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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第四章 全ては我が主のために

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第九百八十四話 絶対なるもの同士の戦いその五 ベル家の妖術

 神兵ギルティに宿るシラは、続けざま攻撃を行ったベリアル、フェネクスに鞭を振り、後方へ吹き飛ばす。

 俺はひたすら至近距離へ詰め寄り、奴が一歩も前へ出られぬようにデュラサーと連携をする。

 デュラサー巨体での薙ぎ払いを、大斧で防ぎながら、術、鞭での攻撃が交互に来る。

 それらを二刀でいなすと、反対側の腕にある槌でデュラサーを横から殴りつけてくる。

 さらに鎖が俺へと伸びてきて、縛り付けようとしてきた。

 シラと眼前の攻防。

 激しく斬撃を振りかざし、持てる能力を駆使して互角かやや劣勢。

 奴はベリアルとフェネクスの上空からの攻撃にも応対している。

 凄まじい反応力だ。

 後方には西寄りにライラロさん、東寄りにベルベディシア、それぞれが操るレヴィアタン、バルフートが攻撃の準備を推し進めている。

 この布陣は地底と同様だ。

 そして、中央後方にベルギルガとリルに待機してもらい、メルザがそこにいる。

 今にも飛び出したくてうずうずしているようだが、それをヤトカーンが抱きしめてしっかりと抑制している。

 

「ダメだからね。絶対動いちゃダメ。見極めないと。それまではメルザちゃんに攻撃させないから」

「でも、俺様早くしねーと……あいつ、つえーんじゃねーのか」


 ……その通りだ。俺たちの攻撃は効いていない。

 腕を吹き飛ばし、臓器を吹き飛ばし……何をしても壊れた機械が新品になるよう元に戻る。

 定期的に封印を試みてはいるが、まったく封印出来そうにない。

 違う次元に引きずりこもうとしても、現象そのものが否定される。

 

「ラチがあかねえ! 一体どうしろってんだ、こいつはよ!」

「くそ。これが本当に神兵ギルティか!?」

「しゃべってると舌噛むぞ、お前ら!」


 俺は戦闘に集中しながらも、ベルローゼ先生との特訓を思い出していた。


「先生。俺には妖術の才能が無いんでしょうか?」

「才能?」

「はい。何せ未だに妖楼くらいしかまともに使えませんから」

「才能というより家系の傾向によるものだ。お前の親がどういった妖術が得意なのか。それを知らねば見えてこない部分もあるだろうな」

「俺の、親ですか。うーん、覚えてないし名前も分からないんですよね」

「ふっ……それならいずれ分かったときにでも試してみるといい。それがお前に合った妖術だろう。それとな。才能の有無は関係ない。俺の修行についてこれるかどうか。それこそが才能だろう」

「それは諦めが早いか遅いかの違いじゃないんですか?」

「いいや。諦めが早くても別の方向に思案して、違う形で努力をする奴はいる。諦めるのが遅くても、何も工夫せず、そして考えずにただ続けるだけの奴もいる。必要なのは己で考え、行動し、試みること。その中から成長を見出すんだ。考えにいたらなかった場合、それを聞き、受け入れてみる。あるいはさらに考えられる姿勢だな」

「うっ……肝に銘じておきます」

「お前は心配ないだろう。料理が得意だからな」

「味覚のように分かりやすかったらいいんですけどねぇ……そうか、五感も交えて修行しないとなんでしたね……」


 ――懐かしい記憶だった。あの時は死ぬかと思った。

 赤星という力を得たが、結局妖魔としての力はあまり向上しなかったな。

 そして今俺は、敵対するシラに試さないとならない。

 妖術がどの程度効くのかを。

 俺の三百六十度ある視界で、ベルギルガの表情をよく見る。

 こいつは死なせたくない。

 俺のことを……親族と呼んでくれる数少ない男の一人だ。

 そして、それは先生も。

 だが先生の妖術は黒星以外見たことがない。

 残念だがあれは、先生の力を借りねば無理だろう。

 俺が使うのは……「妖霊魂招集……悪魂、残虐霊」

「あ、あれは……親父の!」


 俺の親族はベル家だ。

 つまりベルータスは俺の親族。

 それならば、あいつの使っていた術には適性がある。

 さらに言うなら、適性があったからこそ、ベルータスの親族である無駄三昧のビノータスの攻撃もすんな真似が出来たのだろう。

 ベルータスが以前フェルドナージュ様と戦闘していたときに見ていた術。

 これはタルタロスの能力とも相性がいい。

 こちらが霊魂を生み出している間に、シラはさらに攻撃を加速させ、ミサイルのようなものを肩から噴出してベリアルたちを攻撃した。

 

「やべっ、死……」

「怨霊防壁」


 ベリアルとフェネクスの正面に、四角く伸ばした霊魂が現れて、攻撃を防いだ。

 その霊魂はバラバラに砕け散ったかと思うと、直ぐに元に戻り、シラへとまとわりつく。

 攻撃を防ぐだけでなく、攻撃した者へ私怨を返す恐ろしい術だ。


「震えながら死ね。怨霊爆散」


 指を弾くとまとわりついた霊魂が大爆発を起こす。

 自らの巨大船スターウィユベールを大爆発させた残虐的爆発。

 使用される霊はどれも悪魂……輪廻出来ない魂たちだ。

 木っ端微塵に砕け散るシラ。これほどの爆発であれば元に戻るまで多少の時間は必要だろう。


「妖魔君の攻撃……やっぱりダメだ。妖術、使うたびに成長してるよ! でもなんでだろう。成長はしてるけど効果はある気がする」

「ヤト。次は幻術で攻撃してもらう。メルザ! 俺が正面で盾をする。俺に何があっても前には出るな。後ろから攻撃を続けろ。約束だぜ、いいな!」

「わ、分かった……うん」

「ライラロさん。ベルベディシア。それぞれをリルとベルギルガが守ってくれ。無茶はするな。お前らの補助は俺がする」

「僕を補助するのかい。それは逆だといいんだけどね」

「俺なら大丈夫だ。死んでも守るぞ!」

「ベリアル、フェネクス! 一度戻って休め。スペリオルタイムが必要だ。お前たちの力を内部で借りたい!」

「けっ……仕方ねえな」

「承知」


 ベリアルと一緒にデュラサーも戻し、代わりにパモを肩に乗せた。

 さて、あれでもダメとなるといよいよ打つ手が限られる。

 幻魔の力でダメなら後は……残る手段は少ない。

さて、ついに見せましたルインの妖術。

これは最初から見て下さった方はとても懐かしいかと思います。

残虐のベルータスが使用していた術ですね。

ただルインの場合は残虐な行為をすると威力が増すわけではなく、単純に悪い霊魂をタルタロスの力で呼び出し使用する、というものなのでベルータスほどの威力は出せていません。

しかしながらそれでも、かなりの高威力を持つ妖術のようです。

妖術の特徴本来は取り込む力。この使い方が出来るのは、幻魔の力を魂に秘める、ルインだからこそ出来る術の使い方なのでしょうね。

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