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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第三章 知令由学園 後編

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第二百二十話 違和感

 ルインとベルディアが気を失っていた頃………。


「君たち二人に教えられる者は残念ながらここにいない。この国では特に槍兵を募集して

いるんだが、応募してみないか?」

「僕らはそれぞれ違う大陸出身の者でね。この国の兵士になるつもりはない」

「もう少し槍術が学べると思ったのですが、残念ですわ。ところで先ほどから天井に穴が

開いたりなど、とても騒がしいようですが……」

「ああ、気にしないでくれ。それより一緒に食事でもどうかな?」

「では……」

「いえ、僕らはこれから古代樹の図書館へ向かう予定なんだ。なぁ、ミリル」

「え? ……そうでしたわね。それでは」

「残念だ。また機会があればおいで」


 その場所を後にする二人。

 先ほどのやり取りを疑問に思ったミリルは、ベルドに確認してみた。


「どうしてお食事を断わりあんな噓を? 特に図書館へ向かう予定はなかったですわよ

ね?」

「なんとなく……かな。嫌な予感がしてね。この大陸には昔父と来たことがある。どう考

えても今、この国丸ごと違和感だらけだ。モンスターが溢れる農林、常闇のカイナの

話、学園の様子、円陣の様子……何か良くない大きな力が働いていると思う。唯一まとも

に機能していそうなのが古代樹の図書館だが、あそこは様々な外敵から守る工夫が施され

ている場所だ。なんせ数千、いや数万年前からあるかもしれない建物だからね」

「わたくしも以前この大陸に伺ったことがありますが、まだ小さかったのでそこまで詳し

くはありませんでしたわ。講師にも警戒が必要なんですのね……」

「そう言う事だ。一度図書館へ行こう」


 ――二人が図書館の前に着くと、メルザとファナ、フェドラートと偶然一緒になった。


「おや、奇遇だね。このタイミングで三人と会うとは」

「ええ。これから休憩をしにルーンの町へ戻るか、先に図書館へ行くか考えていた所です。

メルザさんに礼儀作法を……と思ってました」

「俺様腹減ったんだよー。学園の食堂にいこーぜ」

「ルインさんたちはまだなのかしら? 出来ればみなさんと一緒に食事したいですわね」

「実は少し話したいことがあってね。僕らは多分、この学園で目立ちすぎて目を付けられた

ようだ。警戒を強めておくべきだろう」

「……そうですね。一度ルーンの町へ戻りましょうか。図書館へはその後向かうか考えま

しょう」

「んじゃ俺様ルインをここで待つ!」

「行くわよメルザ。ルイン達がいつ終わるか分からないから食べ物なくなっちゃうわよ」

「むー……仕方ないから戻るか……」


 全員でルーンの町へ戻るとニーメたちも戻って来ていた。


「お帰りなさい! マーナとココットと一緒にご飯作ったんだ! アルカーンさんは研究に

没頭してるからそっとしておいてね」

「アルカーンは相変わらずですね。私はこれから妖魔国へ向かいます。メルザさん、くれぐ

れもお行儀よくしてくださいね?」

「ひっ……わ、わかったよ。おさじはこう……で、えと、こうだ! もぐもぐ、うめぇ!」

「いただきます……はどうしましたか?」

「ひぃっ……いただきます……」

「よろしい。ではみなさん、失礼します」


 一言告げてメルザを怖い顔で一瞥すると、フェドラートは去っていった。

 その様子を見てから、ベルドも腰を掛けて食事を取り始める。


「これは美味しそうだな。俺もいただくとしよう。しかしフェドラートさんは厳しいが

落ち着いている方だな。妖魔は皆そうなのか?」

「……?」

「うーん、フェドお兄ちゃんが特別そんな感じじゃないかなぁ? サラ姉ちゃんやフォ

モルさんは全然落ち着いてないし」

「そうよねぇ? あんな女、まるで落ち着きなんてないわよ。もっと言ってやって」

「お姉ちゃん、サラ姉ちゃんと絡んでるとき凄く怖いよね……」

「そ、そんなことないわ! 私はニーメに優しいでしょう?」

「僕に優しくてもサラ姉ちゃんには厳しいでしょ? もっと仲良くしてほしいな!」

「ぜ、善処するわ……」

「……二人とも姉弟仲がいいね。僕はベルディアとあまり仲良くはない。ボルドとベル

ディアとの関係みたいで微笑ましいね」

「ベルドさんはご兄弟が沢山いらっしゃるのね」

「ああ。六人兄弟だよ。今は僕とベルディアだけここでお世話になってるけどね」

「ご兄弟がいて羨ましいですわ。わたくしは一人娘なので」


 と話していると、さじを握りしめたままメルザが動かなくなる。


「あら、メルザったら寝てしまったわ。術の特訓で絞られたのかしらね。

私、お布団まで運んでくるわね」

「僕らも食事を片付けて休むとしよう……シュウ殿。訓練場で少し手合わせ願えないか? 

闘技大会では一度も手合わせ願えなかった。ぜひ一度戦ってみたかったんだ」

「ああ、こちらからお願いしたいくらいだ」


 ――西エリアにある絶壁の訓練場。

 激しい戦闘を想定したのか、闘技大会以上の広さが用意され、一対一は勿論集団での戦闘

訓練も可能。


「さて、シュウ殿。始めよう」

「ああ、よろしく頼むよ」



 相手は闘技大会出場者。遠慮はいらない……な!

 シュウは二本の短い忍刀を引き抜き突進する。

 ベルドは二槍で構えシュウに備えているが、様子を伺っているだけだ。


 シュウは右にスライドしながら手裏剣を四枚投げる。


「狙い通りに来るね。素晴らしい」


 槍で簡単にはじき落し、最後の一枚を槍の先端で受け止めた。

 クルクルと回転し続ける手裏剣を槍のまま投げ返す! 

 自分の忍刀ではじき落した。


「なんて技量だ。対槍使いとしては過去一番だ!」

「どうも。この槍に全てをかけてるからね」


 いつの間にか槍を一槍に切り替えて上空へ飛んでいた。


「速突槍」


 一瞬で間合いを詰めてきた! ギリギリ忍刀で挟むようにして受け止める……が悪手。


「へぇ。その止め方、君も少しルインに似てるね。連牙槍!」


 いつの間にか二槍に戻した短槍で、正面を埋め尽くす程の連続突きがシュウを襲う。


「ぐ、防ぎきれん! 忍術、風嵐! なっ!?」


 ベルドは遠くに離れ、既に空中へ飛んでいた。


「重空槍」

「ぐあ! やりすぎだ。ベルド殿」

「さっきのは忍術じゃないね。君、一体誰だい? なぜこの町に入れる? もしかすると

体はシュウ殿のものなのかな。だとするとこれ以上傷つけたくはない」

「な、何を言っている? 俺はシュウだ。シン師匠に忍術を習い、ここへ来た」

「そこまではシュウ殿だったと思うけどね。操られたのが君でまだ良かったよ。アルカー

ン殿だったら全滅だった。研究に没頭していてくれたのが、不幸中の幸いかな。一先ず落

とそう」


 ぱたりと倒れるシュウ。

 さて誰の仕業なのか……学園の違和感と常闇のカイナ。

 ルインと一緒とはいえ少し妹が気がかりだ。

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