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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第二章 知令由学園 前編

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第百七十三話 守り抜く事の難しさを

本日18時にもう1話と、間話をアップ予定です。

よろしくお願いします。

 ホークフレイムを退けて暫く経った。

 連戦で疲れた俺たちは、ミドーに身体を寄せ合い知床農林の入口付近で休んでいた。


 安全ではない。出来れば洞窟か何かを探したい。

 神の空間はメルザが持ったままだ。特訓といえど、この状況は非常にきつい。

 リルとカノンは相当疲弊している。 

 本来なら一週間以上はかかる道のりであろう場所を、かなり速く来れた。

 円陣の都まで半分程度は来ただろうか。 

 中間地点が一番きつい……と信じたい。


「二人とも、休めそうな場所を探してくる。なるべく早く戻るから待っててくれ」

「わかったよ。ごめんね、僕が空を飛んで探したいけど、ホークフレイムで消耗しちゃって」

「気にするな。カノンを頼む」


 カノンは疲れ果てたのか、目を閉じて休んでいる。

 無理もない……ここまで遊魔の技を連発している。

 この子も必死なんだ。目的は不明だが、円陣の都へ急ぎたいんだろう。


 俺はこの国へ持つ印象がかなり悪い。鈴鈴の町人を見てそう思う訳じゃない。

 人っぽくない奴を見境なく攻撃していいという仕組みだ。

 ライラロさんはユニカ族だが、いつでも完全な人形態になれるので、平気だろう。

 しかし、シーザー師匠やパモ、モラコ族はいきなり襲われるのだろう。


 そんな法、あっていい筈がない。見た目がなんだっていうんだ。

 外見がゾンビでも凄くいい奴で、清潔感に溢れてたら何が問題あるんだ? 

 獣っぽくても、遊魔でも、人でも悪魔でも問題となるのはそいつ自身がどんな奴か。

 ただそれだけだろうに。


 知床農林の馬車道を、そう思案しながら探っていた。

 かなり明るくなってきたので視界はいい。

 ソードアイの俺には、二百二十度程の視野があるからだ。

 ここは恐らく人工的に作られた林だ。


 ホークフレイムやデスマンティスがうろつくここで、農業をやるとか、この国の

農家はそんなに強いのだろうか。

 あんな強いモンスターに襲われながら農業はやりたくないな。

 カカシもそう思うだろう。そうだ! 種がいくつか転がってるからお土産に拾っていこう。


 種を拾いながら進んでいると、一本の木の下に窪みがあり、空洞になっている場所を発見した。

 近づいて中を見ると、そこそこのスペースがある。

 ここなら後ろを取られず休憩できるし、いざとなったらリルのシャドウムーブで

 脱出も出来る。戻って知らせよう。

 上空からだと全くわからない休憩場所だな。


 俺は来た道を引き返す……が、馬車が止まっている!? まずい! 

 カノンは休んでいるから帽子もかぶって無いし、すぐばれる! しかもミドーまで

出したままだ。リルが戦ってるのも見える! 


「やめろおおおおお!」


 カットラスを引き抜き二人を襲ってる奴らへ躍り出る。

 人間……こいつは常闇のカイナと同じ服を着てる! 


「もう一人いたか。ちっ。さっさと捕縛するぞ」

「ぐっ! この子は僕が守るんだ! これ以上傷一つだってつけさせやしない」


 リルがカノンを抱きかかえて飛翔するが、フルフライトは人を抱えて飛べる技じゃない。

 カノンは既に傷つき意識が無さそうだ。

 ……全然空を飛べていない。背中から斬られるリルを見た俺は冷静さを失った。


「トウマ! 頼む!」


 ドラゴントウマをその場に出し、相手を見ず、考え無しに突っ込んだ。

 全く、らしくない。


「幻雷臥斗」


 雷が俺を貫き、まだ攻撃していない、動いていないトウマも襲う。

 しまった。麻痺された!? トウマを戻すしかない。

 右手が痺れカットラスを持っていられない。

 中級幻術使い複数人。連携が取れてる! くそっ! 


「幻氷臥斗」

「幻風臥斗」


 次々と幻術を浴びせられる。カットラスが遠くに吹き飛ばされた。


「赤星の一矢・爆」

「っ! ただのガキ共じゃない。気を付けろ」


「土潜り」

「幻土壁の層」


 くそ、道が塞がれた。だがリルは逃げきれる! 

 ……と思ったが、リルは俺の下へ飛び降りて来た。バカ野郎、骨折するぞ! 


「グッ……シャドウムーブ!」

「おい、消えたぞ! 何だあの技は」

「さっきの奴といい逃げる術に長けてるな。でかい蛇ももういない」


 吹き飛ばされた剣を回収して、リルはシャドウムーブで逃げる。

 どんどん血が出てるのがわかる。

 着てる服を破り、シャドウムーブに乗りながら止血を試みる。


「やめろ、死んじまう。ここでいい、ここでいいから!」

「……冷静な君らしくないね。あいつらまだいるよ。隠れるのが得意みたいだ……」


 リルは俺の言う事を聞かず、林の奥へと向かう。


「駄目だ、お前死ぬ気だろ……封印に戻れ、戻ってくれ! 戻れ!」


 強く願うと、リルは封印に戻り、俺とカノンは地上に放り出される。


「何……て、僕は君が死ぬのを見るくらいなら、僕が死んだ方がましだって……

やめてくれよ。僕が死んだって君は……生きられるじゃないか。もう見たくない。

大切なものを失うのはみたくないんだ……」

「生きられないよ。お前に守られて生きても、そんな重たいのを抱えながら生きていける

訳がない。リルが死ねば俺も死ぬ。一緒だ。後は任せろ」


 ごめんなリル。気持ちを汲んでやれなくて。

 気絶してるカノンを守るにはこれしかない。急がないと。

 頼む、上手くいってくれ。

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