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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第四章 全ては我が主のために

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第九百八十九話 ミーミルの森から七壁神の塔へ

 賢者ミーミルの話によると、この地に引き寄せられたのはウガヤによる影響とのことだった。

 そして、俺たちは転生したのではなく、この森の影響で姿がおかしいという話を聞いた。


「つまり俺は元の体に戻れるってわけだな?」

「そうですね。この森は強すぎる魔の者を抑える働きがあるのです。ここに来るまでモンスターに遭遇しましたかな?」

「ああ。ブリザラスドホーク? という鳥型のモンスターや小型のモンスターんかには遭遇したな」

「それらは古代から住む純粋なモンスター。弱かったでしょう?」

「俺らも弱くなってるからな。苦労はしねえが技や術が使えねえから不安はあった」

「お二人の実力はもはやこのゲンドールにおいて危険と推測されるほどお強い。もし将来住む場所が決まっていないのなら、この森にでも住まうことをお勧めしますぞ」

「いや。俺はメルザの下へ戻らないといけない。でも……きっとメルザたちと一緒には住めないんだろうな」

「おめえ何言ってんだ? ギルティをぶちのめしたんだ。あとは戻ってルーン国を盛り立てるんじゃねえのか?」

「それは俺の役目じゃない。俺の役目はメルザを、他のみんなを守ることだ。もし俺の力が失われているわけじゃないなら、俺があの場にいること自体が危険なんだ」

「分かっているようですな。あなたの中には神の力があります。それは危険すぎる力です」

「んじゃ、取り除けばいいじゃねえか。んな力よ」

「恐らく出来なかったんだ。破棄はしようとした。封印の力もこの森から出たら戻ってしまうんだろう?」


 黙ってうなずくミーミル。

 だったら、俺はメルザとは暮らせない。誤ってメルザを封印してしまうかもしれない。

 近づいてきたものすべてを封印してしまうかもしれない。

 ならば役目を終えた後、俺は俺自身を封印しないといけないんだ。

 それでもメルザはきっと一緒にいたがるだろうが……。


「ふん。まぁ考えてみりゃ俺も行く当てはねえしな」

「お前にはナナーやビュイがいるだろ」

「あいつらには団子屋があるだろ。俺ぁ団子が食えりゃ文句は言わねえよ」

「そんなこと言って、お前死ぬ間際にナナーの団子が……」

「あーうるせえうるせえ! とにかくここを出りゃ一度元の姿に戻れるんだろ?」

「はい、それは間違いなく。それでルイン殿。転生者の件はどうするおつもりですかな?」

「予想通り七壁神の塔にいるんだろう? 対話を試みるよ」

「対話、ですか。エクスカリバーという剣の話はご存知ですか?」

「ああ。ライデン……いや、ヴェライから聞いた」

「左様ですか。せっかくここまで訪れたあなたをむざむざ失うのは忍びない。あなたにとっては酷な相手かもしれません」

「それはどういう……」

「いえ、行けば分かります。しばらく同行しましょう」

「えっ? あなたはここから出られないのでは?」

「ええ。わしはここからは出られない。しかし使い魔はおりますゆえ」


 そう告げると、賢者ミーミルは立ち上がって狭い部屋の床に何かを刻んでいく。

 不思議な模様だが……その描かれた模様は描いたそばから踊りだすように動きまわり、中央へと収束していく。

 そして――「たっははーーー! おいおいクソジジイ。何千年振りだよ! 危うく干からびるところだっただろ!」

「これがわしの使い魔で、お二方に同行するラッピーです」

「ちょっと待てクソジジイ! 誰が誰に同行するって?」

「ラッピー。お主を通してわしの言葉を伝えるように。ゲンドールを支配出来るほどの強さを持つ方々だ。くれぐれも粗相のないようにな」


 ラッピー……それはパモよりも小さく蛇のような顔立ちに、頭にはトサカが生えた黄土色の変な生き物だった。

 これはもしかして、可愛いペット候補なのか? 


「ふーん。全然強そうには見えないけどな。こっちは獣人か?」

「おい。うるせえと食っちまうぞ」

「なんだとー! やってみろこの獣め!」

「おめえも獣じゃねえか」

「おい。それよりもどうやって森から七壁神の塔へ行くんだ?」

「七壁神の塔? そんなとこ何しに行くんだよ?」

「お前はいいから黙ってな」

「わしが移送します。そのままお待ちくだされ」

「森から出られりゃこの姿ともおさらばか。寒いからよ。さっさと行こうぜ」

「……ああ。ここで暮らすかはまだ分からないが、賢者ミーミル。またお会いしよう」

「ええ。わしもまたお会い出来ることを楽しみにしていますぞ。さぁゲートよ、彼の者たちを七壁神へ誘わん!」


 再び賢者ミーミルが床に文様を描いていくと、俺とベリアル、ラッピーはその文様に引きずり込まれていった。


 ――これが移送か。体がずるずると吸い込まれた感覚。結構気持ち悪いな。

 家の中から風景が一変して、見覚えのある場所に立っていた。

 そしてベリアルは……「おお、本当に戻りやがった! 見てみろルイン!」

「……ぶふっ」

「……おいてめえ。何噴き出してやがる」

「なんだーこの面白い生物は! おいお前。獣より変な生物だ!」


 ベリアルは狐耳と尻尾の生えた鳥になっていた。

 ……合体したのか? 一体どうなってんだ。

 これじゃ笑うなって方が難しい。


「嘘だろ? トウマの姿ならどうだ!」

「よせって。それ以上笑わせるなよ。そんな雰囲気じゃないぞこの場所」


 以前訪れたときと雰囲気が随分違う。

 七壁神の塔上空だけ夜に包まれているみたいだ。


「ここに転生者ってのが間違いなくいやがるんだな?」

「ああ。ほぼ間違いないだろう。この塔、どう考えても最初来たときから異常だったな」

「そーいやぶっ壊れても元通りになりやがるんだよな。おまけに魔の力を封じる元となっているんだよな」

「なんだお前ら。ここに来たがってたのに七壁神の塔のこと知らないのか?」

「ああ。今はそれよりも先を急ごう。あまり悠長にしている暇は無さそうだ」

七壁神の塔再び。

ここから地底へ行けたのは、まだ記憶に新しいのですが……確かに異様な場所です。

そしてここにいるのは……? 

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