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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第四章 メルザの里帰り

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第四百六話 久しぶりの酒場で


「なんだいレミちゃん。うるさいよ。どうしたんだい?」

「主任、大変なんです。この方……あの幻妖団メルのルインさんて、それでそれで、有力な情報まで……」

「……レミちゃん。今日はレンズ閉めてもらえるかな。二人でゆっくり話したい。

ルインさん……で間違いないのかな。ああ、警戒しないでくれ。私はここ、バルバロッサレンズ支店の

主任をしているアビオラという。そうだな……いきなり警戒を解けといっても難しいだろう。

君の指定する場所で話をしようか」

「それじゃ、ここにあるこの酒場で。仮にあんたが俺を襲い殺そうとしてもそれは無駄だから

そんなに警戒はしていない。それなりにいい目をもらっているんでね」

「いやいや、幻妖団メルの創立から知っているよ。何せライラロ殿やハーヴァル殿、ベルディス殿まで

参加している上、奇怪な術を使う凄腕が何人もいる集団と聞いては、色々調べない方がおかしいからね」

「俺は少しレンズを警戒していた。そもそもガーランドはレンズに所属していただろう。

傭兵集団ガーランドだったか?」

「そうだ。そして我々も気付けなかった。彼の危険さに。ミディ竜騎士団長を失って、次から次へと

彼の悪行が出てきた。お陰でレンズはてんてこまいの大忙しだ。猫の手も借りたいって時に君の登場。

本人かどうか、疑うのも無理はないだろう?」

「……ああ。続きは酒場で聞こう。そちらのお嬢さんも一緒で構わないよ」

「い、いいんですか? 急いで店じまいします! あっ、その前に主任。情報提供を頂いたんですけど、出どころも確かですし、お金、一応持ちだして置いた方がいいですよね?」

「そうだね。確定したらお渡ししよう。私らは先に行ってるから、レミちゃんは後から来なさい」

「はぁい! すぐいきまーす!」


 この主任と二人きりだと、少々息が詰まりそうだ。いや待てよ? 女性店員をナンパした! 

 みたいな扱いにならないよな。これでも結婚している身。メルザに焼き殺されないか心配だ。

 いやいや平気だろう、きっと。そもそもナンパじゃない。このおじさんと二人きりの空気が……。


「おいおい、大丈夫か? そんな真剣な表情をして」

「済まない、こっちの話だ。それより俺がいない間、ハーヴァルさんたちが活動していなかったか?」

「ああ、いくつか依頼はこなしていた。だからこそ君らは全面的に支持を受けている。

勿論団長である君とメルザ氏の安否が不明なため、団として存続させるべきか話し合いが持たれていた。

ただ、必ず無事だという声を聞いてな。登録は抹消されていない」

「そうか……すまないが登録証は持ってきていないんだ。何をもって俺と証明すべきか……」

「それは問題ない。こちらで確認はできる。レミちゃんが持ってくるはずだからそれはいいとして。

こっちも仕事後で一杯ひっかけたかった所だ。酒場の選択は助かるよ」


 歩きながらアビオラ主任と話しているが、警戒を解けない。この人、かなり強い。

 主任と言っていたが、なぜ傭兵団の受付内部の人間からこれほど強さを感じるのか……。


「君は随分と警戒心が強いようだ。傭兵としては当然だが、その若さで死線を相当越えてきたようだね」

「そういうあんたは町の受付主任にしちゃ相当な手練れだ。警戒して当然だろう」

「うん? はっはっは! そうか俺もまだ捨てたもんじゃないだろう。これでも昔は

双斧のアビオラと恐れられたもんだ。だがな……」


 右腕の裾をたくしあげると……なるほど。これじゃ握れない。


「ただの斬った後じゃないな」

「よくわかるな。こいつは毒にやられた。ほっときゃ全身に広がるからな」

「……なるほど」

「お、ここだ。俺も来るのは久しぶりだな」


 酒場の店内はそれなりに人がいる。最奥の場所が空いていたので迷わずそっちへ行くと、店主に

止められる。


「お客さん、悪いがそっちは有料だぜ」

「おっと親父、悪いな。こいつで頼む。大事な話がある。他の脚が近づかないようにしてくれ」

「なんだアビオラさんの知り合いか。確かに。わかった、ついでに一杯つけとこう。何がいい?」

「シャンディーガフとか、あるか?」

「旦那、なんです? そのシャンディーガフって」

「いや、悪い忘れてくれ。すっきりした軽めのやつで頼む」

「それじゃヴィオエールってのがおすすめだ。ここらに実るヴィオって木の実とエールを割ったやつだ」

「それじゃそいつで」

「後これとこれとこれとこれとこれと……これとこれと」

「お、おい! どんだけ頼むんだよ! そんな食えるわけないだろ!」

「なーに言ってんだ。こんな量だと全部レミちゃんが食ってもたりないぞ?」

「へ? あの子そんなに大食いなのか?」

「あん? お前さんここに来るのは初めてか? ここのやつらは全員……」

「うわ! まじかよ。よく見たらテーブルのやつら全員とんでもない量食ってる……」

「はっはっは! この町のやつらはみんなよく食うのさ。だからなかなか裕福にはなれん」

「そういうことか。町の雰囲気は凄くいいが、食欲が半端じゃないのか。その割にみんな痩せてるな」

「ここのやつらはみんなよく働く。だからかもな」

「はいよ。ヴィオエール二つ。一杯目はサービスにしといてやる。気に入ったらどんどん頼んでくれ。

食事も持ってくるが、聞かれたくない話があるようだから、合図をしてくれ」

「おう。悪いな親父。レミちゃんも来るから、来たら飲み物持たせてここへ来させてくれ」

「わかったよ。そんじゃごゆっくり」

「さて、何処から話すか」

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