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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第二章 神と人

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間話 落ち着かない奈落

「あれから随分日にちがたってしもうた。フェルス皇国が心配じゃ……」

「フェルドナージュ様。知らせによりますと、ニンファさんが随分と手を回して統治してくれている

そうです。今のところは安心でしょう」

「しかしタルタロスめ。我らをどうするつもりなのであろうか。手出しするどころか、格別なはからいを

受けている気がするが」

「アルカーン、フェドラート。これは憶測だが、あやつは童たちを匿っているのではないか? 

アルケーの話によれば、この奈落へは神の目すら届かぬ場所だという。ベルータスめに憑りついていたあの

悪神。真向から手出ししたのは童じゃ。それに……ベルータスに憑りついたのであれば或いは……」

「我々に憑りつく可能性もある……ということですね。そうするとルインさんたちも心配ですが……」

「あいつとは連絡をとっている。こないだおかしな質問もされた。だが元気なようだ。

イネービュとやらに会いに行くようだが……」

「海星神イネービュですか……おとぎ話の類だとばかり思って書物を見ましたが」

「おとぎ話ではない。かつて祖父はイネービュの遣いとやらに会い、大いなる力を手にしたという。

それが我らフェルス皇国が受け継ぎし、強大なる妖魔の力という話だ。ベルー家には星の力が、フェル家に

強き妖魔の力が託された。だが……それが故にデシアは……」

「フェルドナージュ様……」

「すまぬ。それで、兄上の動きはどうじゃ。シュタルターク地方が落ちたと聞いたが」

「ええ。間違いないようです。一度情報の整理をいたしましょう。

まず現在地、ここ奈落は、地底を上中下、左、中央、右の九つに分断して考えれば最も右上にあります。

フェルス皇国は最も右下に位置しているとお考えください」

「うむ。フェルス皇国より西に向かえばベルータスの住んでおったベレッタがあるな」

「はい。途中砂漠やマッハ村などもございます。中央下部分ですね。フェルドナーガ様、フェルドナージュ様、タルタロス様にベルータス。それぞれ四角にて妖魔国を支配し均衡を保っていました。

それというのも……」

「ベオルブイーターであろう?」

「ええ。中央を大きく徘徊する最強の生物。ベオルブイーター。これがいるおかげもあり、上下斜め間での

進行は厳しかったはずです。しかし……」

「フェルドナーガは進軍した。といってもシュタルターク地方は取るに足らん地域だろう?」

「そうですね。ただの足掛かりにしても危険な地域です。ベオルブイーター以外にも凶悪なモンスターが

存在しています。フェルドナーガ様だけならともかく、軍隊となるとそう長く滞在していられる地域では

ないでしょうね」

「つまり、更に南下しベレッタを取る……と?」

「恐らくは。何せ中央はアトアクルークの跡地がある場所。ベオルブイーターの住処があり、軍隊で

押しかければ間違いなく全滅でしょう」

「その通りだ。あれの存在は誰でも恐怖する。俺も死ぬかと思ったぞ」

「アルカーンは素材取りだといって勝手に近づいたんでしょう。まったく」

「いけると思ったのだがな。ベルローゼと二人ならば」

「いくら彼がいても……仮に百人あなたたちがいても勝ち目はないでしょうに」

「ふむ。ここでの生活にも慣れ、片腕にも十分なじんできた。事情を説明して帰る術を探るとしよう。

よいな、二人共」

「はっ。私も実のところフェルドナージュ様の体調が気がかりで、無理に動くべきではないと

思っておりました。ルインさんたちも無事で、ルーンの町にも多くの頼れる仲間がいます。

お会いしたての頃はまだまだでしたが、みな、大きく成長してくれましたね」

「ああ。特にメルザには驚かされた。童の命の恩人じゃ。早く可愛い顔が見たくてな」

「ふっ。あの娘もそれを聞いたらお喜びになるでしょう。それを聞いて、あの娘用にも義手を新たに

用意してやったのです。しかもフェルドナージュ様とお揃いの物。羨ましい限りだ」

「アルカーンよ。お前は本当にいい物を作ってくれるな。感謝している」

「有難き幸せ。我が大恩。物などで返せるものではありませぬ。永劫お仕えいたします」

「だがアルカーンよ。其方もそろそろ結婚した方がよいのではないか?」

「……そういえばやり残していた作業がありました。失礼します」

「逃げた……フェドラートよ、お主も……」

「では私もしばしアルケーへと相談に参ります。失礼!」


 二人共蜘蛛の子散らすが如く逃げていく。

 フェルドナージュは大きくため息をつき考える。

 高い能力を持つ者程、その手の話が苦手なのだと。

 やりたいことが多すぎて、結婚どころではない……のだろう。


 だがあちらの二人はきっと……。

 そう考えて少し微笑むフェルドナージュ様であった。

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