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第百三十四話 今はただ、感謝を込めて

  途方もない空中船を前にしり込みをしていると、ベルローゼさんは俺に告げた。


「あれだけの規模であれば、地上への見晴らしは悪い。貴様は地上より先に移動して

湖を目指せ。カモフラージュしてある船を見えるようにしてやる。ここから距離は

そう遠くない」

「ベルローゼさんは?」

「言っただろう。この船で奇襲する。しばらく足止めになるようにな。

当然奴を倒せると思う程、己惚れてはいない。きりのいい所で身を隠す。

奴らは俺がフェルドナージュ様の傍に居ると思っているはずだ」

「わかりました。必ず後で合流しましょう! あ、降ろさなくていいです。トウマ使って

飛び降りるので」


 ファナとレウスさんを封印に戻し、絶空から飛び降りた。

 もう高い所から飛ぶのも慣れてしまったよ。

 着地付近でトウマを出してしがみつく。有難う、トウマ! 

 君がいれば高い所なんてへっちゃらさ! 

 着地と同時にトウマをしまい、あたりを警戒する。

 砂嵐に巻き込まれたところより、もっとマッハ村寄りの場所か。


 改めて下からスターベルを見ると、とんでもない高さだ。

 船っていうより動く船型の都市だな。

 今の俺は、二人に装備を返した事で、身体能力ががくっとダウンしている。

 自分の動きの感覚に慣れるまで、時間がかかりそうだ。

 地面に足をとられたくないので、レウスさんの浮遊で移動する。

 段差を気にしなくていい分早く移動できる。

 早くフェルドナージュ様の元へ行かないと。

 急ぎ足で遠目の湖を目指し、ようやく到着した。

 ここまで来るのに色々あったが、無事に戻って来れた。

 ベルローゼさんに言われたように、泉に向かって黒い紙に流れ星のような物が書かれた

紙を投げつけた。


「解黒星」


 すると目の前に美しい青銀蛇のメドゥーサリア号が現れた。

 船に乗り込みフェルス皇国方面へと急ぎ舵を取る。

 操作はベレッタへ行く時に舵取りを交代していたので、動かせそうだ。

 ベルローゼさんよりは遥かにぎこちないし、速度も出ないけど。

 疲れたら幻薬を使用する。これでどうにか辿り着けるだろう。


 出来る限りスターベルに見つからないように低空飛行している。

 ……というよりあまり上空飛行出来ない。


「傷つけるな。絶対だ」……急にベルローゼさんの言葉が頭をよぎり、悪寒が走る。


 ……気を付けて操作しよう。

 ファナが途中出てきて心配そうな顔をし、交代しようとしたが、操作できないようだった。

 代わりに俺の身体を支えてくれる。

 レウスさんは見張りをしてくれている。

 こっちは操作に集中しないといけないので、二人ともとても助かる。

 だが、俺の操作じゃいつまで経っても着く気がしない。

 遅すぎる。

 このままじゃベルローゼさんが折角足止めしてくれてるのにフェルドナージュ様の

元へ先に辿り着けないかもしれない。

 自分の不甲斐無さに悲しくなり、どうするか考えていたその時だった。

 急に速度が上がる。あれ……? 


「まったく……君は本当に無茶するし、非常識な事をするね」

「私たち助かったのね」


 リルとサラが出てきて、舵を一緒に握ってくれた! 

 そして残った方の手で俺を囲むように抱きしめた。


「今はただ、感謝を込めてこうさせてくれ。ありがとう友よ」

「何言ってる。本当心配させやがって。無事でよかったよ。ばか野郎……」

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