第四百話 引きずり込まれる謎の手
うわーおー、ついに四百話です。間話を入れると既にとんでもない話数。
ここまで見てくれてる方たち、大感謝です!
引き続きがんばります!
にしても、フルタイムで肉体労働してても、案外書けるものですね……。
黒海星の殺戮群により、咀嚼しつくされたように見えたが、ドン、ドグギアーテは再生を始める。
「もう少し実験させてくれるのか」
「グ、グギイイイ!」
「剣戒……」
出したコラーダを、狙いを定めてドン、ドグギアーテに向け投げつける。相当な速さだが……
「戒! 燃ゆる消剣。ティソーナ、お前はそのまま突っ込め。
……そうだな。ティソーナ・コンヘラル!」
「酷いでごじゃろーーー!」
「グ、ギ……」
さすがのオーバーキルだろう。再生が止まった。とはいえそれなりに時間を食ってしまった。
大丈夫だろうか。真化を解き、状態を確かめる。この形態は相当慣れた。小一時間くらいはいけるかも
しれない。
神魔解放はかなり疲弊する。あれは神経状態を活性化させるから肉体への負荷が大きいのか。
逆に真化は本来眠っている妖魔の力を引き出すので調子があがりやすい……のか?
まだ自分自身の体を把握していない。こちらも進めないといけないな。
「妖雪造形術、アデリー! ……あっちのコウテイはそろそろ時間切れだ。無事到着してくれている
といいが、急ごう」
「ウェィ!」
アデリーに乗り、急ぎキンキドゥ洞窟中央を抜け出て、ひた走るアデリー。途中無数のモンスターの残骸がいた。
だが幸いターフスキアーのような物理無効のモンスターは見受けられない。これならジェネストの敵
ではない。
さっきのやつは毒持ちであろう上、再生能力もあった。キゾナ大陸では見られない種類。
ジェネストは強いが苦戦したかもしれない。相性的には俺の方がはるかにいいだろう。
「アデリー、このまま無事抜けれそうだ。よかっ……」
安心していたその時だった。突如巨大な手につかまれ……壁の中に引きずり込まれた!
「なっ? 何だと!? アデリー、先に行って知らせ……」
「ウェィ!」
くそ、この急いでるときに不意を突かれるとは……あの状況、さすがに油断していた。
それにターゲットにも反応は無かった。俺を攻撃しようとしていたわけじゃないってことか?
だがこの状況、味方がいるとは思えない。一体何者だ!
「くっそ、離せ! 離しやがれ!」
「……オチツケ。トッテクオウトイウワケデハナイ」
「何者だ! なぜ俺をとらえる! 今急いでるんだ。邪魔するな!」
「ジャマカ。セッカクテダスケヲシテヤロウトイウノニ」
「手助けだと? なぜだ。俺を助けて何の得がある。信用できるか!」
「ドン、ドグギアーテ、タオシタダロウ」
「それがどうした? あいつが一体なんだってんだ」
「カタキダ。ズットタオスホウホウ、カンガエテイタ」
「お前は誰なんだ。この手をまず離せ! そしたら少し話を聞いてやる!」
「ワカッタ。デモキットコワガル」
ようやく手から解放された。無理やり外すことが出来ないから、神魔解放するしかないと思ってた。
力というより封印に近いだろうか。
しかし相変わらずそいつは壁に入ったままで、手だけ出ている。
「別に怖がらないよ! こっちには空飛ぶ骨やらそこら中水浸しにする術使いやらいるんだからな」
「オレハマゾク。コノタイリク、マゾク、ガイケンデコロス」
「っ! そうか、ここはまだキゾナ大陸の境目か。安心しろ。俺はキゾナ出身じゃない。
トリノポートの者だ。こっちは亜人、獣人だらけだよ」
「ソウナノカ。オレハコノタイリクデウマレタ。ホカノタイリク、シラナイ」
「絶対驚かないって誓うから、壁から出てこい。このままじゃわけがわからない」
「……ワカッタ」
俺がそういうとそいつは渋々壁から身を乗り出してきた。




