第三百六十一話 第三試合第四試合混合? バトルロイヤル!
「なんだぁ、こりゃ。もう試合なのか?」
「対戦相手が違うよぉー!? ぼぼ、僕もうルインと戦うの?」
「参ったねぇ。作戦変更か、こりゃ」
シーザー師匠とイビン、ハーヴァルがぼやいている。
「どうやら我々も同時に戦わねばならないようですね」
「そうらしい。体が強制的に戦闘を余儀なくされてる感覚だ」
「ちょうどいいっしょ。もう戦いたくてうずうずしてたし。いきなりルインと戦える!」
ジェネスト、イーファ、ベルディアも戦う気満々に見える。
「ルイン。どうする? どの程度回復した?」
「まだ神魔解放は使えないし真化もだめだ。この状況で六人相手にどうしろってんだ」
「俺様もファナも疲れてねーから、俺様たちが戦ってる間に回復できねーか?」
「無理だろう。見ろ。どう見てもジェネストやベルディアは俺に一直線でくる気配だ。
師匠も俺を狙うだろうしハーヴァルさんも厄介そうな技を使う俺狙いだろうな」
「じゃあよ。ルインが囮になって、ルインを狙ってるのを俺様たちが倒せばいいんじゃねーか?」
「それだわ! その作戦でいきましょうメルザ」
囮か……確かにそれなら勝ち目はあるかもしれないが、メルザたちが狙われる可能性もある。
あちらで状況判断能力が高いのは恐らく、師匠、イーファ、ハーヴァル、ジェネスト。
イビン、ベルディアはどう考えても前衛の突っ込み型だ。
「いいね。三対三の試合より見ごたえがありそうだ。エーナ、ディオ、トゥリス。物語の続きも気になる。
そちらも続けるように」
「はーい。い、く、ヨ!」
「あなたたちは屈強な兵士を前に尻込みをする。しかしこの戦い、負けられない。
観客席の傍らで必死に応援する双方の大臣。勝敗の行方やいかに」
「王子! 絶対勝って姫をお持ち帰りするのですぞ!」
「ふん、バルンバめ。よもやこのような策を興じようとは。無駄な事を」
……あの爺さんここまできたんかい! あっち側にもう一人陰湿そうな大臣ぽいのがいる。
あれがムンドラ側の大臣か。エーナの能力なのか?
「やれやれ、やるしかねぇみてぇだな。次の試合分も入ってんだろ? これはよ」
「つまり誰を狙ってもかまわないのか」
「ベルディアちゃんは狙いたくないなぁ……女の子だし」
「あーらイビン。私やメルザは女の子じゃないってことかしら?」
「へーえ。このイーファも女扱いされてないんだね」
「ぞぞーっ……僕なんかまずいこと言っちゃった?」
「お前さん、地雷踏んだな。女ってのは色々気を使わないと怖いんだぜ。セフィアで習ったろ?」
「そうだった……でも、負けないぞー!」
「それじゃ、試合開始だよー!」
「妖雪造形術、コウテイ、アデリー! ター君、ホー君、来い!」
俺は一気に先手をとった。師匠たち相手に出し惜しみなどできない。
レドッピーたちも呼びだしたいが……駄目だ! もう来た!
「シッ! ……先手をうたれた! 待てルイン!」
「相変わらずいい飛び込みだねベルディー。ルインへの飛び込みは特にね」
「お二人とも。前進しすぎです。彼は多彩な技を使用する。うかつに近づいては危険です」
「んじゃ、後ろのお前は俺が相手だ。斧重烈撃!」
「ベルディス、お前さんに任せる。ちょいとセフィアの位置が気になってな。離れすぎると死ぬから」
「構わねえよ。あっちも一人だ。イビンはどこいった?」
「わぁー、焼け死ぬよー-! おっかけないでよー!」
「待て逃げるなイビン! 燃臥斗! ちゃんと加減してうってるぞ!」
「あんた、強くなったんならちゃんと戦いなさいよね!」
それなりに広いリングの上で、それぞれの戦いが展開され始めた。
俺は勢いよく突っ込んで来たベルディアとイーファの先制攻撃に応対した。




