第三百五十四話 第三試合 不思議な世界へご招待
いう事を聞かないティソーナを無理やり引っ張り出そうとしたが、さきっちょしかでない。
こいつ……それなら俺にも考えがあるぞ!
「くらえ、コラーダの一撃!」
「いたいでごじゃろ! 御前、コラちゃんの扱い間違えてるでごじゃろ!」
「そんなことないぞ。最近は滅法いう事を聞いてくれる。何事も無ければ出しておけるからな」
「コラちゃんは恥ずかしがりやなだけで、基本は出てきてくれるでごじゃろ?」
「そんな仕様だったのかよ……」
「ねぇルイン! おかしいわ! 何してるのよ、ブツブツ言って」
「いや、ティソーナを説得していたんだが、どうかしたか?」
「俺様たち以外、ぴくりとも動いてねーんだ! ほら、あっちも」
「まんまとエーナちゃんの術中にはまったでごじゃろ。エーナちゃん可愛いでごじゃろ!
最高でごじゃろ?」
「こいつ、海底に沈めてっていいか?」
「それって一体ここに何しに来た事になるのよ?」
「うぐう。それは確かに……」
「なぁなぁ。どうすればいーんだ? あいつら攻撃してみていいのか?」
「ちょっと待てメルザ。少し考える……」
俺は第一の試練、第二の試練、第三の試練それぞれを思い返してみた。
物語の行動、対話、そして選択か。
あいつらはどれも武器をとって戦う相手には見えなかった。つまり……行動、対話、選択を間違えた
その時は……全員死ぬ……か?
「メルザ、ファナ。よく聞いてくれ。これから恐らく……」
「マミムメモマミムメモ、や、ゆ、予習はそこまでだよー。まってねー。みんなに難しくて面倒な問題。
や、ゆ、よろしくネ」
「エーナちゃんでごじゃろ! 可愛い声でごじゃろ! ひゅーひゅーでごじゃろ!」
「さっきからその剣と話てたのね。しかし変な喋り方よね」
「変とは失礼でごじゃろ! エーナちゃんの前で失礼でごじゃろ!」
「それじゃ、いくよーー!」
突然だった。周りにいたもの全て……いや、空肝転移でもしたのか? 辺りの様子がまるで
違うものへと変わった。
「王子! ルイン王子! ここにおられましたか!」
「姫! メルザ姫! まぁなんとはしたない。こんな場所で王子様と密会なんて!」
「馬のファーフナーも一緒だったか。はて、手綱がついておらんぞ?」
「誰が馬よ! 殴るわよ!」
「お姫様? 俺様がか?」
「これは……なんだ? 人、それに王子だと? どんな攻撃だ」
「さぁ王子、姫。馬にまたがりサンドラ国へ参りますぞ」
「何言ってんだ! 俺がファナにぶん殴られれるわ! 鬼畜の所業かよ!」
「どうしたのです、王子。ファーフナーはほれ、この通り……あぎゃーー!」
「どこ触ってんのよ、このじじい!」
ファナの尻を触ったので思い切りグーパンで殴られる謎の髭おじいちゃん。これ、大臣か?
そりゃ馬の尻ならまだしも……なぁ? 自業自得だぞ、それ。
「ひぃ、今日はファーフナーの機嫌が悪いですな。それでこちらで手後招いていたのですね」
「あ、ああ。ご機嫌なファナなんてそうそう見れたものじゃないけどな」
「そーか? 俺様の前だといつでも笑顔だぞ、ファナは」
「そりゃメルザを見てると癒されるからだろ。ファナは可愛い物好きだし」
「それより二人共! これ、敵の攻撃でしょ? どうやって対応するの?」
「二人共聞いてくれ……あれ? だめだ。喋れない。どういうことだ? これも術の影響か?」
それぞれの試練について二人に話そうとしたが……言葉にならない。
表現しようとすると掻き消え、それをやめようとすると戻って来る。そんな感じだ。
予習は終わり……最後にエーナはそう言っていた。つまりは……「俺たちは完全に敵の術中だ。
伝えたい事があってもうまく伝えられない状況にある」
「サンドラ国ってなんだ? 食えるのか?」
「食べられないでしょ。国の名前よ、きっと」
目の前にいるのは大臣ぽい老人とメイドっぽい女性が二人。
そして俺が王子、メルザが姫でファナが……馬か。
一体どんな物語でせめてくるつもりだ。エーナ。
「麿はどんな役割でごじゃろ」
「お前、剣だろ……」
「エーナちゃんの術中だから少しだけ出てもいいでごじゃろ」
「お、ついにその力を発揮してこの状況をどうにかしてくれるのか?」
「出るだけでごじゃろ」
「……何回肩透かしさせるつもりだ……」
「まぁ少しだけ協力してやってもいいでごじゃろ。ただし」
「言わないからな!」
「……肩透かしを返されたでごじゃろ。それならまぁ何も要求せず力を貸してやるで
ごじゃろ」
ようやく説得できた我が剣。イーファにいっそ押し付けてやろうか……そう思った。




