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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第二章 神と人

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間話 明け暮れ過ぎた修行

「地連撃、霞三又!」

「二刀流、円刃秋雨!」


 ルーンの町、訓練場。中央で激しくぶつかり合う二人がいた。それより手前の場所では

槍を携える女性が、ウェアウルフに振り回し方を厳しく指導されている。


「そうじゃねえ。竜嬢ちゃんの槍は確かにつええ。だがよ、そいつに宿ってる術を行使するには

才能と閃きが必要だ。それにだ。そいつはアーティファクトじゃねえだろ? それにだ。

ドラゴニックデルトした状態で使うなら、三又の槍がいいぜ。ニーメなら中央部分が伸びる槍を

造れるかもしれねぇ」

「ベルディスお師匠様。わたくし、この槍もいただいてしまっているのでこれ以上は……いただけませんわ」

「ん? あいつはむしろ喜んで作ると思うぞ。おめぇさんはいっつも引っ込み思案でいけねぇ。ちったぁ

ライラロの図太さを……いや、忘れてくれ。あんなの見習ってもらっちゃ困るな」

「あんなのがなんですって?」

「げぇ? ライラロ! おめぇいつの間に戻ってきてやがったんだ?」

「あら? あらあらミリル。あんた私を差し置いてベルディスと二人きりでいちゃこらいちゃこら……そう。

あなた、ここで私と戦いたかったのね。そうよねそうとしか考えられないわ! さぁいくわよ!」

「ば、ばかやろう待ちやがれ! 今ちゃんとした話をだな」

「ちゃんとした話ですって! 益々気に入らないわ! いくわよ! 水流神の息!」


 問答無用で幻水術をぶちかますライラロ。あたり一面一気に水浸しになり、中央にいた

ベルドとシュウが水に流され巻き添えをくらう。


 しかし……ミリルはすでにその場を跳躍して、天井へ張り付いていた。


「へぇ。いい反応ね。随分腕を上げたじゃない。でも! これはどうかしらね。

燃臥斗、氷臥斗、風臥斗、土臥斗、雷臥斗! 幻術五指術!」


 ライラロの五本の指から全別系統の術が天井めがけて飛んでいく。

 ベルディスが止め……れる状況ではなく、先ほどの水流の息でベルドたち方面へ

押し流されていた……。


「ライラロさん! 誤解ですわ! わたくし、ベルディスお師匠様がライラロさんへの贈り物、何を

あげたらいいか相談されていましたの!」

「へ? そうなの? なんだそうならそうと早くいいなさいよね! ほら早く降りてきて! 私の

欲しいもの教えるから! ね? あっちでお茶でも飲んで、美味しいお菓子もあるわよ! ほら早く!」

「ええ。直ぐいきますわ……よ! っと。幻術を一度に五発も打つなんてさすがですわね」

「そうでもないわよ。だってあなた、まるで聞いてないじゃない。本当むかつくわ。その部分変化する

腕」

「これでも少し痛いんですのよ。中級幻術程度ですから無事ですんでますけれど」

「さ、あっちのだらしない男たちはほうっておいていくわよ」

「あ、あの……多分ベルドさんもシュウさんも激突中でなければ避けれたと……」

「え? だめよ。奇襲にだっていつでも備えて回避できないと! まだまだ修行が甘いわね! 

ベルディスを見習って……なれ? ベルディスは?」

「ええ、ですからあそこに……」


 指をさした方向に、水浸しになったベルディスが、両腕を組んで眉をピクピクさせていた。


「あれ? 何ベルディスなまってるの? やーだ、どうしたのよー」

「おいこらライラロ。おめぇここでああいう術ぶっ放すなってムーラに言われただろうが! 忘れたのか!」

「あ、えーと。ムーラにもお土産があるのよ。おほほほーー、渡してくるわね! それじゃ!」


 ぴゅーんといなくなるライラロ。全員でかいため息をつく。


「しかしおめぇ、ライラロの扱いが大分慣れてきたんじゃねえか?」

「そうですわね。こう見えてもわたくし、ライラロさんとは知り合って長いですから。

それではお師匠様。槍の事、考えておきますわね」


 そう言ってライラロの後を追うミリル。シーザーは鼻をフンと鳴らしてベルドとシュウを見る。

 水に流されていたはずだが、すでにまた打ち合っている。


「おめぇら、フーのヤロウはまだカッツェルにいやがるのか?」

「ぐぎぎぎ……いえ、不死者の討伐に……」

「ぎぎぎぎ……行きました。それまで……しっかり修行に……はげめと……」

「おめぇら、どんだけ修行し続けてるんだよ……」

「彼と別行動してから……ずっと……」

「です……」

「……やりすぎだ馬鹿ども。まったく、ここには楽しい馬鹿共がよく集まるぜ。あいつが戻ったら

もっと楽しくなりやがるな。ククっ久しぶりにベルローゼともやりてぇな。ああ、うずいて来やがった。

おめぇら二人、同時にかかってこい。相手になってやるぜ」

『えっ?』


 ――――。

 その日ベルドとシュウはしばらく立ち上がれないほどぼこぼこにされた。


「大分やり合えるようになったが、まだあの人には勝てないな……」

「ああ。二人同時でこのざまだ……でも、まるで相手にならなかった頃とは違う」

『俺たち、かなり強くなった!』


 彼らはルインたちと別れてから、互いを認め合える、良きライバルへと成長していたのだった。

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