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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第三章 ベオルブイーターを倒せ! 

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第九百三十六話 ベオルブ遺跡、地下へ

 人形母体を手に入れたレイビーは、ようやく歩けると思ったのか、不気味な体で首をかしげて挨拶する。

 本人はいたって可愛い素振りなのかもしれないが、俺にとっては身震いする状況だ。

 なんならさっき、その人形の口からカギを取り除いたばかりなんだが……。


「レイビーだよ。お姉さん、よろしくね……」

「へぇ。六八型人形? よくできてるねー」

「お前……怖くないのか?」

「怖い? 特別な武器とか、持って無さそうだよ?」

「いや、いいんだ。それよりも、上には何があったんだ?」

「大きな壁画。罠も仕掛けもなさそうだった」


 壁画か。この場所に住んでいた者は絵が好きなのだろうか。

 その割には趣味の悪い人形もあったな。

 一階も二階もその程度ならば、ベオルブイーターの秘密は地下で決まりだろう。


 階段の裏手にある地下への道を全員で進むことにした。

 この組み合わせは悪くない。

 ベリアルとギオマは特に仲がいい。

 ダブルドラゴンで暴れられたらひとたまりもないわけだが。

 ――螺旋状の道を下っていくと、その壁にも絵が飾られている。

 最初の部屋でみたような黒い点がある空の絵ばかりに思える。

 これが何を表しているのか、なんなのかさえさっぱり理解出来ない。

 メルザがカルネを抱えたまま、不思議そうに見ている。

 

「この絵、何か意味あんのか?」

「意味か。絵ってのは意味を込めて描くものばかりとは限らないからな」

「んあ? 俺様は絵を描いたこと、ろくにねーからよくわからねーけどよ。食い物の絵描くなら食い物のこと考えるんじゃねーのか?」

「そうでもないよ、メルザちゃん。モンスター見ながら食べ物の絵を描く変な妖魔もいるんだからね」

「モンスターって食べ物だろ?」

「……妖魔君の奥さんって変わってるよね」

「ああ……可愛げがあるだろう?」

「うわ、のろけたよ。妖魔君って前向き。でもそうか、モンスターも食べ物か……メルザちゃんにはベオルブイーターですら食べ物に見えるのかな……」

「俺相手でも食材を見る目しやがるからな」


 と、間に入ってきたのはベリアル。

 気になることでもあったのだろうか。俺の肩へ乗ってきたのを、カルネが手を出してつかまえようとする。そんなベリアルの姿は鳥だ。

 当然羽を動かし、羽ばたかせてさっと避け、カルネにそっぽを向く。


「この絵に意味なんて持って書いてねえだろ。変化は絵そのものの大きさしかねえ」

「そもそもこれを絵と呼ぶべきものなのかしらね」

「っ! それだわ、ベルシア! これ、きっと絵じゃないんだ」

「えっ? どーいうことだ? やっぱ食い物なのか?」

「そうじゃなくてね。これ自体が絵ではなくて、何かの手がかりとする道具かなにかなのかもしれない」

「そういう考えもできるな……」


 ヤトと頭を悩ませていると、先導していたアイジャックが声を挙げる。


「下にモンスターがいやすぜ」

「ほう。ようやくか。ちょうどよいではないか。さぁ四幻たちよ。我の意に従い先行するぞ。ついて来い!」

「ギオマ。破壊はするなよ!」

「分かっておるわ。いざゆかん!」

「なら俺もちっとばかし暴れてくるか」


 四幻たちも早く戦いたかったのか、螺旋の道を素早く降りていく。

 罠があったら困ると思ったのか、あるいは高みの見物か。

 ヤトとアイジャックもそれに続き、残ったのは俺とメルザ、カルネ、ベルベディシア。

 あれ? レイビーがいない? ……ヤトが持ってったのか。

 呪いの人形が手元から離れたような感じがして、少し落ち着いた。

 他の部屋にもあれ、あったのかな……。

 だが、しばらくしてベリアルだけ戻ってきた。

 面倒になったのだろうか。

 再び肩の上に降り立ち、話始める。


「ふう。やっぱだるくなったぜ。しかしよ、俺が知る限り、神魔対戦のときにこんな建物の報告は聞いてなかったぜ」

「あの壁で気づかなかったんじゃないのか?」

「分からねえ。そもそも俺ぁ他の塔の奴らとは仲が悪かった。知らせてねえだけかもしれねえがよ……あるいは裏切られてたって可能性もありやがる。もしくは……」

「ここに封印された仲間がいた、とかか? 笑えない冗談だろう」

「冗談ですみゃいいがな。その感があってたとすりゃよ。ソロモン計画自体無駄ってことになる」

「倒す側が実はベオルブイーターを守っていた。そう考えてるってことか」

「あの強さに屈しねえほうがおかしいとも言える。その強さの秘密が別の場所にある。そりゃよ、対峙してみりゃ考えられることだ。だが、まともに対峙して生きてはいられねえ。皮肉なことだぜ」

「お前の中でもやはり、ギオマがいても勝てない相手なんだな」

「あれを倒せるやつがいるのかすら分からねえな」


 この場所がベリアルの言うところの、かつてソロモンの塔にいたやつが潜伏してたとして……そいつはここで何してるんだ? 

 単純に外からあの壁で封印され、出れなかったってことか? 

 不明点が一気に増えたな。


「ツイン。鳥、鳥ー!」

「俺に触るんじゃねえ!」

「こら、カルネに怒鳴っちゃだめだぞ」

「そーいやデカラビアだったか。あいつの能力って鳥になるだけじゃないよな」

「おいおい。そんなこと聞いてどうするつもりだ?」

「どうって、単純に疑問に思っただけだが……あれ?」


 突然バサバサと羽を広げて慌てるベリアル。

 言葉を続けようとした俺の視界に、もう一羽のベリアルが下から上がってきたのだ。

まさかのベリアルさん二羽目展開!? 

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