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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第三部 主と突き進む道 第一章 海底の世界へ向けて

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間話 待ち人の来客

 桜の木の下に一人、見目麗しき妖魔がいる。

 漆黒の長髪の一部分には、星のように輝きを放ち、スラっとした魅惑的な体つき。

 また、女たちが持ち寄ってきたアーティファクトの衣装の中から、好きなものを一つ選んだ。

 それは形が崩れることのない、軽装。黒き衣というそれには、美しい星の刺繍が施された。

 受け渡した女は歓喜のあまり卒倒してしまったので、名前すら知らない。


 フェルス皇国以外でも有名な彼は、男女問わず魅了してしまう。

 そんな彼にも、苦手なものがあった。



「……こんな海底にまで来るのだな。アルヒル」

「それが役目さぁーー。アルカーンの最高傑作なのにー-。君のところへしか送れないなんてねー-」

「それ以上近づくな。まったく。この形状、どうにかならなかったのか?」

「そう言われてもねー-。でもさー-、多分アルカーンはー-、君に負けたくないんだよー-」

「いやがらせにもほどがある。俺が苦手なものを知っていてこんなものを作るとは」


 アルヒルと呼ばれたそれは、どうみてもでかいヒルだった。

 ベルローゼが苦手とするのも無理はない。かなりの大型で奇怪な形だ。


「どうしてもー-、作り変えたいなら――、彼に言ってよねー-」

「どうせ俺が言ってもきかないだろう。そうだ、あいつに頼んで作り変えさせるか。

ルインが言えば少しは耳を貸すだろう」

「ルインー-、あって――みたいけどー-、いないのー-?」

「今はな。それよりさっさと要件を言って消えろ。せっかくいい所だったのに邪魔をするな」

「アルカーンからー-、こちらの状況がー-、思わしくないー-、なるべくー-、早く戻れー-、って」

「それだけか? 他にもあるだろう。言い忘れのあいつのことだ」

「うんー-、フェルドナーガがー-、動き出してー-、シュタルターク地方をー-、制圧したよー-」

「……そうか。しかしフェルス皇国へは迫っていないのだな」

「そりゃー-、フェルス皇国はー-、フェルドナージュ様がいなくてもー-、そう簡単に落とせないしー-」

「お前、ここに残れるか? ルインが戻ってから出発しようと思っていたが、そうもいっていられなそうだ」

「無理だよー-、これをー-、使いなよー-」


 ぺいっ……と、ねっとりとした紙をアルヒルは吐き出した。


「……ふざけているのか」

「ひどいよー-。いつでもまじめだよーー」

「泉の前の木にでも掘っていくか……俺に僅かに残った親族。しかもベルー家直属とはな。

運命……いや、神のいたずらか。ふっ……」


 フォーサイトを取り出し、桜の木へメッセージを刻む。

 それにはこう刻まれていた。


【更に精進しろ。アトアクルークの地できっと再び会うはずだ。ベルーロゼよりベリアールへ】

 

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