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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第三部 主と突き進む道 第一章 海底の世界へ向けて

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第二百七十四話 対守護者ブエル

 動き出したブエルは、足がいっぱいあり、触角のようなもので薙ぎ払い攻撃してきた! 

 狙いは真っ先に飛び出たベルディア。

 うまく回避しているが、危なっかしい……が回避しながら打撃攻撃を幾度も繰り出している。

 その様子を見てダハダハ上空から笑うレウスさん。まるで緊張感の欠片もみられない。

 イーファも既に元の体へ戻り、術で攻撃している。

 ほとんどの面々が攻撃に参加しているので、あっという間に終わるかと思いきや……攻撃を

受けた箇所のほとんどが、再生してしまっている。これは相当な火力で一気に倒さないと厳しいのでは? 


「削りがいがあるやつだが、少々面倒だな」

「ブレディー、手伝っても、いい。やる?」

「あっしはブレディーを守らないといけないんで、やめとくっすよ」

「ドルドー、防御。全員」

「仕方ないっすねぇ。まぁあっしの本来の役目は盾っすから」

「出来る限りメルザを守ってくれ。頼むよ」

「当然っす! 女の子を守るためなら何でもするっす!」

「あ、ああ。よろしく頼む。俺も三層までに試さなきゃいけないな」


 一人で戦う術の前に、あまりにも威力が無かった氷雪造形術の合わせ技。

 さすがにビービー弾じゃ風斗で補ってもたかが知れてる。

 ……と考えていたらリルとサラが近くにきた。


「こいつは相当厄介だね。僕かサラ、どちらかが真化しようか? ベルローゼは

動くつもりないみたいだし」

「先生はさっき散々暴れたからな。どうしようもなくなった時だけ動くだろうけど」

「私もやってみたいんだけどなー。やっとできるようになったみたいなのよね」

「それは僕も初耳だね。一体どこで……まさか封印の中かい?」

「うん、さすがお兄ちゃん。ほわーっとしてる割に鋭いわね」

「僕は妹にそんな風に思われていたのかか。悲しいな」

「おっと話はそこまでのようだ。本当なら次の戦いで、馴染んだモンスター技を

試してみたかったが……こいつ相手だとそうもいってられない」

「三層では君一人で戦わないといけない場所に行くんだよね? それならここは、僕に

任せてくれないか?」

「ああ、こいつが前回戦ったような種類の守護者なら、今度はリルに封印してもらいたい。

お願いしよう。他は全員戻っててくれ!」

『了解!』

「仕方ないな。その間だけ奴の注意を引いておいてやろう。行くぞ」

「はい、先生!」


 先生と俺が前進して重なる様に斬撃を放っていく。多少の傷はつくが、すぐにふさがってしまう。

 治癒というより再生能力に近い。これじゃ相当なダメージを与えてもすぐに元に戻ってしまう。

 メルザとの距離を考えて、オペラモーヴを一発入れるか? いや、この場で足手まといに

なるかもしれない状況はまずいか……アナライズもしてるし、無理ないように行動しよう。


「赤星の矢・爆!」

「なら少しだけ見せてやろう。そうだな、ビノータスか。なるほど……赤白星の追尾矢・散」


 赤白色の矢が飛び交い、多重に分裂して相手を攻撃する。そういえばビノータスの矢は追尾していたな。

 先生の方があいつと対峙していた経験が多いのだろうか。あの場では俺とファナが退治していたが……

 しかしなんてやつだ。先生と俺の攻撃した箇所もすぐに再生してしまう。攻撃こそ薙ぎ払いや触角で攻撃

するだけだが、こんなのと戦いながら他のモンスターが来たら洒落になら……えっ? 


「ターゲットに反応。上空に五……あれは、クラークルか! くそ、やりづらい」

「ふん。どうやら準備出来たようだぞ。後ろに下がって貴様の主を守れ」

「あれがリル? 信じられないほど外見が変わった! そういやアルカーンさんやフェドラートさんの

時もそうだった」

「それはそうだ。真化の説明をしたろう。魔族としてのより濃い形態を引き出す。それが故、殺戮衝動が

止まらなくなる。俺たち妖魔は、本来魔族より人としての血が濃い。魔族としての力を引き出すのが容易で

はないという事だ」

「そうでした! 一旦下がりましょう……意識、あるのか? あれは」


 美しいリルは銀白色の髪を靡かせ、空中で腕を組みながら佇んでいる。

 右手に蛇を纏い、左手に無数の邪眼を光らせ目は黒い。

 

「ククク、余の前にひれ伏せ。そして敬え。其方の死は今確定する。エビルパンデモニウム」


 喋り方がまるで違うリル。どことなく恐ろしい雰囲気すら感じた。

 灰色の空間が広がり、次々とクラークルを飲み込んでいく。しかも封印された、なんて便利な技だ。

 しかしブエルは飲み込まれていない。触角を突き立て、足を固定し飲み込まれまいとしている。


「無駄なあがきを。その体制で絶望を欲するか……死の視線、オブリタレート!」


 左手の邪眼をかざすと、それらの邪眼が全てブエルの前に現れ、眼光が照射される。

 分厚い灰色の光が貫通していき、ブエルを飲み込んでいった……どの技も、妖魔の技らしく、体内へ

取り込もうとする力。その力があまりにも強大で、鳥肌がたつ。

 リルはやはり、強い。しかしあの形態のリルは恐ろしくもある。


「ふはははははは。物足りぬ。余暇を。誰か相手をしろ」

「リルさん。やめて! だめよ。それ以上は。私が、わかる?」

「なんだ貴様は……邪魔をするな」

「おい、カノン! 危ないぞ! 真化の最中に近づいちゃ」

「ふん、小娘などに用はない。どけ!」

「させないっすよ! 女の子を守るのはあっしの役目っすから!」


 ドルドーがリルの攻撃を闇の泥で防ぐ。

 それに気を取られている隙に、カノンはリルに抱き着いた。


「お願い、やめて。いつものリルさんに、戻って。優しくて大好きなリルさんに」

「どけと言って……くそ、本人の意思が……余はもっと、暴れたかった……ぞ」

「ここにいる人を傷つけてはだめ。あなたの大切な仲間なんだから……」

「カ……ノン。苦し……」

「ああ! リルさん。よかった、ごめんなさい、こうしないと止められなくて」


 ゆっくり降りてくる二人を、メルザはじっと見ていた。下唇を噛みながら。

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