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第百九十七話 守護者セーレと守護者ストラス

 しっかりと安全な場所で休憩した俺たちは、先へと進んだ。

 細い通路を歩いて行くと左右に明かりが灯る。

 いかにも奥に何かありますって道だ。


 その場から奥の方を見ると、細かい紋様が刻まれている扉があった。

 ゆっくりと扉を押して開くと、かなり広い空間の部屋がある。

 部屋の中には高い部分に台座が存在し、入り口からでは何が乗っているかまではわか

らない。


 そしてそこにはイーファから聞いたとおり、装飾具を身にまとう守護者セーレと思わ

れる天馬と、守護者ストラスと思われる巨大な鳥が待ち構えていた。


 双方共入口の扉方面を見たまま立ち尽くしている。

 部屋に入っても動く気配はないが、リル、サラ、ファナ、カノンを既に封印から出してある。

 レウスさんはくれぐれも突っ込まないように念入りに注意しておいたら、へこんでしまった。


「メルザ。エレメンタルを。得意な三つで」

「主として権限を行使。火、邪、蛇の斗。改元せし三つの理。燃流出乃(モルディナ)、|邪

流出乃ジャルディナ巳流出乃(ミルディナ)を我が元に」


 メルザの周囲にエレメンタルが展開する。


「リル、サラ、カノンは手筈通りに頼むよ」


 三人共こくりと頷く。


「ファナ、メルザの援護を。ドーグルも出て、メルザの援護を頼む。レウスさん、俺が

突っ込んだら出番です。期待してますよ」

「ああ。やっとか。早く出たいぞ! な? 俺が必要だろ?」

「ええ。突っ込んだら! です。ではみんな、散!」


 合図で全員一斉に動き出す。天馬めがけて一気に駆け寄り赤星の針を放つ。

 左にいる天馬を俺へ釘付けにさせるのが目的。

 赤星の針が届く前にレウスさんが死神の使いを三体出現させる。

 死神の使いはふわーと鳥めがけて突っ込んでいく……が、まだ動き出さない。


 そして、赤星があたった瞬間同時に動き出した! 

 天馬はまるで攻撃が効いていない様子。初撃は無効なのか? 

 鳥は大きく飛翔し、うっとうしい死神の使いには我関せずで攻撃をレウスさんへ開始し

た! 

 やはり一筋縄ではいかない。


「うお、妖楼!」


 レウスさんを貫通して直線状の俺に鳥のまき散らした羽が飛来した。

 地面に突き刺さった羽が盛大に爆発する。


「赤星の小星!」

「ヒヒイーーーン!」


 まじかよ、赤星を落雷で相殺しやがった。そのまま突撃してくる。回避できない! 

 と思ったら突進を止めて上空へ駆けてゆく。何つー動きだよ。

 攻撃を止めたのはファナの弓とメルザの邪剣のおかげか。


 鳥の方はメルザの蛇群が抑えてくれてるってのに。

 リルとサラも鳥につきっきりだ。あちらは空中戦をしている。


 イーファから事前に情報を聞いていた俺たちは、対策をとっていた。

 相手は両方飛ぶが同じような動きではない。

 飛行を維持しやすい鳥を引き付けている間に天馬を倒すのが狙い。

 ただ飛行を維持する鳥を止めるには、遠距離と近接両方の攻撃を兼ねる必要がある。

 どうにか俺が天馬をしとめないと苦しい展開になってしまう。


「ずっと空走ってんなよ! 赤海星の矢・速!」

「ヒヒイーーン!」


 俺の持つ奥の手以外の最速攻撃がセーレにヒットする。


「隙ありだ。氷塊のツララ!」


 氷塊のツララが飛来して天馬に突き刺さる……が効いてない。

 なんでだ? こいつは氷耐性が高いのか? 


「いいわ。ルイン! 準備出来たわ!」

「カノン、ファナ、頼む!」

「やねよりたかい、こいのぼり。おおきいまごいは、おとうさん。ちいさいひごいは、こ

どもたち。おもしろそうに、およいでる」


 クインとニーナに変身したカノンの遊歌で、巨大な魚が三匹宙を舞いながら泳ぎ始める。

 天馬はそちらを意識し、敵対行動を取り始めた! 


「ファナ!」


 ファナは牛鬼に変身してトランス状態になる。

 俺をつかみ一気に天馬へぶん投げた! 


「いっけえーー! オペラモーヴ!」

「ヒヒイーーーー!」


 天馬がふっと消えて封印された。予想通り封印出来た。

 目が開かず着地に失敗してそのまま地面に叩きつけられる。


「ぐっ、すまない。鳥の方は頼む」

「ルイン! 大丈夫か!? 今そっちに……」

「平気だメルザ! そいつも守護者、甘い敵じゃない! 今の俺を助けても

戦線に復帰できない!」

「……わかった! 氷臥斗! くそ、なんかこいつ素早くなったぞ」

「天馬がやられたから本気を出したってところかしら」

「ごめんなさい、私の魚もそろそろ持たないわ」

「俺が引き付けるぞ! まかせろ! な? おいこっちだぞ! ストちゃん!」

「キュルーーールル!」


 いやストちゃんて。怒ってますがな。絶対。

 なんか砕ける音した。粉砕したか。見えないけど。


「動きが速くて僕とサラの術も決まらない。フェザーシュートもあたらないや」

「糸で縛るのも難しいわ。動きを確実に封じる方法はないかしら」

「わらが少しなら封じることが出来る。その間にやれるか?」

「本当かい? 頼むよドーグル。サラ、あいつの封印は君が」

「わかった。けどいいの? あんな大物もらっちゃっても」

「構わない。僕には模倣があるからね。行くよ」

「念動力、磁場!」


 磁力で封じるのか! 鳥の身に着けている装備が地面に引き寄せられれば動きは止めら

れるな。

 長く生きてるだけあるね、ドーグルは。


「いくよお兄ちゃん、ファナ! 主ちゃん!」

「グオーーーーー!」

「燃刃斗!」


 メルザが先制し、ファナが投擲しているのだろう。


「邪術、強糸縛り」

「呪印、烈天の鳳凰! ファナ、とどめはよろしくね」

「ルインにもらったナックル、くらえー!」

「キュルーーールル!」


 最後の最後で役に立ったか。よかった。


「みんな見事であった。無事倒せたな。

其方、大丈夫か?」

「ああ。メルザとは少し離れて撃ったから、時間が経てば回復するよ。毎回血が出るのだ

けはどうにかならないもんかな」

「恐ろしいダメージを与えるが自らも傷を負うか。呪われた力。多用は禁物とみえるが」

「そうだな。これに代わる力を手に入れたいが、結局こいつ頼りの場面がまだまだ多い。

未熟だな、俺は」

「コラーダと共に成長するがいい。あの剣はもう、其方を主と認めたはずだ」

「だといいんだけどな。カノン! すまないが治療を頼めるか!」

「うん。今行くね。お疲れ様!」

「へーきか? ルイン」

「大丈夫だよメルザ。ただ少しだけいつものように手を繋いでくれないか」

「ああ。見えないときは俺様が引っ張るから」

「……ありがとう、我が主」


 俺はメルザと手を結び、強い光をその手に感じ取った。

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