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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第六章 強くなる

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第百二十話 マッハ村に到着

 どのくらい意識を失っていたのだろうか。目を覚ました俺は柔らかい膝の上にいた。


「お、起きたか。ちょっと心配になったとこだ。これはそのー、地面だと固いと思ってよ」


 メルザの膝の上に寝かされて、手は握ったままだった。

 慌ててメルザが手を放す。


「おかげでいい目覚めだったよ。ありがとなメルザ」


 そういうと、俺はゆっくり起き上がり、メルザの頭を撫でた。


「どのくらい気を失ってたかわからないが、確かめたい事も確かめられたし、そろそろ戻ろうか」

「おう、腹も減ってきたしな!」


 そういうとメルザは「にははっ」と笑い、俺たちはモラコ族の穴に戻っていった。


「おお、あんたらどこにいってたんだ。マッハ村まで通ずる穴が完成したぞ」

「もう出来たたんですか? 俺たちかなり落ちて来たと思ったんですけど」

「わしらは掘るのは得意だからな。総出で掘ればすぐ堀り終わる。地中に道を作る時は

いつでも言ってくれ」

「助かります。一休みしてから早速向かいましょう」

「ああ。わしはおぬしらについて行く。外の者は全員おぬしらの領域とやらに向かわせる。

モンスターに遭遇しても穴を掘る速度でわしらに敵う者はいない。大丈夫だろう」

「わかりました。よろしくお願いします」


 俺たちは一休憩して食事を終えた後、モラコ族の穴の外に出て、掘られた穴を見る。

 ゆるやかな斜面の穴だ。奥が全然見えない。

 あんな短期間で掘り終えるとか、どれほどの穴掘り性能なんだろうな。


「俺が先頭を行く。次いでムーラさんに後ろから注意をしてもらいメルザとミリル、ルーで続いてくれ」


 そう告げてゆっくり穴を進もうとした。


「おぬしらまさか普通に登っていくつもりだったのか? それはモラコ族でないと無理だぞ?」

「え? じゃあどうやって?」

「いい方法がちゃんとある。順番は主のお嬢さんが先頭。それを支えるようにルイン殿。

次いでドラゴンのお嬢さんとドラゴン。わしは後ろからだ」


 言われた通りの順番になったが、メルザはワンピースなんだよ。

 これはアングルがまずいです。モラコ族にはそんなの関係無いか。


「全員入ったな。それじゃ行くぞ! 妖土流れの術!」


 ムーラさんがそう言った瞬間、地面が登り始めた! 

 自分でも何を言っているかわからないが、地面がどんどん上に引っ張られていく感じだ。


「わわわわ、見るなールイン!」

「そんなこといったってうわあああああ! メルザもっと早く行け!」

「動けるわけないだろ、わあーーー!」

「ちょっとルインさん、止まらないで! ぶつかってしまいますわ!」

「ムーラさん、こういうことは先に言ってくれーー!」

「るぴーぃー! ルイルイ!」


 一匹だけ楽しむルーを後目に、俺たちは勢いよく地底の地の底から上がって行った。


 全員穴の中からペッっと放り出される。

 勢いよく飛んだメルザを危なげなくキャッチした。


 メルザの顔が真っ赤っかでぷいっとそっぽを向くが降ろしてとは言わなかった。

 ミリルもルーも無事のようだ。


 ――しばらくしてムーラさんは普通に出てきた。

 使用者は効果が無いのか? 

 自分に効果があるなら移動がとてつもなく楽そうなのにな。


 それで……ここがマッハ村か。ベレッタの喉元だったな。

 この辺りから用心しなければ。ベルローゼさんは無事だろうか? 


 結局補給物資を誰に渡せばいいのかなどを聞いていない。

 どこかで情報収集しないと。


「ムーラさんはこの村がどんなところかご存知ですか?」

「来た事はないが、マッハ族という変わった者たちが住む村と聞いたことがあるな」


 地底に来てから変わってない者を見たことがないんだが。

 そうすると俺にもブーメランなわけだが! 

 まずは住民の方に話を聞いて情報収集をしよう。

 しばらく歩いていると……とんでもない者を見た気がした。

 一瞬で五十メートルを走ったように見える者だ。

 速すぎるのも頷ける。足が四本ある。ケンタウロス? 

 いや違う。上半身はトカゲだ。

 トカタウロスとでも呼んでおこう。


「一応聞きますが、あれがマッハ族でしょうか」

「恐らくそうだろう。友好的な奴らと聞いたことがあるから

話しかけても大丈夫なはずだ」


「あのー! すみませーん! そこの方ちょっといいですかー!」


 再びすごい速さで移動される前に、遠目のトカタウロスに声をかけた。

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