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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第二章 地底騒乱

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第八百九十四話 どうみても怪しい妖魔? たち

「わたくしにこれを着ろとおっしゃるのかしら?」

「……仕方ないだろ、それしか無いんだから」

「あまりにも露出が多すぎますわ!」

「嫌なら情報収集は俺たちでしてくるからここで待ってろって」

「うんうん、そうしなよ。私たちだけで美味しいもの食べて来るから」

「わたくしが行ってくるので、あなたたちだけでお留守番するといいのだわ!」

「いや、お前だけ行ってどーすんだよ……ほら、大人しく着ろって」


 酒場のマスターから受け取った衣類は酷く不評だった。

 それもそのはず、丈の短いパンツ風の防具にヘソが出る上着衣装。

 その上に少し薄い衣を纏うような装束が女性用。

 色はベレッタらしく赤だ。

 男の方は上半身をクロスしたベルトのようなもので、筋肉の隆起をみせびらかすような

デザインの服と、そしてやはり女性と同じく薄衣をはおるようになっている。

 ……中身を確認しなかった俺も悪いが、これを着ろっていうのか。


 文句を言いつつも物陰でさっと着替えたタナトスとベルベディシア。

 ……うん。まぁ、悪くないんじゃないか。

 青白い顔色をしたベルベディシアの顔が若干赤いが……。

 俺はメルザ一筋なので特に女性についての好みを言うことはないと断言しておこう。


「やはりおかしいですわこの恰好。わたくし、黒が好きなのに赤だなんて!」

「私は筋肉とかあまり無いから貧相にみえるんだけど……」

「文句言っても仕方ない。さっさと着替えて情報収集するか」


 俺も直ぐに着替える。絶魔のときに身にまとう黒衣のような奴は、タナトスに返却した。

 パモがいれば洋服くらい収納しておけるのだが、ベレッタの服は終わったら処分しよう。


「わぁ。君って思ったより筋肉あるんだね」

「そういうのは見せびらかすものではないのよ。でもあなた……ヴァンパイアになる気は

ないかしら?」

「あるわけないだろ。あんた、やっぱ吸血鬼の類なのか?」

「いいえ。わたくしは血種魔古里。ヴァンパイアなどとは比べ物にならないほど上位の存

在ですもの」

「おい、いいからさっさと行くぞ」


 ベリアルに頭を突かれ催促されたので、直ぐに先ほどの酒場まで向かう。

 妖魔は他者に無関心だが……どうみても俺たちは怪しい。

 そのためジロジロとみられていた。


「悪くねーな」

「おう、いい感じだ」

「でもあっちの男は貧相ね」

「……ふん。実力はどうなんだろうな」


 周囲から呟く声が耳に刺さる。

 ……この恰好はまずかったかな。


「おや、旦那。そっちが油を引っかけた間抜けな妖魔で?」

「そうなんだ。礼も兼ねて今日はここで飯も食えたらなって思ったんだが、食い物もある

か?」

「ええ、まぁ一応……ただ、四人分となると時間が掛かるんで、特別奥でいいですぜ」

「いいのか?」

「旦那はかなり金落としてくれるんでね。今日は客もあまりいねえもんで」

「それじゃ適当に何か頼むよ。これで」


 再び金貨を数枚渡すと、マスターは上機嫌で飲み物を出し、料理を始めた。


「さて、このベレッタはベルータスがいなくなってからどう変わったのか。まずはそこか

らだ」

「町は統治されてるようにみえるね。誰かに支配されてるんじゃないの?」

「そうですわね……いい匂いがしますわ」

「……確かに美味そうな匂いがしやがるな」

「匂いの話をしてるんじゃない。状況把握の話をしてるんだ」

「いけねえ。まずは飯を食わねえとこのベリアル様の頭が働かねえっていってるぜ」

「そうですわ。わたくしの頭はもっと働かないのよ」

「君、人選間違えたよね」

「そもそもこうなったのは俺のせいじゃない! ジェネストがいればな……」

「旦那。つまめるものを先にもってきやしたぜ」

「マスター。ちょいと話を聞きたいんだ。俺たちこの町を訪れるの数年ぶりで。この町が

ベルータス様に治められていた頃以来来てないんだ。今、ここを今統治しているのは誰な

んだ?」

「しーっ。やっぱり認可受けの商人じゃないんですね……奥に通して正解だ。旦那にゃ美味

しい思いをさせてもらってやすんで、少し話をしときやしょう。この町は現在、フェルド

ナーガ様の腹心が統治しておりやす」

「フェルドナーガの腹心!? ……そいつは随分とおっかないな」

「いえいえ、実に見事な統治で。税金もベルータス様の頃より随分安くなりやした。しかし

ベルータス様の頃より監視がきつくていけねえ。酒場も取り締まりが多くて潰れる店続出し

たんでさあ」

「つまり、法で統治してるのか?」

「いやいや、ほぼ武力ですぜ。ご存知妖魔の世界は強い者に従うが道理。妖魔としてどんな能

力を持つのか、どんな魅力を持つのかによって付き従う者が出来る」

「それこそが妖魔だね。私の知る情報と一致するよ」

「あら。魅力ならわたくしがダントツじゃありませんの?」

「へぇ。大層綺麗なお嬢様が一緒じゃねえですかい。旦那も隅におけないぜ」

「俺は家に妻がいるのだが……」

「ただのツレでしたか。こいつは失敬。そんなわけで、くれぐれもフェルドナーガ様の腹

心、邪念衆には気を付けてくだせえ。肩に灰色の歯織物を身に着けてるのが目印ですから」

「ああ、それで判別がつくようなこの薄衣を身にまとう必要があるのか。貴重な情報を有

難う」

「それじゃ料理してきやすんで……あっしが喋ってたことはご内密に」

「分かってるよ」


 邪念衆……特徴が分かれば接しなければいいか。

 にしてもフェルドナーガか。フェルドナージュ様の兄であり、リルたちの母を手にかけ

たと聞くが……。

 だが、リルたちは復讐を考えている様子はない。

 そこにも何か深い事情があるのだろう。


 料理を平らげつつ今後の方針を検討する。

 まず向かう先はフェルス皇国だ。

 他の面々と合流しなければならない。

 向かう方法は幾つか考えられる。

 赤土の大地を越えて砂漠へ入り、そこからフェルス皇国を目指す方法が一つ。

 もう一つは地下。モラコ族たちと出会った地底の地下を抜けて行く方法。

 そしてもう一つ。ベリアルに乗って飛んでいく方法。

 どれもそれなりにリスクはあると思うが……もう一つ方法があることを、マスターへ

の聞き込みで分かった。


 それは……「ええ、現在はフェルス皇国もフェルドナーガ様に統治されているみてえ

で、妖魔導列車が建設されやした。数万の兵を導入して直ぐに完成させやしたよ。既

に運航してやす」

「妖魔導列車……?」


妖魔導列車……面白くなってまいりました!

そしてこの四名、なかなかバランスの取れたパーティーな気がしてきました……!? 

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