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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第四章 全ては我が主のために

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第九百七十九話 たとえ理が無くとも

 シュイオンとマァヤを神兵ギルティの手が攻撃し、さらに黒い塊のようなものをいくつも放出される。

 俺はただそれを見ていることしかできない。

 先ほどのように自らを盾にしてギルティを守ろうとしないのは、フェドラートさんが張った結界の影響だろうか。

 そして……「ギィオーーン!」

「リンドヴルム! ルインを食って海底へ行ってくれよ。俺様も行くから! みんな、しばらくの間たのんだぜ!」

「ギュイオーーン!」


 リンドヴルムはメルザごと俺を一飲みにすると、そのままマァヤとシュイオン、スピアを飲み込み、その場から消失した。


「ギュィオーーーーーン!」


 この能力……現状ではとても助かる。さすがは消失の竜だ。

 ここは海底二層あたりか? 懐かしいな。

 

「メルザ……みんな。すまない、助かった」

「なぜこんな姿になったか覚えていますか?」

「絶対神を深い水の中で封印したんだ。恐らく、だけど」

「何か特殊なアーティファクトがありませんでしたか?」

「ああ。神秘のヴェールというアーティファクトかどか分からないが、封印者フェネクスが作ったものをそのまま取り込んだと思う」

「……解呪は出来そうだよ。やれやれ、ありったけの解呪素材を集めておいてよかった。こんなもの解呪できるのは、わしくらいのものさね。ひっひっひ」

「婆ちゃんてすっげーんだなぁ。いなくなったら困るからよ。子供産んでくれよ」

「無茶言うんじゃないよ。どうやって出産するってのさね。それともシュイオン。あんたが立ち合いをしてくれるってのかい?」

「ははは、さすがにマァヤさんは出産出来るご年齢ではないですよ……」

「どうやらここまでは来ないみたいだぞ? 警戒解いてもいいか?」

「大丈夫だ。今あいつの気配は感じない。俺はあいつに拾い上げられて、何かをされたのだとは思うが、そっちの痕跡は無いか?」


 自動でギルティを庇うのは絶対神の影響とは思えない。

 絶対神を取り込んだ影響は呪いの発動、つまりこの姿だ。

 そして自分の意思で体が動かないのは神秘のヴェールの影響に違いない。

 だから俺の封印者も出られないんだ。


「ルインが真っ黒になってるのも、呪いのせーなのか? それともあの女を攻撃したからか?」

「呪いのせいだと思うが、俺、そんなに黒いのか?」


 自分の体を確かめる術もない。

 メルザは俺に引っ付いたままだから、顔を見ることも出来ない。

 触れられている感覚すら無い。


「ほら、女王。そこをおどきなさい。薬を巻くから」

「それってうめーのか?」

「……はは。メルザ、お前は本当に変わらない。そのままでいて欲しい」

「んあ? 俺様が今のルインみたいに変わったら嫌か?」

「嫌じゃないよ。俺はお前の……魂に惹かれたんだ」


 マァヤが薬をかけていくと、指をくわえて美味しそうに見ているメルザ。

 これは絶・解呪の書とは全くことなるものだ。

 妙に体が……爆発するような気分だ。まずい。


「どうじゃ? 感覚はあるか? これで解けるはずじゃが……」

「……! メルザ、マァヤ、先生! もっと離れろ!」

「……分かりました!」

「距離を急いでとれぇーーー!」


 俺の体から全てが抜け落ちる感覚。

 これは、間違いない! 


 自分に封じられていた者たち全てがその場に全て放出された。

 ベリアルたちソロモンのメンバーやリルたち。

 そして超大型のバルフートやデュラサーも、何もかもだ。

 そのまま近くにいたら圧し潰すところだった。

 そして……絶対神の影のようなものもだ。


「ん……で、られたか。無茶しやがって」

「ふう。どうにか生きていたんだね。何度も助けようとして弾かれて出られなかったよ」

「神兵ギルティに囲まれて一時はもうダメかと思った」

「絶対神スキアラ! 今こそ復讐を!」


 全てを放出して立つ力すら残ってない俺を、片手では支えきれないメルザ。

 ベルローゼ先生が手を伸ばして支えてくれた。

 体は、元に戻った……か? 


「全モンスター能力を使わず修行した日々が懐かしいだろう?」

「先生。俺、この程度の肉体だったんですね……」

「今は衰弱しているだけだ。直ぐ回復するだろう。お前から強い力は感じたままだ」


 クスリと笑ってみせたその二枚目が眩しかった。

 どうやら体は戻ったようだが、黒い部分と言われたところはまだ戻っていないように思える。

 しかし体は動かせそうだ。


「なぁ黒星のおっちゃん」

「……おっちゃん?」

「ちょ、危なっ」


 メルザの言葉に先生の笑顔が吹き飛んでしまった。

 支えられた俺はメルザ側へと崩れてメルザを押し倒してしまった。


「ちょ、バカ! みんな見てるだろ!」

「先生、いきなり離さないで下さいよ……あ、これはダメかもしれない」


 先生は上を向いているだけだった。

 そっとしておこう。それより今は……「絶対神。俺の声が聞こえるか」

『我ら四神。全ての力を失った。この世界にはもう、我らの力は及ばせぬ』

「そうすると、どうなるんだ?」

『あらゆる魂は差別されず、ゲンドールへと帰す。また、救わねばならない別惑星の魂をここへは呼べぬ』


 ……あらゆる世界の魂のせん別と救済。それが最大の役割か。

 それがゲン神族との協定のようなものだったのだろうか。

 力失われた絶対神。

『ルインよ。諦めぬ強き魂の持ち主よ。どうか、我らが導いた魂たちを、平穏に暮らせるよう導いてくれ。お前に与えた封ずる者の能力を解き放とう……』

「あんたたちは本当に、最後の最後まで勝手だよ。でも、その勝手のお陰で俺は……もしかして俺の育ての親は、失われたイネービュの神の遣い。その生まれ変わりか」

『……そうだ。名をディーカ。エプタの妹のような存在だった。お前から神の気配を強く感じてはいたのだろうが……耐えられなくなったのだろう。ルインよ。もう時間がない』

「それは嫌だなぁ。僕、ルインと共にいる方がいいもの」

「せっかく手に入れた安眠道具ですわ。譲るつもりはありませんわね」

「おっちゃん……か……」

「悪いな絶対神。俺はあんたらの封印者だ。はいそうですかとこのままなんでも丸投げさせて休ませるつもりはない。あんたらはここで休めばいい。俺はこの力でみんなを守ってみせる。リンドヴルム、行くぞ!」

『それが運命か。ならばせめて……イネービュよ、見届けるまでの力を全て託す。終わるまで、この海底で見守ってやれ』


 四つの影が一つにまとまり、イネービュの影を象ったものだけが残った。

 ウナスァー、ネウスーフォ、スキアラの影と思われるものは消滅した。

 話を聞く限り、イネービュも長くはもたないのだろう。


『ルイン。あとは頼んだよ。私はここで待っているからね』

「俺様も行くからな。もう、絶対、二度と離さねーからな!」

「……ああ。俺が突き放して守るより、身近で守ってやる方がいいんだな。さぁ全員、封印に戻ってくれ。神兵ギルティに今度こそ打ち勝つんだ。シュイオン先生。マァヤ。有難う。恩に着る」

「何言ってるんです。あなたがいるから私たちはここにいる」

「がんばっておいで。妖魔の勇者さんや。あんたはあのときからずっと、わしらの勇者様だよ」

そしてついに……神兵ギルティ決戦へ移ります。

第九百八十話から激しい戦闘が始まる予定です。

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