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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第三章 ベオルブイーターを倒せ! 

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第九百四十四話 シップ発進、ベオルブイーターへ接近

 浮上したベオルブ遺跡だが、俺たちはメデューサリアを泉においてある。

 それにこの遺跡……他に敵などがいないかちゃんと確認していない。

 そもそも持って行ってしまっていいのかも分からない。

 あとでタルタロスあたりに返せと言われるかもしれないな……。

 しばらく浮上したまま待機して話し合ったが、結論は直ぐに出た。


「もらってっていいでしょ。だってただの遺跡にしておいてもしょうがないじゃん」

「それはそうなんだが……これで本当にベオルブイーターを倒せるのか?」

「とてもじゃないが無理ですぜ。あの光がどんな影響をしてるかわかりやせんが……少し近くでベオルブイーターを見て見りゃわかりやすって」

「ベオルブイーターって昔遭遇しかけたやつだよな? 俺様あんまり覚えてねーけどよ」

「アルキオレイブンに襲われたときだったか? 遺跡にそれらしい絵もなかったよな」

「しいて言うならあの黒い点じゃないのかな。妖魔君が封印してるハルファスとマルファスってやつらの方がきっと詳しいよ。出して尋問しよ? 拷問がいい?」

「おいおい……物騒すぎるぞ。今はまず、こいつがまともに使えるのか調べてもらうことと、この船の内部調査、それから泉においてあるメデューサリアの回収だな。外から見たら遺跡がどうなっているかを、リュシアンとサーシュに調べてくれているんだが……ギオマは寝たままだし。建物内は白丕に調査を任せてある。仲間が多いと助かるよ」

「あの竜は負けたのが悔しくてしばらくは出てこないわね。プライドの塊みたいな邪竜ですもの」

「ベリアルはどうなんだ? 知らないのか、この船のこと」

「全く知らねえ。あのボケ共がここにいたのも知らねえことだった。いいか、言っとくが俺はあのボケ共にやられたんじゃねえ」

「分かってるって。アクソニスか……ギオマもベリアルも竜形態で戦わなかったんだろ?」

「そーだ! ベリアル君に人型の体を作ってあげないとなんだ。早く行こう行こう」

「だからまだ調べてる……って戻ってきたようだ」


 外に出ていたリュシアンとサーシュが戻ってきてクリムゾンポーズを取る。

 外からみた状況報告を細かく説明し始めた。

 どうやらこの遺跡の上階部分を丸ごとくりぬいた形で浮かび上がっているらしいのだが、地下部分は全て繋がっていないようだ。

 つまり一階部分の四部屋と最上階部分のみが切り離されているらしい。

 さらに驚いたのが、一階より下の部分だ。

 

「明らかに別船を収容できるような形アリ」

「メデューサリアも、すっぽり入ってしまうんでねーかと思っただよ。びっくらしただよー」


 ちょうど白丕も戻ってきて話を聞くが、敵らしい敵はおらず、それぞれの部屋も片付ければ直ぐにでもくつろげる部屋に早変わりするとのことだった。


「では、発進させてみますわね」

「目指すはメデューサリア号前だね。ベルシア、どうやって運転するの?」

「わたくしの電撃に反応しているようですわ。ええっと……」


 ベルベディシアが電撃を流すと滑らかに動き出し、ベルベディシアが操作したい方向へぬるりと動く。

 曲がるときもなんの音も立てずに、直ぐメデューサリア上空へと到達してしまう。


「これは……!」

「凄いね。こんな速度出ているのに、風の抵抗を感じなかったよ」

「うひゃー、よくみると高っけぇー! カルネ、見てみろよ」

「ベルベディシア。この船でベオルブイーターの翻弄とか、頼めるか?」

「構わないわ。でも、血の補充は必要ですわね」

「小瓶にでも血を入れておくか。俺はいつか干からびてしまうんじゃないかな……」

「んあ? 血って干からびるものなのか?」

「妖魔君は平気でしょ。沢山ありそうだし。それじゃ少し南を通りつつ西へ向かって。そのまま突き進むのは危ないよ。遺跡が発している光の先にはベオルブイーターがいると思う。その光が目印になってくれるなら、これだけでも凄いものじゃないかな」

「そうですわね……敵の位置が常に分かるのは、誰かさんみたいでいやらしいですわね」


 じっと俺を見るベルベディシア。

 待て、ターゲットは凄い力だが俺を狙っていないと反応しないぞ。

 南下する前に、ベオルブイーターとやらを見てみたい。その前にメデューサリア船だが……船の収容は、ヤトとアイジャックが手掛けてくれた。

 といっても、まるでクレーンのようなもので挟み込ませて上昇させただけで、やっつけ作業のようだ。

 こんな能力を持つモンスターもいるのか。さすがは研究者だな。戦闘より便利そうな能力優先をしている。

 この状態では、走らせるための電撃を少し多く放出するのと、速度が低下するデメリットがある。

 それと下層部の開閉ができないため、メデューサリアは結局水場に下ろす必要がある。

 けん引作業を完成させたヤトカーンとアイジャックにベオルブイーターの件を相談してみる。

 少し渋い顔をしつつも……「近づきすぎなければ平気かな」

「見ないまま対峙するよりは、視認しておいた方がいいかなと」

「それならベルシア。すれすれを通ってみようよ。この船の回避性能も確かめたいし」

「分かりましたわ。はぁ、テンガジュウがいれば代わってもらいますのに」


 再び電撃を流すと、ヤトの指示通りに遺跡を動かすベルベディシア。

 この遺跡……飛空遺跡ベオルブとか呼べばいいのか? 


「この遺跡、なんて名前にすべきだと思う?」

「ベオルブ遺跡?」

「遺跡って空を飛ぶのかしらね」

「んー、焼き鳥船!」

「……それはメルザが今食べたいものだろ」

「こっちを俺を見ながら言うんじゃねえ!」

「しっかし妖魔君、本当賑やかだねぇ。いいなー、家族が多いのって」

「ヤト、これはほんの一部だぞ」

「そーだぜ。へへっ。うちには子供五人もいるんだからなー! しかも全員同じ年なんだぜ」

「妖魔君って、見かけよりずっとアレなんだね……」

「メルザ、その言い方は誤解が生まれる……それにだ。うちの国はほとんどが家族みたいなものだよ。みんな礼儀正しいし思いやりなどもある」

「へぇ。欲張りな種族とか、食事の奪い合いとかないの?」

「俺の生まれ故郷……いや、生きたことがある世界には倉廩満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知るという言葉がある」

「それってどういう意味?」

「管子という書物に伝わるものだ。簡潔に表せば……そうだな、管子(いわ)く、食糧庫が満ちて初めて礼節を気にするようになり、衣類、食糧が滞り無くなれば、初めて栄誉や恥辱を気にするようになる、さ。だから国の方針は……安心して任せられる。あいつにはそれだけの知識と教養がある」

「うーん、妖魔君の話は難しくてよく分からないけど、君の国は食糧が潤沢ってことなのかな」

「そういうことだ……亡くなったある者のお陰で。自国で自国の食糧をまかなえないならば、国として先ほど話したような状態にはならない。最低限の礼節を知れないということに他ならないんだ」

「それはそうかもしれないけど、そんな国ってあるの?」


 ……ある。そしてそれは他でもない、自国の影響ではなく他国の影響を受けてそうなってしまうんだ。

 仮にルーン国が大幅な食糧物資をメイズオルガ卿のアースガルズから購入を余儀なくされた場合、食糧生産を減らさねばならない。あるいは別の国に自国の生産物を売却せねばならない。

 他国と共存共栄の関係を取るならば、調整は必要だ。

 だが、国家間のパワーバランスが崩れれば、他国側の無理難題を押し付けられることになる。

 それが……日本という国だった。

 無論衣食が足りるどころか飽和し過ぎた結果となり、衣食に対する礼節は薄くなってしまった。

 本来は食べられるというだけでとても有難いことなのだが。

 

「お二人とも。そろそろ目的地ですわよ」

「ついつい話し込んじゃったね……妖魔君の主ちゃん寝ちゃってるし。寝顔が可愛いなー」

「女王は我ら四幻にお任せ下さい。いえ、ビュイはまだ眠っていましたね」

「ああ。信頼しているよ。さて、ベオルブイーター……一体どれほどのものか見てくる。行くぞ、ベリアル」

「おう。数千年振りに見る化け物中の化け物。俺じゃ表現できねえがな。おめえの頭なら上手く表現できるんだろうよ」

「さてな。前世にでも例えられるようなものがあればいいが……」


 ベリアルがドラゴントウマの姿となり外へ出る。

 報告の通りかなり高い位置だ。

 懐かしいな、昔はトウマを呼び出して、高い場所から降りていたんだっけ。

 

「……確かにあれを表現するのは難しいな」

「だろ。だがあいつは間違いなく意思を持って動いてやがるんだ」

「しいて言うなら……土星だ。無論星と呼ぶほど大きいわけじゃないが……」


 本体が見えないほど周囲を瓦礫のようなものが無数におおっている。

 中央にわずかに見え隠れするのは黒紫色をした巨大な玉……のように見えるが玉ではない何かだ。

 一直線に伸びる紅色の光がそれに向いているが、ベオルブイーターはなんの反応もしめしてはいない。

 この位置からでははっきりと見えないが、これ以上近づくのは危険だと直感で分かる。


「確かに飛んでもない化け物……いや、熱量の塊とでもいうべきか。モンスターとしても形容しがたい」

「だろ。ちなみにだが……俺が死んだのは奴のたった一度の攻撃だ。黒紫色の圧縮したものを飛ばされた。避けることも、何もできねえ破壊の力だった。ソロモンの塔ごと木っ端みじんだ。ざまあねえ」

「なぜソロモンの塔まで攻撃が来たんだ? 奴の活動範囲外だろう?」

「さぁな。今となっちゃそれを調べる術もねえ。いや、今でも無ぇか。どうだ、怖気づいたか?」

「まさか。攻略を考えてるだけだ」

「そうじゃなきゃな。おめえのことだ。またおかしな発想で対策するんだろうよ」

「さぁな。オズワルほどの脅威はこの位置じゃ感じられない。あいつが強すぎたというのもある。だが……」


 常闇のカイナ、アクソニス。あいつはそれよりも強い。

 いずれにせよ、時は満ちようとしているんだ。

 この化け物、ベオルブイーターを倒すその日が。


「おい、どうやらこっちに反応したようだぜ……展開されてるアレだけでも厄介なのを体感してみな!」

遺跡船の名前は保留中です。

ベオルブイーターに接近! 


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