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第二百二十三話 ルーンの町に戻ろう

「まさかあのときの青銀スライムがトリノポートの王様だなんて、長生きはするもんだね

ぇ」

「婆さんどうだ? 王様は戻せそうか?」

「確認してみるよ。……これは魔獣凝固薬の類だねぇ。必要となるものが幾つかある。

幻泉草、円環の糸、水虹の源……後は簡単に手に入る素材だよ」

「俺にはさっぱりだ。ライラロさん頼む」

「私も分からないわよ。錬金術か何かの類でしょそれ」

「魔術系の道具じゃよ。これだけ人数がおるんじゃから手分けして探せばすぐじゃろう?」

「そうだな。おいルシア! 一旦ルインたちを送ってやりてぇ。ここまで乗せてってくれ

ねぇか?」

「おいおい、俺たちは運び屋じゃねえぞ?」

「さっきセフィアが言ってた愛しい子っての、見たくねぇのか?」

「おい野郎ども! 戦争だ! そいつのアジトまで速攻行くぞ!」

「え? 戦争? 俺たちの町はメルザと俺が認めた者しか入れないが」

「だったらその場所まで行ってさっさと入れるようにしな!」

「まぁ師匠たちの知り合いなら平気か……案内してもらえるのは助かる」


 俺たちは全員ルクシールという乗り物に乗り、とてつもない早さで知令由学園

の泉まで戻った。

 ステルスはずるい……これなら居場所はばれなそうだ。


 久しぶりにルーンの町へ戻ると、すぐメルザが駆け付けた。

 居場所がおかしいことになっていて心配していたようだ。


「メルザ。急いで知令由学園方面へ出るぞ。すぐに戻るけど」

「どうしたんだ? すげー心配したんだぞ。なんか急ぎみたいだからとりあえず行くけどよ」


 その前にちゃんとやることがあったな。

 俺はメルザを抱き上げてにっこりとほほ笑む。


「その前に、ただいまだった! ただいまメルザ!」

「ああ! お帰りルイン! 無事でよかったぞ!」


 そのまま泉にボチョーンと飛び込んだら少し怒り顔になった。

 すまんが今は時間が惜しい。

 泉から浮かび上がると周りを確認する。

 よし、誰もいない。


「みんな、大丈夫だ。誰もいない」

「よし、光を解除する。すぐに入らせろ」

「メルザ、今から現れる奴全員ルーンの町へ入れるぞ」

「わかった、信用する」


 俺たちは全員泉へと赴きルーンの町へ再び戻った。


「おいおい、なんだこりゃ。泉の中にでっけー町だと!?」

「ようこそルーンの町へ。集団のお客さんは初めてだな」

「いやっふぅ! ここをアジトにするぞてめーら!」

『おおー!』

「えーっと、まぁいいのか? メルザ」

「ああ! 変なのいっぱいいて楽しそーだ! にはは!」


 相変わらず我が主は寛大なことで。


「ファナやベルドたちはちゃんと戻って来てるか?」

「ああ、みんないるぞ。これから探しに出かけようと思ってたんだけどよ。シュウがおか

しくなっちまったらしくてな。今ベルドが抑えてるトコだ」

「シュウが? 詳しく聞きたい。ベルドの許へ案内してくれ」

「その前におめぇがセフィアをたぶらかしたって女だな! おい、勝負しろ!」

「え? セフィアってあのおっかない姉ちゃんのことか? 俺様好きじゃないんだよなー」

「おい野郎ども! この女は俺のマブダチだ! 手ぇだすんじゃねえぞ!」

「え? さっきと言ってることちげーしよ。はぁ、あの姉ちゃんも来てるよなきっと」

「ああ。あそこでぐったりしてるけどな。吐いた後で」


 俺たちの町も随分と賑やかになったな。

 個性的で賑やかなのは大歓迎だ。色々落ち着いたら町で祭りでもするか。

 この町にはまだスペースに余裕がある。北側付近の一角を使ってもらおう。

「ルクス傭兵団はそうだな、あの一角を使ってくれ。うちには色んな亜人たちが住んで

る。仲良くしてやってくれ。武器防具売ってる店もあるからな」

「まじかよ。とんでもない所だなここは」

「それだけじゃないぜ。ここは他の大陸とも繋がってる。妖魔国、トリノポート、キゾナ

大陸に出れちまう」

「妖魔国だと! おいおい、信じられねぇ……」

「ただ妖魔国へ勝手にルクシールで出ないでくれ。フェルドナージュ皇帝に殺されるぞ。

それに妖魔国の空にはベオルブイーターってとんでもない化け物が飛んでるから」

「勝手な行動はしねえよ。俺のマブダチ、メルザっちの言うことはちゃんと聞くぜ。

んじゃ野郎ども、まずは町の探検だ! いやっふぅ!」

『いやっふぅ!』


 こいつら息ぴったりだなー……ある意味羨ましい。

 ……羨ましがってる場合じゃなかった。ベルドの許へ行かないと。


「なんか楽しそうでいいな、ルイン! 仲間一杯だ!」

「後で全員紹介するから。今はまずベルドのところへ行こう!」


 メルザに案内されてベルドの許へ赴いた。

 そこには縄で申し訳ない感じに縛られたシュウさんがいた。

 しかし、険しい表情などは浮かべていない。


「ベルド、心配かけたようで済まない。一体どうしたんだ?」

「おや、お帰りルイン。君のことだから無事に戻ってくるとは思っていたけど随分騒がし

いな。こちらはちょっと不可解な感じでね。シュウさんが操られたか何かで少しおかし

かったんだ。だが本人であることは間違いないようだ」

「自分でもよく分からない程度の操作だったみたいだ。この町のことを隅から隅まで調べ

ないといけない感覚と、ここにいる人の強さを調べないといけない感覚だけがあった」

「何かの操作系能力とか?」

「多分そうだね。偵察……というより実力を探るってことは敵対したくない、或いは味方

に引き入れたい……ってとこかな」

「それならセフィアさんがいるし、掛けられた何かを解いてもらえるかもしれない」

「治癒術師がいるのかい? それは随分と貴重だね。末恐ろしい町だよ本当に」

「そうだな。あちこちの大陸に繋がってるし……そうそう、それどころじゃないんだっ

た。シュウを連れてセフィアさんの許へ。イーファを戻す方法が分かったんだ。みんな

に手伝ってほしい」


 俺たちはルーンの安息所へ向かい、今いるメンバー全員で話し合うことにした。

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