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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第二章 地底騒乱

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第九百二話 ノースフェルド鉱山にて

 よく分からないもので施錠され、俺と鳥形態のベリアル、ベルベディシアは何かに乗せられて

この国の所有物と思われる鉱山前まで連れて来られた。

 巨大規模の鉱山で、入り口前が巨大な広場となっている。

 ちらほらと労働奴隷と思われる者が何名か見受けられた。

 俺たちは先ほど部屋にいた何人かに押さえつけられたままフェルドナーガの到来を待た

されている。

 

「良かったな。鉱山奴隷は一番マシな奴隷だ。一応教えておいてやる。奴隷には三種

類、我々にも三種類の身分がある。奴隷には鉱山奴隷、魔物飼育奴隷、格闘奴隷の三

つ。我々はこの衣に記された蛇の数だけ位が高いのだ」

「……身分なんて、くそくらえだ……ぐはっ」

「その舐めた口、直ぐに聞けなくなるだろう。父上に対しての不遜も許せぬ」

「……」


 こいつが第一皇太子なのだろうか。

 こんな奴が後を継いだらこの国は終わるな……。

 いや、この統治体制自体受け入れられるはずがない。

 いや、奴隷ってのはただの言い方の問題に過ぎないのは分かっている。

 結局は使う側と使われる側。

 誰かに使われている以上、それは奴隷であることを理解している。

 必要なのは協力関係かどうかだ。

 一方的に強制して働かせていれば、それは奴隷に過ぎないからだ。


「貴様のその平然とした顔が許せん。何故奴隷落ちすると聞いてそうも冷静でいられる

のだ!」

「……社会ってのは大概、奴隷だからだ。俺の国では絶対にそんなことさせない。働いて

食って、楽しんで生きるための世の中をつくるべきだ。だから、この国のやり方は間

違って……」

「ええい、それ以上侮辱すると許さんぞ!」

「あんた……ジーヴァさんだったか? よく吠えるが、俺より強い自信でもあるのか? 

見たとこ大したこと

なさそうだけど」

「何だと!? 邪念衆筆頭、邪炎のジーヴァに向かって……もう許せん!}

「落ち着いて下さいジーヴァ様。この男の安い挑発ですよ。君、それ以上挑発をするの

は止めるんだ。ジーヴァ様の抑えが効かなくなる」

「俺が、怖いのか?」

「いいだろう。父上が来る前に血祭にしてやる!」

「落ち着け、ジーヴァ」


 ……くそ、いいところでまた邪魔が入った。今度は何者だ? 

 背後から声がしたが……カツカツと歩く音が聞こえ、俺の目の前に一人の男が俺を覗き込む。


「こいつが例の奴か。ベルー家の分家か? あまり強そうな奴には見えんな」

「内部に伝説級のモンスターを封じてあるのは確認済みですよ、フェルドラーヴァ様」

「兄貴……こいつが父上を侮辱したのだ!」

「だから落ち着け。ベルー家は昔からフェルド家を見下しがちだったろう。こいつも遺伝的に

そうしているのかもしれんな」

「ふん。ベルー家など滅びてしまえばよいのです」

「かつては共に手を取り合い、地底統一を果たしたベルー家。それが今や全面的に争っている。

皮肉だとは思わないか? なぁ、確か……ベルアーリ君だったかな?」


 俺の顎をつかみ顔を持ち上げる男。

 黒鎧に胸の部分だけ目のように赤く光る部分を持ついで立ち。

 髪色は銀色で長くトゲトゲしている。

 美しい顔立ちだ。こっちが兄貴ってことはこいつが世継ぎか? 

 それなら……確かにその器はありそうだ。


「俺は……ルインだ。ベルアーリじゃ、ない」

「名前なんてどうでもいいことだ。お前はもうじき番号で呼ばれるようになる。それとベ

リアルの方はあの状態のまま姿は変えられないようにしておいた。お前のペットにでもす

るといい。女の方も一切の能力を封じた。この鉱山では男女分け隔てなく働いている。き

ちんと労働さえすればちゃんと守られた素晴らしい環境だ。せいぜい頑張って働くことだ」

「なぜ、俺たちが奴隷落ちなのか聞いてもいいか?」

「……無断列車使用、ベレッタへの不法侵入、いや……地上からの不法侵入というべきか」

「つまり、お前たちが地上と地底への道を塞いだのか!?」

「そうだ。正確には我々の能力者のうちの誰か……だがな。そろそろ皇帝が参られる。話

は終わりだ」


 すっと立ち上がり、俺の前から姿を消すフェルドラーヴァ。

 あの男、ジーヴァとは比較にならないほど、強い。

 

 俺たちは鉱山前広場に下ろされる。

 ここは言うなれば断崖絶壁の下部分に相当し、上方部分に立派な椅子が用意されている

のだけが下からは見える。

 その椅子に腰を掛けたフェルドナーガ。


「今宵、ついに悲願であった星の力が手に入る。失われたフォーサイトより力を引き継い

だ者よ。我に屈し我に捧げよ。我はフェルドナーガ。地底の支配者にしてこの世の皇帝で

ある」


 言い終えるやいやな、俺の両腕に巻き付かせていた鎖が蛇となり、俺に噛みついて来る。

 激痛に耐えていると、その蛇は赤色と黒色に染まっていき……俺の体に出来た刺青のような

ものは消えてなくなった。

 

「続いて封じられたモンスターを引きずり出す。彼の者のモンスターは取り出しても消えぬと

いう。そのモンスターで存分に研究するとよい」

「止めろ、止めろーーーーー!」


 俺から引きずりだされるモンスターってことはパモもだろ!? 

 冗談じゃない。頼む、止めてくれ……「これは、何と巨大なデュラハン! こやつの体にこの

ようなモンスターが……」

「恐らく変異種ですな……どこで見つけてきたのやら」

「もっと巨大なものが出ます! これは……神獣の類でしょうか?」

「……いおったか。天災、バルフート、そしてバルシドニアか」

「地上における最強種の一角まで封じていたとは……ジーヴァでは到底太刀打ちできなかったな」

「ぐ……あんな奴にこんな」

「父上、全て取り出すとあやつが死んでしまうかもしれません」

「ふむ。なれば小型のモンスターはよい。どうせ封印から出すことはもう出来まい」

「かえ……せ」

「ターフスキアー、バルフート、巨大デュラハンに巨大クロウル、地竜や面白い生物まで。

ようこれほど集めたものだ」

「どのようにしてこれほどの封印をなさっていたのでしょう?」

「あやつはアルカーンと親睦を深めていたと聞く。そちらで手配させたのだろう」

「か、え……せ天…」


 俺の大切なもの。

 多くを奪われたそのとき、俺は意識を失った。

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