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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第三章 舞踏会と武闘会

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第三百七十二話 二年後に八人バトルロイヤルを

「この大会、これまでを見てきて少しお詫びをせねばならない。

人の子らよ。私は神の遣いたる者たちの圧勝で終わると思っていた」


 広く天に手を掲げると、透き通るほど細かい雨が降り注ぐ。


「しかし人の子はみな強く、戦いの中ですら大きく成長する。私はこう思う。

もっと近しい条件で戦ってもらいたい。もっと君たちの盛大な試合が見たいと。

この中で神話級アーティファクトを持つものは少ない。ルイン、彼もまた神話級アーティファクト

を使いこなせていないようだ。よって、この大会は延期としたい。

二年後、再びこの地にて。最後に残った三名そして、前戦にて

最後まで残ったリルカーン、ペンデ、ベルド、エプタ。

この八名でのバトルロイヤルを執り行う。

二年のうち、さらに強くなった君たちと相まみえることを楽しみとしよう」


 降り注いだ雨が引くと、美しい虹が現れた。


「よって、神話級アーティファクトをそれぞれに授けよう。残念ながらティソーナ、コラーダのような

特殊神話級アーティファクトとは異なるがね。

それでもそれらと渡り合うのに夢幻級以下で対峙するのは困難であろう」

「一つ聞きたい。その神話級アーティファクトを誰かに献上することは可能?」

「それは不可能だ。地底の君の主ともいうべき存在に託したいのだろうが、その必要はもうない。

地底の勢力は瓦解している。とはいっても危険な状態という意味でだけどね」

「それは一体どういう意味だい?」

「それは君自身の目で確かめるといいよ。リルカーン君。このアーティファクトは君に本来宿るべきだった

邪眼の力を授けるだろう。 プロビデンスの目。君の左拳を前へ」

「……こうかい? 本当に僕が使ってもいいのかどうか」

「これは君にしか扱えないようになる。君以外が使用すれば、その目はその者を蝕むだろう」

「それは困るな。フェルドナージュ様には渡せない」


 リルカーンの手に触れると、特徴ある目の紋様が浮かび上がった。


「これは……へぇ。確かに僕にぴったりの能力かもしれないね。目の力か。彼みたいでちょっと嬉しいな」


 リルカーンは満足そうに左手を見た。


「次にベルド君。君のその槍はあっちの神兵……が造ったものだね。あの子からはなぜか黄金の腕輪の

気配が感じ取れたのだが……まぁいい。君は冷静沈着、器用さもあるが、先の戦いで冷静さを

失ったように見えた。何かあったのかな」

「あいつに……私の父が死んだと、そう言われた。確かめたい。確かめなければならない。

もしかしたら凶悪な相手と戦わないといけないかもしれない」

「……そうか。そのものも恐らく神話級アーティファクトを手にしているのだろう。

今のままでは太刀打ちできぬかもしれないね。しかし君の所有する武器は特殊すぎる。

槍使いにおいて、最大の弱点となりうるものはなんだかわかるかな」

「懐だろう。そうさせないために幻術を駆使して近づかせない戦いを得意としている。

さらには短鎗の訓練もかかしてはいない」


 槍を変形させ、短い槍の二本持ちスタイルへと切り替えるベルド。


「そこまで槍にこだわるのもまた、人の子が所以だろうね。

その槍の持ちてにこれを。これでその槍は腕輪になる」

「なんだって? 槍が腕輪に?」

「ただの腕輪じゃない。その腕輪は、あらゆる武器を腕と化し大きな腕力を備える事ができる。

オーガの血を引く君なら、その腕でとてつもない破壊力を生む槍技が使用可能だ。

アルキオネウスの腕輪落としという神話級アーティファクトだ」

「これが神話級……確かにふざけた力だな」

「人の子はこれを求め争うからね。争いを生まない世界を神々は望んだりなどしない」

「なんだと!? それはどういうことだ!」

「おや、君は理解していないんだね。仮に人の世が争いのない世界ならどうなると思う?」

「平和であることに越したことはないだろう。みなが幸せに……」

「いいや。君は既に考えている。君自身に宿る復讐心を。自分で言っているのとは違う世界を。

その創造している世界こそ人の本質。矛盾が生じすぎるんだ。争いのない世界そのものが」

「く……確かに食料を、異性を、土地を、金を、命を……有限のものを求め人は争う。

だがそれは、神が望んでそうしているとでもいいたいのか」

「そのように造られたのが世界だよ。ルインに話したら彼は泣いていた。だが人の子よ。

世界の在り方は悲しみに満ちている。それは偶然ではなく必然。平和とは犠牲の連鎖がつくりだすもの。

人の子は、ありとあらゆる事象に耐えるという感情を持って生きねばならぬのだから。

彼の場合は人一倍、その過酷すぎる生に耐えねばならない生涯だったようだけどね」


 イネービュがそう告げるとベルドはうなだれ、倒れているルインの方を見た。


「確かに神と人では意識の持ち方がまるで違う。心優しい彼が涙するのもわかる。

それでも僕らは平和を求め、生きていくしかないんだ。父上……どうか僕を導いてくれ……」


 ベルドは目をつぶり、祈るようにその場へしゃがみこんだ。


「さて。私の分体たちはいいとして、残るは傷ついたルイン、ベルディス、ライラロそれにジェネストだね」 


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