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間話 砂浜といえばコレ

 今日俺たちは、以前砂カバと戦ったアズラウルの浜辺付近に来ている。

 目的は……バーベキュー! 


 海、砂浜、バーベキュー! 俺のテンションは上がっていた。

 ボールのような物も売っていたので、皆にビーチバレーのルールややり方などを教えた。

 勝利チームには景品を出そうと、予め色々と幻妖団メルの経費で購入してある。


 メルザも大喜びだった。「美味いものが外で食えるのかー!?」

と大はしゃぎだ。

 美味しそうな甘未処を景品に混ぜたらベルローゼさんも参加した。

 メルザに土台を造ってもらい、ニーメに加工してもらった鉄板を置いた。

 ファナのバルカンナイフを下に置いて火をくべる。

 買ってきた具材を投入して皿を皆に配った。

 そして……木を削ってもらって作った箸! 

 箸を使っての食べ方を教えるのに苦労したが、今ではみんな箸を使って食事を取れる。


 最初は嫌がる者もいたが、器用さが上がると説明したらやる気になり、我が領域に

箸を使わない者など最早存在しない! 


「焼けたら呼ぶから、僕が見てるよ!」

「バーベキューなんて久しぶりだよー! ニーメちゃん私も一緒に見てるね」

「ココット!」


 準備が終わったらお三方が見ていてくれるらしい。

 それじゃ俺たちは……やりますかね。


「それじゃ、ビーチボールを開始しましょう。チームは三対三に別れます。

メルザがリーダーの、ファナ、サラチーム。リルがリーダーの、フェドラート

さん、ベルローゼさんチーム。審判は俺がやります!」

「俺様腹減ったよー」

『私がこいつと?』

「黒星で切り裂いてやろう」

「お手柔らかに」

「これは楽しみだね」


 ……皆さん個性的だなー。先生はルールを分かっているんだろうか。


「もう一度言いますよ! 長くなると焼いてる食べ物が焦げるから、五点先に

取った方が勝ち! ブロックも一回のタッチカウントで、三タッチまでに返さないと一点

相手に入ります! ボールに触らず相手のコートの外側に出しても一点相手に入りますからね!」

「問題ない、ルールは把握済みだ」

「ようは勝てばいっぱい食っていーんだな?」

「本当の敵は味方陣地にいるのよね」

「そろそろ始めないとお肉が焼けてしまいますよ」


 しょうがない始めよう。幸いバーベキュー場所とは結構離れているしな。


「それじゃメルザチームのボールから。試合開始」

 ボールを軽く投げる。ゆるーい曲線を描きながらボールはメルザに飛んでいく。

 メルザはボールを受け取り上に上げ……ボールをキャッチした。


「……リルチーム一点。キャッチしてどうするの!?」

「いやー、わりーわりー。ついスッパムをキャッチする癖がよ」


 ボールと果物全然違うでしょ? どんだけ食いしん坊キャラなの? 


「今度はキャッチしないように! もっかい!」


 ボールをメルザに投げる。メルザは義手でうまく形を作り、ボールを相手コートに送る。

 やっとビーチボールっぽくなった! 


「はい、ベルローゼ」

「ふん、一気に終わらせてやる。黒星の衝撃!」


 ……ボールがコートの下から通り砂浜に深々とめり込む。

 ただの柔らかいボールがどうしてこうなった!? 


「メルザチーム一点。一対一です」

「なんだと! 決まったではないか」

「コートの上から通さないとダメって説明したでしょ! 下から決めないで

下さい!」

「ちっ。甘味処から遠ざけるための罠か。仕方ない」


 ちげーし! ルールだし! 我が先生ながら甘味が関わるとクールさに欠ける。

 妖魔は変わり者が多いから仕方が無い。


「本来ならボールを選択する方に投げるけど、五本選手なんで」


 リルにボールを投げる。


「やっと僕の出番かい。いくよー」


 すんごい高く投げた。あれどうやって打つの? 狙えるの? ……あっ。


「フルフライト」

 びよーんと高く上がったリルは、凄い高さのボールをファナめがけて打ち返す。


 ファナがバットに変身してボール目掛けて羽ばたく……が「妖封動の術」

 ファナバットが空中で静止する。まじかよ。どちらもルール違反ではない。


「何やっててるのよ! フェドラートのあれはこうすれば解けるわ!」


 サラはローフライトで飛びあがり、ファナバットの尻を後ろから蹴り飛ばす。

 おいおい。


「痛いわね! 何するのよ! あら? 解けたわ」。変身もだけど」


 サラはそのまま空中でアタックした。なんでそんなに威力が出るんだ。


「やりますね。私の術を破るとは」


 フェドラートさんがすかさずカバーに入る。


「妖暴風の術」


 ボールは空中に巻き上がるように吹き飛び渦を巻きながら

リルの方に飛ぶ。リルは空中に浮いたままだ。


「いくよ、サラ。鼻の一撃!」


 初めて見る。パオームってやつの技だな確か。俺は使えなかったなー。

 巨大な長い鼻のようなものがボールをばしっと吹き飛ばした。

 サラに向けて勢いよくボールが飛んでいく。


 サラがボールを受けようと構えていると……ファナがホバーで

体当たりを華麗に決める。


「……身体が滑ったわ。お尻が痛くて」

「……なんで尻が痛くて身体が滑るのよ!」

「……リルチーム一点。一対二」


 メルザにボールを投げる……あれ、いない? 

「俺様腹減ったから先に食べてる! ルイン後は任せたぞー!」


 我が主は自由奔放です! いいのか、これで。


「やった! これで一緒のチームね! さぁ早く始めましょう!」

「嫌な予感がするんですが……まぁいいか。いくぞ!」


 ボールを拾いサーブする。俺にも当然飛翔は出来る。


「バネジャンプ!」


 高く上げたボールにバネジャンプで追いつく。蛇佩楯は装備していないよ。


「赤星の打!」


 俺は拳に赤星を集中させてボールにぶつけた。


「へぇ、やるね」


 空中に居るリルがじーっとみていた。

 まさか模倣するのか? 

 

「フェドラート、頼んだよ」

 

 ボールを受けたフェドラートさんがトスをする。

 リルが追いかけるが……「一気に決めるぞ。黒星の鎌」

「ちょ、それ、だめぇー!」


 ビーチボールとネットが真っ二つに割れる。


 吹き飛んだ俺たちにメルザが駆け寄りつんつんした。


「肉焼けたぞー! なんでみんな寝てんだ?」

「お兄ちゃんたち、食べないの?」


 ……みんな、妖魔と遊ぶ時は注意しようね。


「ふん、甘味は全てもらっていく」


 あんたは反則負けだよ! とつぶやきたかったが、その気力は最早

俺たちには無かったのだった。

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