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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第三部 主と突き進む道 第一章 海底の世界へ向けて

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第二百七十七話 美しい景色の道すがら

「圧巻だな。だがここで立ち止まっていてもしょうがない。ブレディー、ここでは外に出れるか? 

出れるなら泉まで案内してもらいたい」

「大丈夫。ブレディー、あれ、乗りたい。出して」

「あれ? ああ、アデリーのことか? ちょっと待ってろ……妖雪造形術、アデリー!」

「ウェィ」


 アデリーが片手を挙げて現れた。作った俺が言うのもなんだが、こいつを毎日眺めていたい。

 こいつの目をみていると、どこぞのよろず屋を思い出してならない。


「可愛い。これ、好き、大好き」


 ブレディーは喜んでアデリーに飛びつく。こいつの可愛さに心動かされないものなど

この世にいないと思っている。

 すべてはアネさんのおかげ! アネさんとフェドラートさんは元気にしているだろうか。

 アルカーンさんの話だと無事ではあるようだが。地上の状態が気になる。

 だがみんな無事だと俺は信じている。何せ全員、強い! 


「アデリー、ゆっくり歩いて進んでくれるか? メルザ、先生。景色を見ながら進みたいんだ」

「ウェィ」

「ああ。俺様も桜、見ていきたいぞ! これ、喰えるのかな?」

「いい香りがする。このような花もあるとは、海底も悪くない」

「先生もそう思いますか。フェルス皇国は壮大できらびやかで美しいけど、こういった趣のある場所も

いいものですよね。まるで日本に戻ったみたいだ」

「日本? それってルインの前世のいたとこか?」

「ああ……そうだ、二人とも。泉に着いたら、少し俺の現世での過去話をしようと思うんだが、いいか?」

「ほう、少しは覚えているのか。妖魔国にいたのだろう?」

「いえ、わからないんですよね。とにかく今は先へ進みましょう」


  ゆっくりと歩き出す俺たち。時折桜が舞い散る中、滝のある方面へ向かう。

 少し距離があるので、ゆっくりと桜の香りを満喫しながら進んでいく。

 花弁が舞い落ち、儚くも美しい情景に見とれてしまう。

 そう、すでに全員が封印から出て、その光景に目を奪われていた。


 この情景を見れば、多くの者が心奪われるだろう。

 そう思わせるほど、満開の桜は美しい。

 しかし、温帯地域に芽吹くこいつが、一体どうやって海底のこんな場所に……もしかして

海にある星が関係しているのか? 


 不明な事が多いが、これはカワヅザクラとソメイヨシノに違いない。

 

「パモ、本当に持って帰れそうか? かなりでかい木なんだけど」

「パーミュ! パ、パパ!」

「え? 下を掘って出さないとダメ? そりゃそうか。地に根付いているしな。

さて、どうやって掘るか」

「こっちは俺がやっておいてやろう。二種類の木をほりおこせばよいのだろう?」

「あ、はい。先生ノリノリですね。絶対甘味処の影響だよな……」

「ふん。この木は赴きがあっていい。持ち帰り、いい場所に埋める。どうだ、八本程いけるか?」

「パーミュ!」

「よし、戻ったら貴様の苦労に報いてやろう。好きな物を言ってみろ。アルカーンに作らせる」

「パ、パーミュ!」


 飛び跳ねて喜ぶパモ。先生はアルカーンさんに貸しでもあるのかな? 

 そう簡単に作ってくれないと思うんだけど。

 いやいや先生が頼み事なんてそもそも想像出来ない。レアケースに違いないぞこれは。ツンデレだし。

 しかもあっという間に地面を切り裂いてみせる。手伝おうなどとは口が裂けても言えない。

 先生が掘り、パモが吸い込む。その作業を繰り返し、十分な本数をあっという間に確保した。


「ではいきましょうか。ブレディー、もうしばらくかかりそうか?」

「かからない。もうじき。すぐ。でも、この子、乗っていたい」

「ウェィ」

「へぇ、アデリーにも感情があるのかな。もう少し乗せていたいみたいだぞ。そんな雰囲気だ」

「嬉しい。この子。もらう」

「いや、時間が経っ勤消えちゃうんだよねぇ……」

「そういえば貴様はアルカーンの能力について、あまり知らなかったな。あいつはモンスター作成能力を

有する。頼めば同じ形状のモンスターを作成できるかもしれん。当然対価は要求されるうえ、いつでも

呼び出し可能というわけではない」

「モンスター作成って、襲ってこないんですか?」

「どのように作るかによるな。魔造生物関係は、俺にはわからん。直接奴に聞くといい」

「アルカーンさんがとんでもないのはわかるけど、一体誰に習ったんでしょうね」

「習う必要などない。あいつは生まれながら恐ろしいほどの才覚があったと聞く。さらに加えて……いや

やめておこう。本人が語らぬ話だ」

「アルカーンに関しては、僕も多くは知らないな。ずっと苦手意識を持ってたし、聞き辛くて。

でも君なら聞けるかも知れないね。アルカーンの秘密を」

「どうかな。時計の発想ならまだまだあるけど、あまりアルカーンさんばかり頼るのも良くないと思って」

「ふっ。貴様らしい。あのような能力者に気に入られて尚、極力頼らないとはな。だが奴は造形物を

好む。その依頼は好ましいかもしれんぞ」

「それでしたらお願いしてみようかな……今はこれ以上話してるとルーニーが喋りだしそうなので、止めておきましょう」

「着いた。ここ、泉。綺麗」


 話しながら歩いていると、いつの間にか泉の前まで到着していた。滝まではまだ距離がある。

 その泉には、桜の花びらが浮かびキラキラと輝いていた。

 ここで、休憩しよう。


 

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