



「赤閃」

「グギイイイーー」


 不意に上空から襲い来る竜種を切り伏せ、メルザたちの許へ戻る。

 山頂付近の方が戦いやすいが、材料を集めるなら中腹だったな。


 

 日が沈むまでにはもう少し時間がある。急ぎ採取を終わらせてしまおう。

 ――――。



「おかえりルイン。どーだった? つよそーな奴らだったか?」

「いや、大したことは無いかな。ジェネストが十秒もあれば倒せるレベルだろう」

「えー!? 十秒って、それ対峙したらほぼ詰んでる状態じゃないですか!?」

「まぁ、ジェネストだし……アニヒレーションズなんてまともにくらったら洒落にならんぞ」

「ふっ……あれをクリムゾンと同時に行ったらどうなるかわかりますか」

「そんなみじん切りになりそうなの、見たくないよ! ……それより日が落ちる前に採取をすませよう。

先生、必要なものを伝えてくれ。手分けして探そう」

「それではまず……」


 先生が欲しがりそうな素材や、レミの受けた依頼の素材を手分けして探す事にした。

 メルザは体力面と安全面を考慮して、セーレを置いてここでお留守番。

 依頼の方はレミが大きな鞄に入れていくらしい。内容物が軽くなる術式が施されているらしい。

 いいマジックアイテムだな。いや、ユニークか。

 

 さっきの奴らがいる方面は念のため俺とジェネストが向かう。

 一応警戒しておいた方がいい。聞こえた会話が物騒な内容だったし。

 できれば穏便に済ませたい。

 だが――――「キャーーー!」


「今のはレミの声か? くそ、何かあったか」

「先行してください。私は今の声できっと動き出すあちらを警戒しておきます」

「頼む。殺すのだけは無しだぞ」

「弱い者を痛めつける趣味はありませんから」


 バネジャンプで跳躍してみると、レミとレウスさん、シュイオン先生に、何者かが襲おうとしていた! 

 こいつら、さっきとは違う奴だが、山頂付近から見たときはどこにもいなかった。

 一体どっから沸いた? ……いや、わかった。少し浅はかだった……こいつら竜に乗ってきたんだ! 

 ってことは十中八九、さっきの奴の仲間だ。数は四人。

 俺たちが登っていくとき、誰かに気づかれないような行動はとらなかった。

 傭兵ならそれくらいの痕跡、見て気づくか。

 一応レウスさんに相当警戒しているようだが……レウスさんの出す炎だとあいつら、殺しちゃうな……。


 ここは一つ……あれ? ウォーラス? 様子を見ていたら、壁から手が出て四人のうち二人を

引きずり込む。

 レウスさんはシュイオン先生をかばうように前に立ちはだかり、今まで見せたことがない黒色の鎌を

取り出した。怒っている。

 先生が怪我でもしたのか!? 


 残った二人はそれを見て逃げようとしている。まずい! 


「レウスさんストーップ! 殺しちゃだめだ」

「なんでだ? こいつら俺の友達を傷つけた悪い奴だ。いいだろ?」

「ダメだ。先生はどうみても軽傷。脅すつもりか何かだったんだろう。

その鎌、かなりの殺傷力だろう? 殺しちゃうと話が聞けない」

「ひ、ひいー-! お助けを! どうか、どうか!」

「近づくな。油断させる算段だろう。攻撃できる範囲に入るな。武器を捨てて投稿しろ。

そうする余地があると思ったからレウスさんを止めたんだ」

「……わかった。これでいいか」

「いいや、動くな……剣戒。赤閃!」


 大人しくしているそいつらの横をかすめるように、赤閃を放つ。

 勧告としてはこれで十分。レウスさんには勧告の方法を覚えてもらいたい。

 ちらりとレウスさんを見るとサムズアップしてる……今のでわかったのか!? 

 

「じょ、冗談じゃねえ。俺たちは傭兵団だ。ちょっと可愛いお嬢さんに道を聞こうとしたら

男が邪魔をして、それで……」

「それで何をした?」

「ついかっとなって手を……がはっ」

「お前の言うかっとなって手をあげたってのはこういう事だろうが! なぜ道を尋ねたなら親切に

応対しない! なぜ平気で他人を傷つける! なぜいきなり見ず知らずの人にからむ! 

全部お前の都合だろう! 少しは巻き込まれる者の身になって考えろ!」

「う……ぐ。それが傭兵団の常識だろうが! 気にいらなければ敵対するのは当然だ」

「それはお前たち傭兵団の……だろ」

「ぐぅ……」


 二人の傭兵のみぞおちに拳を叩き入れ、意識を失わせる。

「先生、大丈夫か?」

「ええ。少し切り傷が出来た程度です。それより……医者として礼を言うのは私です。

レウスさんはあのままだと怒りに任せて彼らを殺してしまったかもしれない。相手が命を取りに

きた相手ならそれもやむなしでしょう。ですがそうではない相手の命を奪うのは避けたい。

その気持ちを、汲んでくれたんですね」

「それもあるが、こいつらを殺せばこいつの所属する傭兵団とは恐らく敵対関係になる。

それは避けたかったんだ……と言ってもどうやらもう、敵対は確定だな」


 三人をずるずると引っ張りながら連れてくるジェネスト。

 ウォーラスも壁から気絶した二人をひきずりだしてまとめた。


「さて、どうすっかな、これ……」


 七人の伸びたハルクまーせなリーズを前に、少々頭を抱えていた……。

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