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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第三章 知令由学園 後編

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第二百二十八話 深溝の樹海に降り立ち

 キゾナ大陸西部に群生する樹海に降り立ったルインたちは、まず周囲の安全を確認し始

めた。


「円環の糸は俺たちで探してくる。ルシアはここで待っていてくれ」

「分かった。なるべく早く戻れよ!」

「おーいそろそろ縛りを解いてくれないか。何もしないから」

「リル、そろそろいいぞ。一応これでも相当な実力者だ。最悪肉盾として使うから」

「仮にも王子なんだよ!? 扱いが毎回酷いねぇ……」


 本当に打たれ弱いな。面倒だから放っておこう。

 メルザを見ると木の上の方をみて呆けている。どうしたんだろう? 


「メルザ、指くわえて何見てるんだ?」

「あの木に成ってる実、喰えるのかなーって……」

「……相変わらずだなメルザは。うん? これって桑の実じゃないか?」


 木に登って実を取ってみると間違いなく桑の実だ。昔取って食べた記憶がある。


「メルザ、水斗で洗ってくれないか。食べれる実だぞ、これ」

「ほんとか? 水斗! えへへ、どれどれ……へー、面白い味がする」

「しかしこれ、全部桑の木なのか? メルザ、その赤いのはやめておけ。酸っぱいぞ」

「---! 酸っぺぇ! こりゃ喰えねぇ!」

「ふふふ。君たちは賑やかでいいね。私も楽しめそうだよ」

「そろそろ先へ進もうか。日が暮れる前に戻りたいしね」

「早い所戻って準備をした方がいい。君たちは泉から突然現れるけど、何か洞窟でも

あるのかい?」

「まぁそんなとこだ。ジオを入れる気はないけどな」


 また膝から崩れ落ちた。面倒な王子だなおい! 


「こいつも入れてやっていいんじゃねーか? なんか面白いし」

「味方って決まったわけじゃないぞ。警戒はしておかないと。なにせこいつは……」


 と言い終わる前に敵さんのお出ましだ。


「前方に四、こっちを狙ってる。ジオも一緒に戦ってくれ」

「んー? 敵かねぇ。見当たらないけど君には見えるのか」

「本当にそら恐ろしい能力だよ。絶対奇襲が通じないようなもんだしね」

「確実に防げるわけじゃない。この能力にも死角はあるはずだ。来る……地中だ!」


 地面から四匹の巨大なカイコが出てきた! 


「ふーん、ここはアダマンカイコの群生地か。あんまり興味ないけどねぇ。まぁいい

や、実力を見せよう……瞬剣!」


 すらりと装飾剣を抜いたジオは、そう呟くとカイゴが出現した場所より後方にいた。

 こいつはやはり強い。一瞬で振り抜き四匹を仕留め……てはいなかった。

 剣が折れてる。仕留められたのは一匹だけだ。


「あれ、固いねぇ? どうしよう。剣貸してくれない?」

「余ってる剣なんて持ってきてない!」

「なぁなぁ、俺様がやっていいか? 新しい術試したくてよ」

「私もせっかくだから実力をみせたいな……ダメ?」

「それなら僕も戦いたいなー。あいつも封印したいし」


 ……みなさんうっぷんが溜まっているようです。俺の出番は無さそうだ。


「よーしメルさんリルさんアネさん、こらしめてやりなさい!」

「おお、かっこいいなそれ! 俺様もあとでやる!」

 

 茶の間で大人気を誇るスーパー老人のモノマネをしたら以外とうけた。

 三人はアダマンカイコに振り向き、それぞれの攻撃を開始する。


「二術合成、邪燃斗(ジャモルド)!」

「妖雪灰燼(セッカイジン)の術」

「デスマンティスの技が使えるようになったんだ。死毒霧!」


 リルとアネスタさんに蚕がシュルシュルと吸い込まれていった。

 封印成功……俺の分は残っていない。

 それにしてもメルザはとんでもない術をみにつけたな。灰色の炎がまだ燃えてる。

 アネスタさんも氷術のスペシャリストのようだが、雪を操れるのか。

 雪で包まれた対象が、まるで燃えた灰のように崩れて吸い込まれていった。

 リルの技はデスマンティスの死の毒霧か。

 使う場所に注意は必要だが、俺のデスマンティス技、死毒の鎌より使い勝手は良さそうだな。


 ジオを見ると、驚きすぎて口が開いたままだった。


「ルイン、君らの実力を侮っていた。武器を使うなら僕が上だけど、技や術ありきでなら

どうなっていたか分からないねぇ。特にそっちのお嬢さんはとんでもない」

「そりゃ俺たちの主だからな、メルザは」

「そうか、彼女が君らの王様ってわけだねぇ。恐れ入ったよ。学園に入学した人たち以外

にも仲間がいるのかい?」

「ああ。俺たちとは別にライラロさんやシーザー師匠、別行動中だがハーヴァルやセフィ

アたちがいるな」

「……ガーランドの者かい。ライデンには……」

「ライデンは敵として認識している。どこにいるかまでは知らない」

「そうか、それならば他の強者にも応援を頼みたい。僕から頭を下げる必要はあるだろう

けどねぇ」

「出来ればカノンには会わせたくないな。あの子は円陣付近の村で酷い目にあってるから」

「……そうか。円陣の都だけでもかなり酷い状態だ。近隣の村はもっとだろうねぇ。

さぁ、話は後にして目的のものを探そう」


 確かこの辺りに下へ通じる道があって、その中のどこかに円環の糸があるんだったな。


「リル、上空から下へ通じる道を探してくれないか? あ、もうやってた……」


 リルは既に飛翔して空から見下ろしている。

 しばらくしてすーっと降りてくると、一本の木を指差した。


「あの下じゃないかな。かなり大きい木があるんだ」

「それなら私が中を探ってみよう」

「アネさん、そんなことまで出来るんですか?」

「すげー! さすがは姉さんだ!」


 頼れる仲間が増えるのは本当に有難い。

 ここは実力拝見といこう。ジオには円月輪でも渡して活躍してもらうとするか。

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