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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第二章 神と人

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第三百十八話 力になってくれ

 再び景色が違う景色に変わる。今度は……先ほどと違い、地上……か。


「ゆけ! エルフの地は必ず守る! この神剣ティソーナとコラーダに誓って!」

『アアアアアア!』


 戦争……か? 亜人であるエルフと、人間との戦いか。

 美しいエルフが美しい剣を両手に握ている。


「エグゼキューション!」


 二振りの剣が空中に舞い上がり正面の軍団を大量に貫いていく。

 数千……或いは数万の軍勢をその一撃で葬り去った。


 剣は何事もなかったかのように持ち主へと舞い戻る。

 雑兵相手を一気に瞬殺する恐ろしい技だった。


 再び投影される情景が変わるが、再び戦争。

 持ち主は長身の美男子で髪の長いエルフに変わっていた。


「攻めてきたか人間共。多くのエルフを奴隷にさらい、この国を支配しようともくろむ者ども。

神罰をくらえ! エルフォリアンブレード!」


 上空に飛翔した二振りの剣が回転しながら、襲い来る対象を次々と切り落としていく……が

最初に見たあのエグゼキューションという技よりは大分威力が落ちている。

 使い手によって大きく力が変わるのだろう。


「お父さん、お母さん。お願い、私を見守っていて……妹と弟、必ず守るから。

ティソーナ、コラーダ。お願い、どうか私の身と引き換えに……妹と弟に何人も近づけぬ

鎧の剣となって。エスパーダ・エン・アルマドゥーラ!」


 クルクルと回転する剣が、小さいエルフの兄妹に纏わりついていく。

 その刹那、所有者と思われるエルフの娘を槍が貫いた。

「お、お姉ちゃんー! よくも、よくもーー!」

「うわぁーん! お姉ちゃん! おねえ……あ……」


 弟の剣が槍を突き刺した相手を瞬殺していた。その剣はとてつもなく早く次々と

 囲んでいた盗賊のような者どもを切り裂いていった。

 残された二人のエルフは悲しみに暮れ、その場でずっと姉をゆすりながら泣いていた。



 更に景色が変わる。こんな場面を幾度も繰り返した。だが共通している事がある。

 ずっと、ずっと襲われ続けている。

 それは或いは人間であったり、或いは亜人であったり、或いは獣人であったり。

 軍隊であったり、強盗であったり、子供であったりもした。

 そして所有者は常に何かを守っていた。

 大陸、国家、軍、大切な家族、恋人……そして仲間。

 どの場面でも所有者は必死に守っていた。そして結末は全員、強大な力を使用して

倒れる場面で終わる。

 

 再び視界が別の場所へ変わった。あれは……あの闇はバラム? 

 そして最初に見たエルフだ。打ち倒したバラムの傍らで、墓を作っているのか。

 その眼には沢山の涙がこぼれ落ちている。

 先ほどの娘はそのまま父と母から受け継いだからバラムとは戦っていないのか。

 封印され、守るときのみバラムが招来されている。

 そしてバラムは必ず打ち倒される守護者……か。


 そうか……これは剣が俺に見せるビジョン。こいつは警告しているんだろうな。


 力を用いれば大切な者は守れるだろう。だがその後に残るのは……残された者の悲しみ。

 どの場面でも、剣の所有者を弔い、泣き叫び、悲しみだけが残っていた。

 無茶な戦いをして、残される者の結末を見ろ。

 お前の力で救える者はある。だが、救った結果、救われた者はどうだ。

 誰一人、喜んでなどいない。

 そしていつしか、悲しみを消し去るように、ティソーナは海底へ封印され、コラーダ

だけが地上に残ったのか。モリアーエルフとブレディーによって。



「ああ。わかっているよ。俺、一度死んだことがあるんだ。それに現世でも一度死にかけた。

前世で悲しんだ者がいたかはわからないけどさ。あいつにあんな顔させたくないんだ。

だから大丈夫。俺一人で強くなったりはしない。

お前を手に入れるのにも、本当は一人じゃなきゃダメだって思ってたんだ。でもさ。

俺一人じゃダメだったんだよな。

お前を上手く使えるかわからないけどさ。俺一人で扱うんじゃなくてさ。

メルザの……仲間の力を合わせて、お前の力を託してくれないか」


【ティソーナよ。我が幻妖団メルの力に!】

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