第二百四十一話 ウガヤの洞窟その三 突然の連絡
ファナを封印した俺たちは最深部を目指す。
途中ベルディアとサラもふてくされて封印の中に入っていった。
ドーグルとイーファ、パモも一時的に封印へ戻る。
残ったのは俺とメルザとリル。
ここまでの敵の強さだと、三人でも十分だろう。
ちなみに通常宝箱に罠はなく、中身は後でアナライズ予定だ。
「さて、今回はどんなやつがいるもんかね。今のところ強いモンスターもいなくて、外れ感はあるけど」
「けどよ、でかけろりんがボスじゃなかったぞ? 奥にいるのはちげーやつなんじゃねーか?」
「ここは変わってるからね。僕としては何度も入ってみたいかな。時間がないのが残念だよ」
「確かに時間がないな。急ぐとしよう。明日はいよいよ……」
「そうだな。それじゃそろそろ行こう! ……とその前にボス部屋も偵察してみるか。変幻ルーニー!」
「ホロロロー……言い忘れていたが……」
『うわぁー!』
突然ルーニーが口をパクパクさせて喋った! こんな機能聞いてないぞ?
いやまてよ……今言い忘れていたって……はぁ。
「なんでアルカーンさんの声が聞こえるんですか?」
「通信用の魔道具があれば貴様といつでも喋れるようにした。といっても私は忙しい。貴様に語り掛けるなど滅多にないが、貴様が語り掛ければ応じれる場合は応じよう」
「ルーニー状態で話しかければいいんですか?」
「そうだ。それと言い忘れていたが……貴様の左目から耳にかけてを覆う洒落た装備……ルーンギアと腰ベルトについてだが」
またそのパターンかい! じらすのが好きな奇抜妖魔として不動すぎるだろ。
「これがどうかしたんですか? 封印装備として有難く使ってますけど」
「どちらにもルーニーのようなマークがあるだろう。まずルーンギアの方から押してみろ」
「押す? まぁやってみるけど……うわ、気持ち悪い……視界が共有される」
「装着した左目だけにルーニーの視点が映る。ただしそう遠くまでの共有は難しい。次に腰部分のルーニーを押しててみろ」
これらをルーニーと呼ぶと、戦う妖魔戦士ルーニーとして生きていく事になりそうだからなぁ。
まぁいいや、押してみよう。
「わわ、腰部分から映像が。これってベルータスの時に戦いを投影したやつか?」
「ほう、知っていたか。視界を共有したい場合に使え。それと言い忘れていたが」
「まだあるんかーい!」
「なんだ? 聞きたくないのか? ならいいが」
「すいませんでした教えて下さいお願いします」
「ふむ。以前の蛇盾剣同様、時術が付与されているがさらに上、不動が付与された。わずかな時間攻撃した対象を不動にする。こちらは私ではなくフェドラートの助言だ。だが対象の時が止まるわけではないし、効かぬ者もいる。これは防御、攻撃どちらでもだ。つまり……」
「ルーニーが攻撃しても不動が付与されると?」
「そうだ。上手く使いこなしてみせよ。何せ私が作成した初めての夢幻級なのだからな。以上だ」
「ホロロロー」
「アルカーンていつも不意をついてくるんだよね。よほど信頼してないと会話機能なんて付けないと思うな。多分フェルドナージュ様より信頼されてるんじゃない?」
「リル、それはきっと違うぞ。アルカーンさんは俺からいつでも時計に関する情報を聞き出す
つもりだ……」
「そうか! それなら確かに聞きにいかずに作業しながら出来るね」
「その装備俺様も欲しーけど、作ってくれないかなぁ……」
三人で大きくため息をつき、ルーニーに最奥部を偵察するよう指示した。
リルと休憩していると、ルーニーが戻ってくる。
「ファーヒー」
「お疲れ様。ばっちり見れたよ」
「もう戻ってきたのか? 俺様、腹減ってきたから早くいこーぜ!」
奥にサイクロプス三体。仲間の力が必要だ。ついでにサラやリルも封印出来るだろう。
しかしこの洞窟は外れっぽいな。
「メルザ、奥にサイクロプスが三体いるけど平気か?」
「……ああ。もう怖がらねー。村をおそってとーちゃんと母さんを殺したやつにだって戦える!」
「ギルドーガだったか? 今の俺たちじゃまだ戦えないだろう。でも、いつかきっと打ち勝つ強さを手に入れよう。俺たちで」
「そんな面白そうなこと、僕抜きでやらないで欲しいな」
『私たちもよ』
みんな出てきたか。それじゃ行こう。ボスの場所へ。
最深部に入ると空気感が変わる。ひやりとした空気。かなり天井も高く広い。
その中に巨大なこん棒、剣、斧を持った三匹のサイクロプスたちがいた。




