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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第三部 主と突き進む道 第一章 海底の世界へ向けて

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第二百六十一話 沈みゆく者たち

「人数、予定より多い。ドルドー。捨てる?」

「だはー、勘弁してくださいっす! 捨てるならその妖魔でしょう?」

「彼、特別。この子も、特別。悩む」

「それより息できないっすよそいつら!」

「忘れてた。十分、闇。闇の支配領域。闇線状構造(ダークフィラメント)、展開」


 海に引っ張られるように落ち行くルイン、メルザ、ベルローゼ。

 ルインの中でブレディーが無数の黒い線状の物を生成して三人を包んでいく。

 それは四角い立方体となり、ゆっくりと下へ下へと沈んでいった。


「凄いっす! まだ闇が深くないのにこれほど綺麗に巨大なを線状構造を展開したっす!」

「当たり前。ブレディー、闇の賢者。ドルドー、忘れた? お爺?」

「ひどいっす! ……けど、この線状構造じゃ、抜けても第一層深海までっすよね?」

「この場所。海底、向かえない。一層、移動、必須」

「そういやここはトリノポートのベッツェンあたりっすよね。浮上して移動してからの

ほうがいいんじゃないっすか?」

「ドルドー、考え無し? この状況、海底、好都合。全員、行方不明。

認知、されない」

「そうだったっすね……そういえば、全員気を失ってるんすか? 誰もしゃべらないっすけど」

「わからない。イーファ、ドーグル、神に近い技、酷使」

「ファナちゃんは……あー、見えないっす。外出てもいいっすか?」

「ダメ。これ以上、重量、危険。第一層、圧、ギリギリ。ぺしゃんこ」

「ひぃーー。仕方ないっす。そういえば、ブレンダーとかいう捕らえてた奴が言ってた

紫電を手に入れるっていうやつ、ほっといていいんすか?」

「誰? ドルドーの友達? 知り合い?」

「そうだったっすね。心闇心使ったら、誰でもブレディーになっちゃうんすよね……

覚えてられるのは周りだけってのも困ったもんすねぇ」

「覚える? 必要? 闇、全て。飲み込む。でも、ここ。暖かい。居心地、いい」

「そうっすねぇ。この中はなんというか、包まれてるような感じっすねぇ。男ってのが

どうも気に入らないっすけど」

「ドルドー、さようなら。運命、離脱?」

「冗談っすよ! こんないい場所手放せないっす! お、だいぶ沈んできましたねぇ」

「おんし、線状構造、保護。役割、永劫」

「えー、やっぱりやらなきゃいけないんすか?」

「当たり前。人数、多い。多すぎる。さっさといきーし!」

「わかったっすよ! もう! 犬遣いが荒いっすねぇ! 闇の保護膜、闇域の塗壁」


 ドルドーが闇の中に溶け込み、一層分厚い闇の立方体となる。

 ゆっくりと流れるように落ちていくそれを、避けるように魚たちは移動している。

 時折巨大な海水魚がその闇の部分を通るが、何もなかったかのように通過していくだけだった。


「闇、溶ける、もっと、溶け込む。深海、圧、無意味になる」

「ううん……ルイン」

「目覚め? おんし、幻魔。特別、力」

「腹……減った」

「……可愛い」


 メルザの声を聴き、純粋にブレディーはそう思った。

 ブレディーの声はメルザに届いていないが、早く会話してみたいと思う。

 ルインはまだ目を覚まさないが、封印中の仲間は一人ずつ目を覚ましていく。


「こ……こは? 私、どうなったのかしら」

「ううーん。私が嫁一番乗りよ……」

「嘘、真っ暗っしょ。死んじゃったの私」

「賑やか。娘。平穏、終わり」

「先生? これ一体どういう状況?」

「あれ、夢の中でいいとこだったのに……」

「どうなってるっしょ。ベルーシン、どこ?」

「落ち着いて。全員、じっとして。深海、一層まで」

「深海? 一層? どういうこと?」

「ここ、海。海底に向かう。使命。でも海底、普通には行けない。

闇に溶け込む。中継地点、四つ。階層の切り替え、海底世界。

海、四つの深海、構成」

「……四つの深海、知ってるっしょ。親から聞いた」

「そーいやあんた人魚族だったわね。海には詳しいのかしら」

「そんなには詳しくないっしょ。深海なんて人魚でも行けない」

「深海、方法、極僅か。闇賢者、重力支配者、空間支配者、神、魔王……他」

「結構いるわね……神はいいとして魔王って何よ。そんな恐ろしい存在がいるの?」

「魔王、名乗れば、みんな、魔王。真に力を持つ魔族、魔王」

「そうか、そういえばここにいるほぼ全員が魔族だもんね。私も妖魔だし」

「この世界、ゲンドール。無数、魔大陸。魔に満ちる。神々が争った、結果。悪神、一度、勝利した」

「つまりその悪神から生み出されたのが魔族ってことかしら?」

「違う。交じり合った。人も、魔も、一緒。魔族も人。人も人。彼は変。異常。

複数、混じり過ぎ」

「……それってルインの事よね。前世があるって。でも異常でいいわ。

だって私たち全員、異常だもの」

「ファナ、そういう所、好き。大好き」

「その割に先生、隠し事してたわね。まぁいいけど」

「気にしない、所、好き。大好き」

「そういえばファナ。あんたって一体何者なのよ。私らの正体知っててなんであんたは

隠すの?」

「別に隠してるわけじゃないわ。ここでなら話してもいいのかしら」

「ファナ、ダメ。ここも、危険。空間、領域、地上と同じ」

「そう……ごめんなさい。また今度にしてくれる?」

「別にいいわよ。あんたが何者でも、負けるつもりはないから」

「そりゃ私もっしょ。もう圧勝してるけど」

「賑やか、楽しい。ここ、温かい。好き、大好き」


 ゆっくりと沈んでいく海の闇の中で、語り合う女性陣。

 衝撃を大きく受けたカノン、リル、ドーグル、イーファは起きていない。

 しかしパモとレウスさんは起きてその話をじっくりしみじみと聞いていたのだった。

 やがて話疲れたそれぞれは、再び寝静まった。


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