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第百六十九話 ワイバーンの襲来

 カノンが技を使用していた時の事を思い出していた。

 前世で、信号待ちの時に押すと流れる曲にそっくりだった。

 今でこそ鳥の擬音に置き換わっているが、昔は殆どあれだった。


 この世界に別の転生者がいて音を奏でていたのだろうか。

 そもそもこの世界が何なのか。その全貌は古代樹の図書館にあるのではと

考えている。書物から得られる知識は偉大だ。俺も書物は大好きだった。

 勿論全て正しい訳ではなく、誤った表記もある。


 だが、いつの時代も書き物から情報を読み取り、考えたりする。

 書物こそ人間が持つ最大級の文化であり、他の生物が真似出来ない、優れた

根幹なのかも知れない。


 ……と難しい事を考えながらミドーに乗って進んでいる俺たち。

 カノンもだいぶミドーに慣れたのか、足を延ばして寛いでいる。


 リルはアルカーンさんから貰ったジュミニを磨いていた。

 余程気に入っているのだろう。

 最初こそ冷たい印象を持ったアルカーンさんだが、何だかんだでお兄さんだな。

 兄妹がいる事を羨ましくも思うが、俺もリルも、今や兄弟みたいなものだ。


 親に捨てられた俺だが、もう寂しくなんかない。例え血の繋がりが無く

ても。どれほど離れた場所にいようとも、互いを心配し思いやれる。

 それが家族だと信じている。



―――しばらくミドーで進むと、ターゲットに反応があった。

 数は三。上空! 


「リル、カノン! 敵だ。 上空に三匹。相手は不明。

こちらを狙ってる!」

「何でそんな事分かるの? 全然見えないけど」

「ルインの能力だ。間違いない。来るね。僕は上空から行くよ。フルフライト!」

「私も行くわ! クイン、ニーナ!」

「よし俺も! 赤星の……って飛べるわけねーだろ!」


 俺だけおいてけぼりのパターン。

 最近では皆さん、空を飛ぶのが流行のようです。

 かなりのモンスターを妖魔の能力として得たのだが、いまだに空を飛べる

ような技はない。


 グリーンドラゴンで得たのはウイングフォール。滑空だ。

 ムクバードは飛翔撃。組み合わせれば空中から地面への攻撃に適する。


 しかし俺は、空を舞い上がり自由に飛びたかった! これは、前世にその

ような光景を早々見られないからだろうか。

 イメージがつく物はある。だが、それに準ずるモンスターが今の所遭遇

してない。

 ――考えていると、上空からリルの声が聞こえる。


「相手はワイバーンだ! こちらを狙ってる! かなりの大型だ!」

「下から攻撃する! 一匹こちらへ引き付けるから、上空で少し時間を稼い

でくれ!」


 ワイバーン三匹の急襲。いきなり遭遇したモンスターとしてはハードだ。

 アドレスを引き抜く。予想通りまとまって行動しているな。


「赤星の一矢・爆!」


 ベルローゼを先生と仰ぎ、ひたすら遠隔攻撃の特訓をした。

 その際、イメージをつけるのに持ってこいだったのが、無駄三昧の

ビノータスの技。


 自分で受けて体感した事もある技で、よく覚えており、使い勝手もよさそう

だったので、必死に練習したら似たような技が出来るようになった。

 ベルローゼ先生には「やつを思い出すから変えろ」と言われたけど

どうやって変えるかは教えてもらえなかった。

 今後応用出来ればなと思うが、リルを見習って今は模倣しておこう。


 俺が飛ばした赤星の一矢・爆が一匹のワイバーンを掠める。

 そいつはかすっただけで効くぜ! 

 瞬時にワイバーン付近で小さな爆発が起こり、一匹が落下してきた。

 俺はプログレスウェポンの封印箇所にワイバーンを指定。

 道中のいい戦力アップに繋がる。


「土潜り」


 ピーグシャークの土潜りで一気に近づく。

 本来は攻撃回避や通りにくい所を通る技だが……


「砂中撃!」

「グロオオオオオオオオオオ!」


 奴の大きな奇声と共に、ワイバーンの封印に成功した。

 今の技は砂カバ……もといサンドバグの技だ。

 あの時無事に封印出来ていた。

 こいつの能力値はかなり高かったので助かる。

 こっちが死にかけたけど。


「リル。こっちは片付いたぞ! 一匹貰う! 赤星の一矢・爆!」


 下からの矢が直撃してもう一匹のワイバーンが落下する……が、そのまま

空中で静止してブレスを吐いてくる。毒か? 


 いや、麻痺だ! 左腕が少し痺れる。くそっ。

 右手のカットラスで薙ぎ払いする。

 切り付けられたワイバーンの動きが遅くなり、見やすくなった。


「赤眼……そこか!」


 喉部分を狙い、カットラスで一閃してもう一匹のワイバーンを仕留めた。

 特訓で判明したソードアイと、恐らく赤星の力が関係するのだろう。

 対象の弱点部位を調べる能力を得た。

 ターゲットと組み合わせると、ちょっと気持ち悪くはなるのだが、相手の

弱点部位を調べる能力は重宝する。

 上空を見ると、リルも無事にプログレスウェポンへ封印出来たようだ。


 三人で大型のワイバーン三匹を苦なく倒せるほど成長したが、まだまだ

ベルローゼ先生の足下にも及ばない俺たち。

 一体どれほど雲の上の存在なんだろうな。

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