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第百九十八話 神話級アーティファクト コラーダを掲げて

 カノンに治療してもらい、ファナが血を拭ってくれて少しずつ目が開く。


 戦闘を終えて一時間程みんなで休んだだろうか。

 オペラモーヴの威力は凄まじく上がっている気がする

が、使用すれば良い幻薬がない限り、ほぼ戦闘不能になるのはまずい。


「ルイン、だいじょぶか? 俺様心配だよ……オペラモーヴ、使わないとダメか……?」

「心配するなメルザ。この技自体幻魔の宝玉の影響だと思ってる。古代樹の図書館で調べれば

色々わかる……といいなーって思ってる」

「反則的な切り札よね、それ。おかげで何度私たちが命拾いしたかわからないわ」

「俺もそう思う。一振りで何でも解決出来るような主役には、なれそうにないな。はは

は……」

「ルインは十分かっこいいぞ。やばくなったら絶対どうにかしてくれる」

「俺一人じゃ馬や鳥のエサになるのがいいとこさ。自分一人で何でも出来たらこれほど

までに多くの仲間は集まらなかっただろう? 今でも俺とメルザだけかもしれない。

弱いくらいでちょうどいい。工夫して努力出来る余地があるからこそ圧倒的強者に立ち向

かえるんだよ」

「ああ。俺様たちもっともっと強くならねーとな!」


 俺たちはまだまだ弱い。

 強大な敵にたった一人で立ち向かえるシーザー師匠やベルローゼさんのようにはいかな

い。

 特殊な妖魔封印が俺にはある。色んな仲間が助けてくれる。

 こいつは未熟な俺を救ってくれるために与えられた、どこぞの神ってやつが授けてくれ

た力なのかもしれないな。


「神に嫌われ、神に愛された者……か」

「其方、今何と申した?」

「ん? どうしたイーファ。神に嫌われ、神に愛された者ってのを海星神イネービュ? 

とかいう神……の使いか? ってやつに言われたことがあるような、ないような……うー

ん」

「はっきりせんのはいいが、私はとんでもない人物の中にいるのかもしれん。ライラロに

早く元の体に戻してもらう術を探してもらうとしよう」

「そっちの件もあるし、古代樹の図書館に行かないとな。その前に領域拡張と学園も……

そうそう気になってたんだが三夜の町ってどういう歴史があるのか知りたいんだ」

「そちらは帰りながら話そう。まずはコラーダの下へ」


 イーファにそう言われ、俺は両目を開いてみる。だいぶ見えるようになった。

 手をつかんで離さないメルザと一緒に歩き出す。奥の台座を見ると……「すげえ。こん

な綺麗な剣目にするのは初めてだ。細かい文字が刀剣にびっしり刻まれてるが、文字がま

るで装飾みたいだ」

「その通り。これはリル文字という輝きを表して綴る文字だ。強大な術が施されている。

ただ単純に文字を綴った所でこうはならない。モリアーエルフの神が作ったとされる代物

だ」

「こんな綺麗な剣、妖魔国でもお目にかかれないね。けれど神話級の武具にしては

カドモスやピュトンのような超越能力はあまり感じられないね」

「そういえばそうだな。カドモスやピュトンが温泉にいるだけで温かい温泉に浸かってる

のに凍り付いたぞ俺は」

「上手いこと言うね君は。僕やフェドラートもそう思ったけど」


 この武器からは、温かさみたいなものが伝わってくる。

 恐らく二対揃わないと真価は発揮されないのだろう。

 剣を改めてよく見る。

 柄は黒光を放ち、刀身が赤く揺れてリル文字装飾は青銀に光を放っている。

 曲刀だが湾曲は浅く美しい。

 傍らにある鞘も似た作りになっており、間違いなくその辺に差して歩いていれば、狙わ

れ奪いに来る者がいるだろう。


「さぁルインよ。手に取ってみるがよい」


 コラーダを手に持ち天井に掲げた。目立つ、これは絶対に目立つぞ。

 軽い……何も持っていないようだ……何も持ってない俺……何も!? 


「あれ?」

「あら?」

「え?」

『えーーーー!?』


 掲げたはずの剣が忽然として無くなった。何も持たずに手を掲げる俺。

 別方向で目立った。

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