第三百一話 辛い状況
「ゴロオオオオオオオオオオオオオオオ!」
「ウェィ」
リーサスレテクの影響により、ゴーレムは片膝をついた。位置悪くアデリーが消滅してしまう。
ルーニーもその勢いに吹き飛ばされてしまった。
「く……もう一発!」
「無理。一発が、限界。休ませる」
「クールダウンが必要なのか!? しばらく使えないのかよ」
「うん。連発、不可能。当然」
「そう都合よく強大な力は得られないか……神魔解放! ふぅ……さて、どうしたもんか」
「応援。頑張って。あなた」
「やめんか! 気が削がれる! あいつ貫通攻撃はないよな。接近戦で挑んでみるか。コウテイ!
ルーニーを回収してカットラスで戦う。あっちに向かってくれ!」
「ウェーイ!」
さーっとルーニーめがけて移動するコウテイ。その速度はやはり大したものだ。あっという間にルーニーの
場所までたどり着いた。
「ホロロロ……」
「そんな面目なさそうな声だすな。よくやってくれてるよ。変幻ルーニー」
ルーニーを籠手に戻しさすってやる。いつも助かってるよ。
籠手からカットラスを引き抜き、コウテイから降りてゴーレムと対峙する。
コウテイが囮役になってもらい、後ろから周り込むように突き進む。
間近で見るとそのふざけた体格にため息が出る。どうやってこんなバカでかいの造ったんだよ。
まるで巨大な山城でも見上げてる気分だ。これにリーサスレテクが貫通したってだけでも驚きだ。
籠手は夢幻級、カットラスは幻想級のままだ。神話級には大きく劣るが、それでもアーティファクト。
しかもプログレスウェポン。相当に強いはずなんだが、このクラス相手だとさすがに斬れないか?
試してみるか……「プライマリ、セカンダリ……ターシャリ……クォータナリ!
四連撃、いや、クワイナリブレード! ……くそ、なんて硬さだよ、おい」
カットラスで右から斜めに切り下ろし、下段左から右へ、右から斜め左上に切り上げ、上段日在から右へ切り抜け、最後に跳躍して中央斬りの五連撃。
これだけの連撃を加えたが、とにかく硬い! 以前なら単なる連続攻撃がいいところだった。
今ならここまで早い連撃が可能だ。しかし巨大すぎるゴーレムはまるで切断されない。
「っ! 妖楼! 危ねぇ。動けないんじゃなくて動かないようにしてたのか」
連撃の終わり際を見極めて、膝をついたまま腕で薙ぎ払ってきた。ただ腕を振るうだけで辺り一面を
破壊尽くす程の技になる。人が小さく動き回るのなんて、こいつにとってはコバエが飛んでいるような
ものなのだろう。そのコバエにいいようにしてやられたんだ。
さぞやお怒りだろう。
「連撃を落として赤星を乗せる……か? いや、赤星の殺傷力じゃ……やっぱり黒星の力を引き出すしか」
「ツイン、二体目、くる」
「はい?」
再び大きな地響きと共に、アスタリスク三とは別のゴーレムが地面から湧き出た!
こっちの方が一回り小さいが、それでもゴーレム二体だと!? 冗談じゃないぞ。
「ゴロオオオオオオオオオ!」
「お前も五郎さんをご指名かい!? 悪いが俺はルインなんだ!」
後方に跳躍して距離を取る。しかしこれはやばいな。
「ブレディー、これも試練なのか」
「そう。試練。その一。ティソーナ、簡単、手に入らない」
「そうだよな……二つ揃うと相当やばい代物になるみたいだし……にしてもその一って。
ハードすぎるだろ」
「頑張れ」
「これくらい、難なく乗り切れってか。神様の剣ってのはいたく敷居が高い……な! 危ねぇ!」
二体目のゴーレムは遠距離攻撃ができるのか! 巨大な岩を投げつけてきた。
相当なでかさの上に高速で飛んでくる。このままだとジリ貧だ。
やっぱり一気にけりをつけるしかない。
しかもアスタリスク二ってくらいだから、一もいそうだよな……。
覚悟を決めるしかない。
またこのモードになるのは気が引けるが……手立てがない以上やるしかない。
【妖真化】
「頑張れ、ツイン、負けるな、ツイン」




