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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第二章 地底騒乱

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第八百九十二話 迷界の森を抜けて

「何だ貴様か。今忙しいのだが」

「すまない、簡潔に言うから。迷界の森に来ちゃったから助けて下さい」

「……行こうと思って行ける場所では無いのだがな。構わんが地底の何処に出るか分からんぞ」

「この際だからどこでもいいです。この場所から出られそうにないので」

「いるのは貴様だけか?」

「いや、ベリアル、タナトス、雷帝含めて四人だよ」

「その森は言うなれば球体のようなものだ。上下左右どちらへ向かおうとも一周してしまう。

貴様は歪術が使えたな」

「ほんの少しだけ、武器に乗せられる程度だ。空間を切り裂いたりは出来ないぞ」

「地面に切り込みを歪術でいれてみろ。球体の中心部が地面にあたる。それとルーニーを

武器化して行え。書に認めた通り、ルーニーは貴様の術を増幅する」

「え? ああ、うん見た見たー。書いてあったかなー、そういえばー」


 ……アルカーンさんには悪いが、一ページたりともまだ読んでいない。

 そんな暇、無かったんだ……。


「ではな」

「ああ、有難う試してみるよ」

「言い忘れたが……」

「今はいいです。本当に、真剣に」

「その森から出ても確実に地底へと向かえるかは分からん」

「……それ、言い忘れていいレベルの話じゃないだろ」


 本当にアルカーンさんは変わらない。

 俺の応対も変わらない。


 言われた通り試しにルーニーを武器として使用してみる。

 これもかなり久しぶりな話だ。

 既にプログレスウェポンの領域を越えている気がするんだけど。

 それにしても歪術か。絶魔状態でプリマの力を感じて用いる技だが、今はプリマがいない。

 そのためイメージだけで歪術を行使せねばならない。

 前世の記憶でどうにか出来る範疇に無いような技だ。

 世界が切断されるような技だから、爆発や真空などといった概念ではない。

 ブラックホールなどが恐らく該当するのだろうが、ブラックホールを見たことも無ければ感

じたことも無い。

 

「なあベリアル。歪術の原理ってなんだ?」

「ありゃあ時術に近ぇな。切り裂かれた空間は時間を失うっていうぜ」

「時術って……そうか、アルカーンさんの術イメージを真似ればいいのか。変幻ルーニー! 

行くぜ、歪赤閃!」


 ルーニーをカットラス状に変えて、手甲から引き抜く。

 意味不明の美麗文字がびっしりと書かれているが、これはもはや神話級を越えている存在

かもしれない。

 なにせティソーナもコラーダも空を飛んだりはしないのだから。


 その剣をざくりと地面に突き刺すと、赤色に地面が染まり、グニャリと少しだけ曲がる。

 そのままスコップのように押し広げてみると、豆腐を崩すかのように簡単に地面が削れた。


「ほう。カイロスの奴はやっぱ使えやがるな」

「ああ、あの人は頼りになるけど割と面倒な性格でもある」

「おし、タナトス!」

「おーいタナトス」

「何だい。私なんて大して役に立たないよ」

「開いたから入ってくれ」

「え? いいのかい。役立たずな私が先に進んでも」

「わたくしより先に行くなんてあり得ませんわ! わたくしが前に進みます」


 ……いや、俺とベリアルの意図を理解していないようだ。

 先ほどの落ち込みようとは裏腹にスカートの裾をつまんで歪みに飛び込む雷帝。

 続いてタナトスが飛び込み……俺たちもその後に続く。


「ベルベディシア! 着地したら直ぐ横に移動してくれよ!」

「何ですの? 聴こえませんわ! 何とおっしゃいましたのーー?」

「物凄く落ちてるけど、これ平気なのーー?」

「おい、やっぱ俺たちが先に落ちるべきだったんじゃねえのか?」

「後の祭り……だろ。これで全員で踏み潰そうものなら消炭にされる。対処は考えておこう」


 ぐんぐんと下に落ちて行き……そして案の定とても酷い場所に出た。

 赤い岩山の真上。しかも高い。


「ちょ、まずいですわ! 岩山ごと消炭に……」

「待て! いけ、ベリアル!」

「仕方無えな!」

「わーー、落ちるー」

「お前だけ落としてやろうか……」


 ベリアルは竜と化して俺たちを拾い、ゆっくりと岩山に着地した。

 どうにか無事着地は出来たようだが、雷帝の上をタナトスが踏みつけてるのは言うまでも

ない。


「あなた、いい度胸ですわね。覚悟は出来てますわね?」

「わ、私のせいじゃないよ。ほら見て、凄く良い景色だよ……いや、そうでもないけど」

「景色ですの? つまらないですわ。赤い土が広がってるだけじゃありませんか」

「赤い土……ここはもしかして、ベルータスの根城があった場所、ベレッタ付近か?」

「おいおい、随分昔と変わってやがるがそうみてえだな」

「お前、俺がここに来たときは既に意思があったんだろう?」

「半々ってところだ。あるようで無いような記憶だな。それよりよ……ここはシュバジギ

ス赤火山だぜ。形が随分変わってるが間違いねえ」

「ベレッタ付近なんだろ? それなら竜形態で空飛んでいけばフェルス皇国に行けるよな」

「無茶言うんじゃねえ。危険過ぎるぜ。俺の竜種は死竜種だ。空を飛んでりゃ目立ち過ぎる。

現状何が起こってるか分からねえんだろ? ならまずはよ」

「情報収集か……つまりベレッタを目指すってことだな」

「まぁ、面白い草が生えていますわ」

「本当だね。赤色の草だよ。染めものに使えないかな」


 ……俺とベリアルは至って真剣なのだが、ついて来たこいつらときたら。

 気を取り直し、まずはベルータスの元根城であるベレッタを目指そう。

 

 

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