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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第四章 全ては我が主のために

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第九百八十話 絶対なるもの同士の戦いその一 フェネクスとギルティ

「ギュイオーーーン!」


 けたたましい鳴き声と共に、地上へと戻った俺とメルザ。

 状況は……『シャル、イー、セイバー!』

 全部で十二体にもなる神兵ギルティの分体を切り分けて戦う仲間たちの姿が視界へ直ぐ入った。

 巧みな連携で各々散らばって戦闘している。

 指揮を執るのは我が軍師ルジリト。

 そして、シフティス大陸アースガルズ国の名君、メイズオルガ卿。

 その傍らにコーネリウスもいる。

 戦場の布陣はジャンカの森西部にて、奥地にはガルドラ山脈が見える。

 神兵ギルティの分体は地上に六体、空中に六体。本体は空中にいる。合計十三体の強大なる敵。

 俺も状況を把握して直ぐに動いた。

 

「各自戦闘態勢を。組みやすい奴らと行動を共にしてくれ。判断はお前たちに任せる。シャックス。お前に一時的にゲイボルグを渡す。見事操ってみせろ」

「ずるいぞシャックス! 嘘つきシャックス!」

「やんややんや。あれは俺たちじゃ使えないからいいよ」

「いいんだな? もらうぞ?」

「上げるとは言ってない。貸すだけだ。役に立ってくれたら考える」

「僕はカノンの下へ行くよ」

「……テンガジュウ! 急ぎはせ参じなさい!」

「……俺はおっちゃん同士、ベルディスと戦ってくるか」


 封印から様々な思惑を述べながら戦場へと向かっていく封印者たち。

 残ったのはメルザにパモとベリアル、それにフェネクスだけだ。


「おいフェネクス。おめえは他の奴と行かなくていいのか」

「信頼されぬ者と行動を共にしても仕方あるまい。主が一度封じられたのも我が神秘のヴェールの影響。そのせいで全員死ぬところだった。まさかあれほど効果があるとは」

「いや、助かったよ。そうでなければ全員、神兵ギルティへ取り込まれていたかもしれない。俺から引きずり出そうにも引きずりだせない。そんな状況だからこそ、助かったんじゃないか」

「……あなたはどこまでも前向きだね。見習うとしようか」

「けっ。おめえはいつも下らねえことを考えすぎなんだよ」

「地上へ戻ったのも久方振りだ。ああ、そうだ。ここへ戻って来たかったはずなのに。戻ってみるとなんともあっけないものだ」


 フェネクスはずっと地底にいたのか。こいつの能力は底が知れないが、今は協力してもらおう。

 

「俺についてくるなら相手は一番厄介な本体だ。覚悟しておけよ」

「戦いの決心は着いた。ベリアル、片が着くまで邪魔するなよ」

「そりゃこっちの台詞だ。いくぜぇー、ルイン!」


 ベリアルはドラゴントウマの姿となり、空中へ立ち上る。

 上空地上双方での戦闘に、さらなる激しい火ぶたが切って落とされる。

 戻ってきたと言わんばかりにベリアルがエゴイストテュポーンを最奥に浮かんでいる本体へと放出。

 続けざま、真っ赤に燃える少し大きめの鳥形態となったフェネクスが、翼を燃やしながら突っ込んでいった。


「英知の力を思い知るがいい」


 フェネクスは、そこからさらに姿を変化させ、真っ青に燃える鋭い三角を象った飛行機のような姿となり、エゴイストテュポーンブレスを追い抜いて神兵ギルティ本体を先端で貫こうとして、勢いよく弾かれる。

 グルグルと縦回転してバランスを崩したように見えたところでエゴイストテュポーンブレスが本体へさく裂。

 その縦回転のままフェネクスは、シラの宿る腕部分を縦回転斬りし始めた。


「青炎の舞」


 弾かれれば弾かれるほど回転の勢いと炎の勢いは増していく。

 これは……切断するまで半永久的に回転と炎の温度が増す技か。

 フェネクスとまともにやりあっていたら苦戦していただろうな……。

 

「あの野郎、俺のエゴイストテュポーンすら利用しやがった。とことん嫌な野郎だぜ」

「だが、あいつは強いな。ネウスーフォの側近に置かれただけはあるってことか」

「ああ。あいつに何があってそうしていたのかは知らねえけどな。敵にすると厄介だぜ」

「なぁ。俺様も攻撃していいか?」

「少し待ってくれ。フェネクスに当たると邪魔してしまう」


 ついにはその回転斬りでシラの宿る腕を切り落としてみせた! 

 今までであればその事象が無かったことにされていたが、今度は違った。

 切り落とされた腕が足部分にぼとりと付着し、そこに腕が生えたのだ。

 つまり、形態変化してみせた。

 シラの体は足に宿り、下を向いたままだ。

 

「事象が変わった。主よ。今までと様子が違っ……」

「フェネクス!」


 回転を停止させた鳥形態のフェネクスに、本体の片腕が鋭い剣のように変わり、フェネクスを串刺しにした。

 確実に死んだ。そう思われたが、フェネクスはバラバラとなって突き刺した剣の先端に小型の鳥として姿を現す。


「フェネクスは殺せねえ。あいつは文字通り不死だ」

「そんな生物、存在するのか?」

「さぁな。アンデッドモンスターみたいなもんじゃねえのか? 炎みてえな存在だから燃やされることもねえし。原理を聞いてもはぐらかされるだけだぜ。あいつの知識が関係してるんだろうがな」


 フェネクスは分析している。

 本体が持つ能力を。

 俺もベリアルに乗りながら奴を分析している。

 アナライズは試みたが、メルザと密着しているにも関わらず、何も情報が分からない。

 道理を越えた存在だからだろうか。


「メルザ。あいつに燃巨人斗で攻撃したとき、手ごたえあったか?」

「うーん。全然ねーんだよな。力を吸い取られてるみてーな、そんな感じだった」

「……ウガヤを出せないか?」

「ウガヤ? ああ、ガラポン蛇か。どーだろ? やってみるか。でろー、でろー、蛇ー!」


 メルザが片手を前に突きだしてうなっていると……その手の中に、あるものが埋まっているのが分かった。

 ……カルネの賢者の石のようなもの。これはカルネがメルザに施したのか。

 俺は急いでメルザに手を絡ませると、その深い知識を頼ることにした。


「ちょ、ルイン!?」

「静かに。そのままウガヤを念じていてくれ」

「ちっ。攻撃がこっちにも来やがる。どっちもしっかりつかまってな!」

「しばらく思考が停止する。頼んだぜ、相棒」

「勝手抜かすんじゃねえ! ったく。おめえはいっつも……」


 戦場は激しく動くが、最も欲しいのは賢者の石の知恵だった。

 引き付けの一部をフェネクスに。

 攻撃回避をベリアルに任せ、俺はメルザと共に賢者の石の奥に眠る知識を探ることにした。

ついに本体との戦い、本日分は序幕です。

フェネクスの能力、その一部が明かされました。

本体の行動はまだ不気味なほど静かですが、ようやくフェネクスを殺そうと少しだけ動きました。

本格的なボス戦はまだまだこれからです。

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