間話 戦闘傭兵集団 ルクス
「ふざけるなよ。こんなはした金で俺らが動けるとでも?」
「そういうな、このままだとトリノポートが危ういかもしれないんだ」
「知ったことかよハーヴァル。昔のよしみだとしてもこんな金じゃ依頼はうけれねーな」
「……セフィアの寝顔を取った魔道具をつける」
「……他には」
「……セフィアのスカーフだ」
「のったぜ! いやっふぅ! おいてめーら、仕事だ。場所はトリノポート周辺から付近
の大陸に至るまで。捜索対象はイーファウルトリノ。捜索方法に手段は択ばねえ。どんな
痕跡も見逃すな。変異および変身してる可能性もある。この傭兵団ルクスの名のもとに失
敗は許さねえ、いいな!」
「へい、ルシア様!」
「散!」
やれやれ、どうにかなった。あいつら動かすのはやばいが仕方ないか。
ライラロもベルディスも何処に行きやがった。はぁ……胃が痛ぇな。
「おいハーヴァル。てめぇルシアに何か変なものやろうとしてねえか? 俺の名前が聞こ
えた気がしたがよぉ、おい」
「ん? してないぞ。ほら、これでも飲んで落ち着けって」
「ったくよぉ。グビッ なんだっていうんれすかぁ? まったくぅ。あらしはおこりなす
よ? こんなへんてこなとこにルシアちゃんがいるわけないれすかぁ」
「ああ、もういないな。帰るぞセフィアー。スカーフもらうわ。新しいの買ってやるから」
「らんれすって!? 気が利きらすねハーヴァルったらぁ。れへへ」
「そうだろ? ほら吐く前に帰るぞ。ここ汚すとあいつ怒るから」
「はきらせん! 今日はあらしもはきらせんよー! れっへん」
ハーヴァルはさっさとセフィアを担いでその場所を後にする。
建物から出たハーヴァルは空を見上げる。
戦闘傭兵集団ルクス。文字通り光の速さが如く動き回るルクシールという飛行物に
乗り集団で行動する傭兵集団。
世界中で捜索任務を請け負い、その実力もさることながら高い索敵能力を有する。
そしてリーダーのルシアは女だが、セフィアにとことん惚れていた。
「出来ればこいつを引き取ってくれると俺としても嬉しいし助かるんだがなぁ……い
や、そうすると結局俺も呪いでルシアについていかなきゃいけないわけだが……はぁ」
「らんれすかー? そんなにわらしと二人なのが嬉しいんれすねぇ? ハバールたらぁ」
「誰だそれは! あーやばい! ちょっとそこで吐くな! あー!」
ハーヴァル。それは自他共に認める苦労人である。




