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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第二部 主と働く道 第一章 地上の妖魔

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第百四十一話 仕事を頼む

本日から第二部が始まります。

章挿入の都合上

章の部分に第二部~章となってしまいます。ご容赦ください。


 ベルータスとの闘いから半年程経っただろうか。

 その間、俺はベルローゼさんにかなり扱かれ続けた。


 驚いた事に俺には黒星(こくせい)に準ずる妖術能力

赤星(せきせい)と言われる力があった。 

 赤い斬撃に赤い衝撃破に

 赤い星……どうにも血塗られた感じがする。

 もっとこう明るい青! みたいなさわやか主人公のイメージを

出せないものか……などと悩んでいるこの頃だった。


「おい、集中しろ。死ぬぞ」

「はい! すみません先生!」


 シーザー師匠とごちゃ混ぜにならないようにベルローゼさんを先生と呼んでいる。

 現在は地下訓練場で赤星のイメージを強く持つために

特訓しているのだが……やばい。


「あの、先生。ベルローゼ先生」

「なんだ」

「このままだとまじで死ぬから助けて!」

「あと一分持たせろ」

「えーーーー、三十秒で、三十秒でお願いします!」

「仕方のない奴め。では貴様の昼食のアップルパイは私が頂こう」

「そんなぁ……」


 俺はがっくりと膝を落とした……ら死ぬので

耐えている。

 今、アドレスで黒星を受けている真っ最中。

 勿論威力は相当落としてあるが、それでもくらったら真っ二つ。

 この黒星という技は殺傷力がやばい。

 これのバカでかい技を絶空にぶつけていたと思うと、アレは

どれだけ硬かったんだと思う程だ。


 対する俺の新妖術赤星は、カットラス部分にほのかに

赤いキラキラが映っているだけ。

 綺麗なんですよ? キラキラがとってもね! 


「さ、三十秒経ちましたけど!?」

「うむ、まだ余裕がありそうだな」

「全然ないよ! アップルパイで手を打つんじゃ無かったんですか!?」


 仕方ないとすっと手をだして黒星を消すベルローゼさん。

 俺の師匠……それに先生も、どちらも人ではない鬼でした。

 どっちも人じゃないんだけれども! そうじゃなくてだな。


「おう、やってるじゃねえか。ベルローゼ。一戦やるかぁ?」

「いや、これからアップルパイを貰いに行く予定だ。その後なら手合わせしよう」

「お、いいねぇ。ちょうど飯を持ってきてやったところだ。

休憩したらやろうぜ。んで小僧は何で寝っ転がってるんだ?」


 一度死にかけた影響で、師匠に鍛えてもらう前より弱くなったのを

聞いて爆笑された上、師匠は俺の事を再び小僧と言うようになった。

 今は体力面や動きの補正で指導してもらっている。

 大切なことなのであえて言おう。どっちも鬼だ。


「赤星という極めて稀な術を持っているくせに、まだまだ使いこなせて

いなくてな。笑ってやってくれ」

「はっはっは! 小僧にゃまだまだはえーってことだ。さぁ行くぜベルローゼ」

「ああ」


 この二人はとても馬が合う。タイプは全然違うのになんでだろうな? 


「あー、きっつー……」


 しばらく横になっていると、ファナが封印から出てきた。


「大丈夫? ルイン。今日もだいぶ絞られてたね」

「あー、ファナ。起きてたのか。まだまだだわ、俺」

「よく頑張ってるわよ。はい、ちょっと頭上げて」


 そう言うとファナは膝枕してくれた。癒されて天国に昇ってしまいそうだ。


「ちょっとあんた、また抜け駆けなわけ? 私が膝を貸すわよ」

「何言ってるのかしら。早い者勝ちでしょ」

「早い者勝ちって言うなら私の方が先にやろうとしてたんだから!」

「行動が伴ってないじゃない」

「なんですって!?」

「なによ!」


 うおーい膝枕しながら喧嘩するってどうなってんだ。

 まるで癒されなくなったぞ。地獄に転落だよ。

 挙句にファナがふわーっと立ち上がり、サラに

つかみかかったので頭をゴチンする。


 俺の扱いは大概に存外だ……言い争う二人を後に、俺は地下訓練場を

上り、とぼとぼ歩いて温泉に入りに行った。


「おうルイン。久しぶりじゃのう」

「やぁカカシ。お前も温泉入るんだな……」

「一日の農作業の楽しみじゃわい。ふぇっふぇっふぇ」


 すっかり農家をやっているカカシと久しぶりに雑談する。


「おやルイン。ベルローゼのしごきは終わったのかい?  彼も君に夢中だね。

あんなイキイキしたベルローゼはフェルス皇国じゃ見られないよ。

今度あの姿を絵に書いて売ろうかな」

「リル。それはやめておけ。俺がとばっちりを受ける」

「いいじゃない。結構なお金になると思うけど」


 リルは相変わらずのマイペースだった。

 しばらくしてメルザがバタバタと入ってきた。


「おー、ルイン。ここにいたんだな。一緒に入る!」

「あれ、メルザ。フェルドナージュ様のとこに行ってたんじゃ?」

「おう、行ってたぞ。連れて来た」

「はぁ? 『えっ?』」

「ほう、ここが温泉とやらか。童を寛がせる最高の空間とやら

らしいのう。男女交わって入るのが基本と聞き及んだ。少し恥ずかしいのう」


 そう言うと、先に八匹の蛇が入ってくる。

 あの、温泉場が一気に戦闘場になったんですけど。


「どうしたルイン? 童の美しさに見とれおって」

「こらルイン! フェル様にそんな目向けたらだめだぞ! こっちだけ見てろ! えいっ!」


 メルザに首をあらぬ方向にひねられる。

 死ぬって! さっきまで死にかけてたんだし! 


「ほう、これは良い。どのように作られたか気になるが

童も気が向いた時に入りに来るがよいな?」

「え、ええ。いつでもいらして頂ければ幸いです。そもそも選択肢に

いいえが御座いません!」


 断ろうものなら温泉ごと邪剣で貫かれる。そう思った。


「そうじゃ、今日此処へ参ったのは仕事の頼みがあってのう。其方らに地上の調査を

頼みたい。ベルータスの彼奴めを退けてまだ日が浅い。しばらくは地底も平穏であろう。

その間にそなたの運を見込んで神話級アーティファクトを探してもらいたいのだ。

こちらからはベルローゼとフェドラートの二名をそなたらの軍勢に同行させよう。よいな?」


 そう言うと、美しい手を頬にかざして俺を見る。

 恐ろし美しいので直視は出来ない。


「ええ、仰せのままに。私も修行の成果を発揮できる機会を考えておりましたので」

「良い返事だ。童の褒美も外に出なければ試す機会もなかろう。神話級アーティファクト

はそうそう見つかる物ではないが、其方なら或いはまた入手できるやもしれぬ。頼んだ

ぞ……しかし誠に心地よいのう。今しばらく童はここに居させてもらうぞ」


 フェルドナージュ様は肩までどっぷり浸かり

蛇も満足げに温泉で横に伸びる。


 俺はいつか不敬を買うか、腹心に刺されて死ぬんじゃなかろうか……そう思って

しまう程、フェルドナージュ様に信頼を置いてもらっている気がした。

 顔をブルブルと振るい、先に湯を出た。一旦食事にしよう。

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