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第八十三話 決意を胸に

 あの時の記憶が、甦ってしまった。

 ルインは俺様を気絶させた。俺様を守るために。

 そしてミリルに託した。ミリルも必死に俺様を逃がした。

 ルインの期待に応えるために。

 一緒に戦えていれば、ルインは生きていたのかもしれない。

 たとえ死んだって、二人で一緒だったなら、俺様にとっては幸せな最期

だったのかもしれない。

 けれどルインは俺様の子分だから……俺様をかばって死んだんだ。 

 全部俺様のせいじゃないか。

 俺様にとって、一番大事なのはいつのまにかルインになってしまってた。


 ……あの日両親を失い、故郷を失い、片腕を失い……彷徨い続けて

偶然手に入れた領域。

 食べ物もどうにか手に入るけど、孤児の俺様は町にも入れない。

 似たような奴を拾った。そいつと行動を共にし始めた。

 嬉しかった。そいつも一人きりだったから。 

 いつしか俺様はそいつを意識するようになった。 

 触れていると幸せで、離れていると寂しい。

 一緒にいるだけで暖かかった。ずっと話をしていたい。

 ずっとくっついていたい。

 なのにもうそれが出来ないなんて。


 死んだ人を生き返らせることはできないのか? 

 ……考えてみよう。

 俺様に出来ることを考えてみよう。

 絶対諦めない。俺様が諦めたらルインはどんな顔をする? 

 俺様の笑顔を見てるときのルインが好きだ。

 ルインは元気な俺様を見てるのが好きだったはずだ。

 自分に出来る事は、元気な自分をルインに見せる事。

 そのためならなんだってしよう。


 それが神に背くようなことだったとしても。

 生きている限り、会える機会はきっとある。そう信じて。


「ミリル、師匠」

「なに、バカ弟子」

「はい、メルザさん」

「傍にいてくれてありがとな。俺様はルインを生き返らせる方法を探すよ。

あと本当にルインが死んだのか確かめたいんだ」

「ようやく、立ち直ってくれたわね。といっても私は立ち直っては

いないのだけれど。バカ弟子ながら、強くなったわね」

「はい……ぐすっ。私も微力ながらどこまでもお供いたしますわ」


 そう言うと二人ともすっと立ち上がる。


「今すぐデイスペルに行くのは危険よ。私が情報を集めてあげるわ」

「俺様は一度パモを助けに領域に戻りたい」

「それならお父様がわたくしの新たに生まれる竜を連れてベッツェンまで来るの。

乗せて行ってもらいましょう」

「ああ、頼むよミリル、師匠」


 メルザは決意を胸に自分の領域を目指すことにした。

 ルインと出会う事で出来た、多くの仲間が待つあの領域へ。

 絶対にもう一度ルインと会うんだ。

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