狩りの成功と女誑し?
前回の更新から四か月……すいません! 遅くなりました!!
ミナトの氷魔法により蛙狩りが大成功!
拠点での食事を終えて片付けと一休みした後、午後も狩りを続行しているとスヴェトラーナさんから引き上げ時だと告げられた。
午前と午後を合わせて討伐したマーシュフロッグは十一匹にも及び、その成果に全員が達成感のある足げな顔で帰りの道を歩いている。
オレ自身も魔法で割と活躍できたし、まとわりつくような湿地林の湿度や苔で滑りやすく歩きにくい道も気にならないくらい気分がいい。
「あんたたちのおかげで一ヵ月分以上の成果はあげれたさね。ほんとに、よくやってくれたよ!」
聞けばギルドと契約している一か月のノルマは達成したらしく、あとは稼げば稼ぐほどパーティーの儲けになるらしい。
「いやいや、こっちとしても始めての場所を案内してもらえたし、報酬上乗せしてもらえたからありがたいくらいですよ」
思った以上の成果ということで、スヴェトラーナさんが追加報酬を約束してくれていた。
ちなみゲームでもそうだけど初見のフィールド程なにが起こるかわかんないところあるし、それがリアルになると怪我の心配もあるわけで。
ベテランに案内してもらって危険も減り、良質な狩場や注意点を教えてもらえたわけだしこちらとしてはメリットしかなくありがたい限りだ。
「シオンは剣技がすごかったね。ランク以上の腕前だったよ」
「ありがと。ミッチェの洞察力や、歩き方なんか勉強になった。また教えてほしい」
「いいよいいよー」
並んで歩く二人は今回の事でかなり仲が良くなったっぽい。
ミッチェさんから獲物の痕跡なんかの見つけ方や、足音を立てない方法なんかを教わったシオンは、今じゃ驚くほど静かな歩き方をしているほど。
「ミレニアの光魔法も助かったけど、解体の腕がとてもいいんだな」
「いやー、照れますねぇ。でもモロックさんに解体のコツを教えてもらったおかげで、すごく上達したと思います!」
向こうでもモロックとミレニアが楽し気だ。
確かに解体の速度もあがったし剥ぎ取り部位の歩留まりもよくなった気がする。
ただ嬉しいのは分かるんだけど、血や脂がしたたる手足やでろんとした内臓を持ってきては『上手にできました!』と見せてくるのは、ちょっと勘弁してほしい。
情けないとは思うけど、そういうのが未だに慣れないんだよね……。
まあその分は荷物持ちや冷凍冷蔵要員として頑張ろうと思う、うん。
それからも皆で話に花を咲かせつつ湿地林を抜け、魔物などの襲撃もなく無事にエルクの町まで辿り着くことが出来た。
早速ギルドへ向かい清算を済ませるために受け付けへ。
笑顔の受付嬢さんにマジックバッグの分もあるので数が多いと伝えると、解体をしている作業場に案内されたので、そこでどんどんと今日の成果を出していく。
スヴェトラーナさん達から袋に入れていたマーシュフロッグの肉や皮を並べていくと、その状態を見た受付嬢さんが驚いた様子で話す。
「え、これ、なんか冷えてません? ほんのり凍っているような……」
「ああ、ミナトの氷の魔法で半凍結? っていうのにしてるんさね。おかげで匂いも抑えられて鮮度も保たれるってもんだから、ありがたい限りさね」
「すごいですね。この状態なら評価が上がると思います」
生肉のままだと温度で痛んだりするし、なにより特有の生臭い臭いが気になったので提案してみた方法だったんだけど、どうやら好評のようだ。
スヴェトラーナさん達の分が終わったので、今度はオレがマジックバッグから肉、内臓、卵、皮なんかを次々と出しては分別して積み上げていく。
文字通り山のように素材別に積み上げ終わり、評価をお願いしようと受付嬢さんの方へ振り向くと、なぜかあんぐりと口を開けて驚いているご様子。
「な、なんですかこの異常な量は!? 珍味の卵まであるなんて……はっ! ミ、ミナトさん! お願いがあるんですが、卵や内臓は痛みやすいので冷やしてもらえませんか!? もちろん評価も上乗せしますので!!」
「え? ま、まあ、そんなんでよければお安い御用ですけど……!?」
ずずずいっと迫ってきた受付嬢さんの熱烈な圧に押され、とりあえず氷魔法の『氷結』にて素材の山を冷やしていく。
その間に受付嬢さんが呼びだした作業員らしき人達がかけつけ、次々と冷やされた素材を奥の倉庫みたいなところに運び込んでいく。
「ほんとにありがとうございます! 内臓や卵は珍味で人気があるんですが、なかなか持って帰ってくれる人もいないうえに常温だとすぐ傷んでしまって。
それにしてもこの量を冷やしきるなんてすごいですね。ミナト様、今度ギルドからこの手の指名依頼をお願いすることがあるかもしれませんが、よろしいですか?」
「えーっと、まあ、このくらいでお役に立てるなら?」
「その時はよろしくお願いします! では私は詳しい査定をしてきますので、終わり次第お呼びして報酬をお渡ししますね!」
わーい、珍味で今夜は飲むぞー! っと、歓喜の声をあげて受付嬢さんは去って行ってしまった。
うんまあ、美味しいものが待っていると思えばやる気が出てくるのはわからないでもない。
「お疲れミナト。あたしらは報酬貰ったら一度ちょいと飲んでからするけど、今夜はマーシュフロッグの珍味が出る筈だしギルドで一緒に夕飯をどうだい?
あんた達のおかげで大分利益が出たんだ、ご馳走するさね」
「ミナト、ここは招待を受けるべき。珍味、食べたい!」
「ミナトさん! 是非受けましょう! あたしも食べたいです!」
食いしん坊ズが即座に反応する。
わかったから、二人とも上目遣いのきらっきらした瞳で腕を絡めないで欲しい。
柔らかいものが当たってるのを感じつつ平静を保つのは辛いもんがあるんだよ……!?
二人を宥めて腕を離してもらいスヴェトラーナさんにご馳走になる旨を伝えると、夕飯時にギルドに集合ということに決まった。
皆でギルドの受付に戻るとスヴェトラーナさん達が先に報酬を受け取り、またねと挨拶を交わして酒場の席へ陣取ってなにやら注文を頼んでいた。
少ししてオレ達も呼ばれたので受付に行き、報酬を貰うとその額は五十万レアという破格の金額だった。
一日で日本円にして大体五百万円……ちょっと、いやけっこう怖い金額だ。
「素材の鮮度及び剥ぎ取りの状態もよかったですし、なによりもミナトさんおかげで高級珍味が大量に仕入れられたのでその評価分も入ってるんです」
私達もおこぼれに預かれるので感謝してます! と笑顔の受付嬢さんから受け取ったずっしりと重い袋を魔法鞄にしまい、スヴェトラーナさん達に軽く手を振りつつギルドを出た。
シオンとミレニアと並んで歩きながら宿を目指す。
リセッテとクーちゃん組と合流して今日の成果や今夜の夕飯の事を伝えないとな。
「今日はご馳走をしてもらえるなんて素晴らしい日ですね!
ミナトさんやシオンさんにパーティーを組んでもらったおかげで生活水準が上がりましたし、もうパンを水でふやかして三日間食いつなぐような生活に戻れそうにありません!」
なんか元気な声で物凄く不憫な生活模様を語られたんだけども!?
「……よくそんな食生活で生き行けたね」
「ええ、どうしようもない時は、ジュディアさんに一発芸を見せておこぼれをもらってましたから…………あれ、なんでだろう? 目から水が」
「ごめんねごめんね!? 今日はそんなこと思い出さずにお腹いっぱい食べていいからね!?」
話しているうちに辛い生活を思い出したらしく、元気な表情から一転して無表情になり、眼の光が消えていくミレニアに焦る。
思わずいたたまれなくなって謝り倒しながらミレニアの頭をあやすように撫でてしまった。
「まあ、パーティーを組んでる限りオレがそんな不憫な生活させないから安心してくれ」
オレより年下の女の子がそんな生活するなんて哀れすぎて心が痛いよ。
「えへへ……ミナトさぁん」
「うわっ!」
甘えた声のミレニアから後ろから抱き着かれて、たたらを踏んでしまう。
あ、まって、そんな脇から腕を回して抱き着ついて背中に頭をこすりつけられるとくすぐったいというか、まって! さりげなくミレニアの両手がオレの胸を揉む形になってて、ちょっとよろしくないと思うんだ!!
振りほどくわけにもいかず胸を揉まれるむず痒い感覚を我慢していると。スッと横に並んできたシオンが自分の胸に押し付けるように腕を絡めてきたんだけど……!?
「ミナトの、女誑し」
「なんで!?」
あるぇ!? どこにそんな要素があったのかな!?
違うんだ―――あああああ、オレの肩に頭を傾けてそんな上目遣でじっと見つめられたら何も言えなくなってしまう男の性が憎い……。
なんかこういう女の子の仕草ってずるくない? というか、二人にこうして密着されて絡まれた時もあったけど、その時もほどくのは無理だったよなぁ……諦めよう。
……まあ、男心的に嬉しくないわけでもないし、わかるよね?
案の定、宿に辿り着くまで二人にくっつかれたままなのだった。
作者も一度でいいからミナトのように両脇を挟まれるロマンを体験してみたいと思ったり思わなかったり。
挟まれると言えば作者の場合は、夏場の満員電車でなぜかその時たまたまラグビー部っぽい集団がいる車両に乗ってしまい、四方をがちむちの兄貴みたいな人達に挟まれたヤな思いでしかありませんが。
次回は月内に更新できるようにがんばりたい所存⊂⌒~⊃。Д。)⊃




