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第百六十五話 グリーンドラゴン戦

 数日して身体もようやく動くようになり、俺たちは傭兵仕事斡旋所

レンズに来ていた。

 久しぶりに全員集合。この人数でいると傭兵団って感じがするな。

 

「いい所に来てくれました! た、大変なんです!」


 受付の男性がかなり焦っている。どうしたんだろうか。


「こちらの町近郊に、はぐれ竜の集団が来ているらしいのです! 

多くの傭兵が仕事で出払っていて、取り急ぎ戦える相手がいません! 本来であれば

駆け出しのあなたたちに出せる依頼じゃ無いんですが、このままだと甚大な被害が

出るかも知れないんです。受けてもらえませんか!?」


 竜? 俺が想像する竜ってこの世界だとドラゴントウマだけなんだけど。

 あれより強いのか? 

 全員を見回す。特に知ってそうなのはライラロさんだ。


「……竜種は? それによっては引き受けてもいいと思うわ。あんたらは未熟だけど

ここには私やアルカーン、フェドラートもいるのよ」

「竜種はグリーンドラゴンです……」

「……ならいいわ。受けましょう。アルカーンとフェドラート。あなたたち

二人は力をどこまで隠してるのかしら」


 そう言われて一番驚いているのはリルだった。リルはそもそもフェドラートさん

の幼馴染で相当な実力者だったからな。


「隠してなどいない。使う必要がないから使っていないだけだ」

「同感ですね。私も使用する必要が無いので」

「それもそうね。言い方が悪かったわ。ドラゴンは倒せる?」

「地上のドラゴンがどの程度かわからんが、地底の者であればそれなりには戦える」

「地底で飛翔するドラゴンは少ないですけどね。ベオルブイーターがおりますから」


 ベオルブイーター!? あのやばい奴か。確かにあれが飛んでれば迂闊に

空は飛べないな。


「そう。経験的にはあまり無さそうね。いい? グリーンドラゴンにも

下位から上位までいる。同じ名称でも強さは全然異なるわ。レベルが違う個体が

いるのは何となくわかるでしょう? 何せモンスターも生物だからね」


「ああ。それは分かるがドラゴンの中でもグリーンは弱い方だと?」

「そうね。マシなほう。赤竜や黒竜なら完全にアウトよ。そこの二人にとってみれば

わからないけど」


 そう言われてそっぽを向く二人。この人ら、やっぱとんでもないんだな。


「それで、肝心の竜はどこに?」

「銀の王山という場所です。宜しくお願いします!」


 俺たちは依頼を受け、銀の王山を目指す事になった。


「ある意味タイミング良かったのかもね。こいつに勝てないようじゃ、キゾナ大陸に

行ったらかなり苦しいわよ。あそこはモンスターかなり強いから」

「この大陸のモンスターは弱いんですか?」

「そうじゃ無いわ。この大陸にも強いモンスターはいる。けど全体的にあっちは

モンスターが強めって事よ」

「俺様がニーメに作ってもらった武器の確認にはちょーどいいな!」

「僕もアルカーンに作ってもらったプログレスウェポン、ジュミニの実験になるね」


 リルは拳にはめた格闘剣を見せる。パタの形状に近いが、手首で固定されて

いて、指先が使える優れものだ。時計のマークがアルカーンらしい。

 ……俺のアドレスもなんだよな……これにも攻撃をした対象を遅くする効果や

装備者の動きを多少速くする効果が付与されてる……のか? 



 ――そんな話をしながらも、しばらく歩いて銀王山という場所に到着した

 幻妖団メル一同。


「……早速お出ましよ! 水竜神の盾!」


 突如上空に吹き出された炎。

 しかし、大きめの四角い盾が現れ、その炎を防ぐ。


「まじかよ。これで弱い方だと? サイズだけでも圧倒されるぞ」

「圧倒されてる場合じゃないわ! あんたが指示しなさい、ルイン!」

「メルザと俺が組む。ファナとサラとリルは一緒に援護。アルカーンさんと

フェドラートさんは支援と別の竜が来ないか見張ってください! ライラロさん

は防壁を頼みます!」

『了解!』


 ターゲットには既に二匹補足している。一匹は遠い。

 早いとこ、こいつを倒さないと! 


「メルザ! 邪、蛇、氷、土だ!」

「わかった! ……主として権限を行使。

氷、土、邪、蛇の斗。改元せし四つの理。

氷流出乃(コルディナ)土流出乃ドルディナ邪流出乃(ジャルディナ)、|巳流

出乃ミルディナを我が下に」

 

 メルザの周りに四つのエレメンタルが出現する。


「リルとサラは機動力をいかして左右から誘導! ファナはアルノーで弓を!」


 三人は言われて直ぐ行動に移る。


「赤星の小星!」

「ゴオオオオオオオオ!」


 赤星を受けてグリーンドラゴンは怒り狂う。

 ダメージはあるが、そこまで効いていない。


「二匹目……いや四匹目が来たな。あちらの足止めは俺とフェドラートで行おう」

「こちらは心配せず。今はそいつに集中なさい」

「私もあの二人のフォローに入るわ! あんたらだけであの一匹、仕留めてみなさい!」

『妖真化』 


 発言と共にアルカーンさん、フェドラートさんの様子が一気に変わる。

 まるでどう見てもモンスターの様だ。あり得ねぇ……ボスキャラじゃねーか二人共! 


「あーあ、二人とも地上でやっちゃっていいのかな。ドラゴン三匹以上なら仕方無いか」


 上空を見ると、俺たちが対峙している竜とは別に五匹のドラゴンがいた。


「まずは目の前のあいつを落とす! バネジャンプ」


 リルとサラに気を取られている奴の上空へ飛翔する。

 一気にアドレスを突き刺す……が固い! 


「妖赤星の突!」

「ゴオオオオオオオオ!」


 貫通させたが、暴れた竜に吹き飛ばされる。


「マッドシールド!」

「弾力ボディ!」


 足からの着地が難しいので、マッドシールドで受け身を取るのと同時に

サラが受け止めてくれた。助かる! 何か当たるけど助かる! 


「下ろしてくれサラ!」

「えー」

「やってる場合か!」


 メルザの小さい邪剣がドラゴンを攻撃している間にリルが羽のような

物をドラゴンにぶつけていた。


「ここからじゃ呪印は届かない。下にどうにか落とせないかな」

「蛇剣乱舞!」


 メルザの蛇群から剣が出るが、剣が通らない。

 なんて固い鱗だ。

 ファナの弓もまるで効いていない。


「オペラモーヴ……いや、自傷がデカすぎる。リル、サラ、ファナ。メルザが攻撃して

る間に協力してくれ。試してみたい事がある」


 メルザがグリーンドラゴンをエレメンタルで攻撃してる間に、俺は三人に

囲まれる形で奴に対峙する。


 頼む、上手くいけば今後の戦力アップに繋がるはずだ。

 あいつの炎でメルザの氷流出乃も邪流出乃も焼失した。

 ここで決めよう! 

 ファナは牛鬼に変身して俺とサラをグリーンドラゴンに投げてもらう。

 リルは俺の封印の中。


「サラ、頼む」

「邪術釣り糸」

「プラネットフューリー!」


 サラに一瞬灰色の糸でグリーンドラゴンを釣ってもらう。 

 再度借りたレヤックで最大級の技を放った。

 今やこれ一発で気絶しない程に、俺は強くなった。


「リル、いまだ!」

「模倣、プラネットフォール!」

「ゴオオオオオオオオッ……」


 二発の大ダメージを受け、奴はリルのプログレスウェポンへ封印された。

 俺たちの落下をファナが受け止めてくれる。


「終わったわね。ちゃんと成長してるじゃない。あんたたち」


 俺たちがどうにか一匹仕留めている間に、彼らは何匹も仕留めている。

 実力差はまだまだあるが、俺たちは確実に強くなった。

 互いに助け合いながら、共に成長していこう。

 新しい大陸へ赴くためにも。

第二部第一章はこれで終了となります。

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