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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第六章 強くなる

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第百二十四話 時間凍結の部屋で

「何しに来た」


 空間に入ると聞き覚えのある声がした。

 この声は……「もしかしてアルカーンさんですか?」

「そうだ。何しに来たと言っている」


 どうりで見覚えのある空間だと思った。

 確か時間凍結されているんだったな。

 ここなら今の俺にうってつけの場所だ。


「フェドラートさんにここへ案内されて……あの、お願いがあるのですが」

「貴様にはまだ借りを返してもらっていないが?」

「実は持ってきたものがあるのです。お宅にお邪魔しようと思ったときにお渡ししようとして

たものがありまして」

「ほう……今そちらに行く。待っていろ」


 白い地面からにゅーっと出てくるイケメン。怖いよ。

 出てきたアルカーンさんに、ニーメに頼んで急遽作ってもらって渡しそびれていた物を渡す。


 小さな立てかけ時計と置き時計……前世で使っていたようなデザインだ。

 小さくて持ち運びが楽なタイプ。

 材料はライラロさんから買うことが出来たが、あの人色々変な物持ってるんだよなぁ。


「なんということだ。貴様この形……どこでこれを手に入れた!」

「えーっと……俺の仲間が作ったんです。形は俺が決めましたけど」

「この精工な作り。実に興味深い! 今度貴様の仲間とやらに合わせろ。

ああ、もっとこれが欲しい。実にいい」

「気に入ってもらえたならよかったです。仲間には合わせるのでお願いがあります」

「何でも聞こう。これほどの形の物を考案するとは。実に気に入った。貴様を認めてやろう。

願いは何だ」

「……アルカーンさんは幻想クラスのプログレスウェポンを作れるとお聞きしたんですが

どうか俺のためにプログレスウェポンを作ってはもらえませんか?」

「……いいだろう。ただ、その製作者に会う事以外に二つ条件を付与する。

一つはその技術者の更なる飛躍のための指導権利。それと、時期は問わんが別の形の時計を

一つ考えろ」

「承知しました。ニーメもきっと新しい技術が得られるなら喜ぶでしょう」

「ああ……また一つ楽しみが増えた。それで貴様はどのような形の武器を望むのだ?」


 新しい武器の形。それはやはり以前使用していたニーメ作のメドレスがいい。

 シールドガントレットに収納できるカットラス。

 このフェルドナージュ様の青銀蛇籠手に収納できるような武器にしたいのだが。


 アルカーンさんに伝わるよう武器の説明をすると、蛇籠手はそのままに、シールド部

とカットラス部を作れるという。聞いてみるものだ。


「本来プログレスウェポンを一から作るには長い年月がかかる。

短時間で作るとなると、改変によるものだ。アーティファクトは壊れる事がない。

だが幻想級までであれば、形を変え新たなアーティファクトとして生まれ変わらせる

ことは可能だ。当然生まれ変わっても壊れることはない。特別な技術と空間が必要になるがな」


 そういいながらアルカーンさんはこの空間を指し示す。

 そうか、ここは時間凍結の場所だ。

 変形した物体が元に戻ることなく作業できる場所……か。


「アルカーンさん、俺はどうすれば?」

「好きにしていろ。俺は作業に入るが貴様に見せるわけにはいかないから

少し遠くで特訓でもしていろ。完成したら持っていく。フェルドナージュ様の

蛇籠手は外してここに置いておけ」

「わかりました。ではお願いします」


 そういうと、アルカーンさんが見えない距離まで移動して、レウスさん

とファナを出した。


「中から見ていたけど不思議な空間ね。ここでルインは治療してもらったのね」

「俺もこんな面白いとこ初めて来たわ! な、あいつと友達になってきていいか? な?」

「今あっち行ったら何されるかわからないからやめときなさい……それより二人には

特訓に付き合ってもらいたいんだ」

「いいわよ。私とおじさん二人がかり?」

「俺強いよー、いいのか? まじでいいのか?」

「ああ、蛇籠手がない分相当能力落ちてるけど、剣での戦い方がいまいちのままでな」


 俺の職業は舞踏剣士。もっと舞うように戦う工夫が必要だ。


「攻撃もするけど必死に避けるから、二人は攻撃してきてくれ。レウスさんはあのやばい

火は使わないでくれ。くらったら多分死ぬ」


 そういうと、二人に挟まれる感じで俺が中央に立つ。

 開始とともにまずレウスさんが死神の使いを三体だしてきた。


「ふわー」

「ふわー」

「ふわー」


 あいつらは無害だろう。ガン無視してファナを警戒する……いつのまにか

アルノーになっていた。弓を構えこちらに狙いをつけている。


 レウスさんは空中にふわふわ浮いて、上空から自分の骨を投げてきた! 

 左に回避。そのタイミングを見て着地の瞬間矢が飛び交ってくる。

 いいタイミングだ。


「マッドシールド」


 泥盾を出して舞うように矢を回避し、跳躍して上空から追ってきた

 レウスさんを蹴りで追い払う。

 そのまま苦無をファナの方面へ身体を回転させて投げる。

 レウスさんは後方に大きく逃げ、ファナも回避している。

 地面に着地と同時に、ヒュヒュヒュヒュンッという快音とともに

矢が別々のタイミングで三本飛んでくる。


 いや、四本! 一本は影矢か、危ねぇ! 

 バックステップで避けようと思ったが四本目は避けきれない。

 

 三本目を避けた時点で跳躍せざるを得ないので、さらに後方へ跳躍した……が。


「ふわー」

「ふわー」

「ふわー」


 死神の使い三匹に空中で取り押さえられる。こいつらこんな能力があるのかよ! 

 うっとおしいだけの浮遊霊じゃなかった! 

 まぁ手が使えなくても打つ手はあるけどな。


「バネジャンプ」


 俺は以前封印したヘッパーホップの技を使用。

 捕らえられた空中から、さらにびよーんとジャンプして離脱した。

 かなりの高さだ。


「よし、出現しろ、ドラゴントウマ!」


 ずずーんという響きと共に、二人の元へドラゴントウマを出現させた。

 レウスさんもファナも吹き飛ばされる。

 トウマの上に着地すると、下に降りてトウマをしまった。

 これは使える! 


「二人とも大丈夫か?」

「いやー、やられた! やるな! まじでびっくりした! でかいな! 

トウマ! さすが友達だわ」

「ふぅ、頑張ったんだけどなー。やっぱルインには当たらないかー……」


 ちょっとしょげたファナの肩の上に手を乗せる。


「おい、武器が完成したぞ。何をしている。誰だ貴様らは」


 ほどなくしてアルカーンさんが突然背後に現れた。


「これからこの武器の説明をしてやる。よく聞け」

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