【扉絵あり】プロローグ
少女の真っ白な鎖骨は、俺が吐き出した血で濡れていた。
もうすぐ自分は死ぬ。
視界はボヤけているのに、絶望感だけがはっきりとしている。
銀色の髪が揺れて、甘い香りがした。
こんなに可愛い子に背負われたまま死ねるなら、悪くないだろうか。
にぶった思考のまま、俺は無理やり自分の死に納得しようとする。
まあ、できるわけがない。
少女は小高い丘の上にある祭壇に向かって、一段ずつ階段をのぼっていく。
揺れるたびに、切り裂かれた脇腹がいたんだ。
こんなに大きな傷を負ったのは、仲間を守るために戦ったからだ。
あいつら、無事に逃げられたかな……
俺は精一杯やった……はずだ。
そう思いながら、静かを目を閉じたかった。
ところどころに雑草がはみ出した、石造りの階段をにらむ。
くやしい。
こんな終わり方、みじめ過ぎる。
俺はまだ、何も成していないじゃないか。
丘の頂上に着いたのだろう。
視界が広がり、大理石で作られた白っぽい祭壇が目に入った。
少女はゆっくりと、慎重に俺を寝かせる。
激しい痛みが脇腹から広がり、思わずうめき声がもれた。
傷口のまわりが焼けるように熱い。
苦痛にゆがんだ俺の顔を、心配そうにのぞき込む少女。
「すぐ楽になるから。きっと取り込まちゃうけど、死ぬよりはマシだよね」
そうつぶやいた彼女の声はか細かった。
なんだっていい、生きるチャンスを貰えるのなら。
この身に何が起こっても、後悔はない。
俺は力無くうなずく。
木々のざわめきがピタリと止まった。
とてつもなく大きな存在が、祭壇の真下にいる。
品定めするように、俺をじっと見ているような気がした。
そして、俺の全身に耐え難い痛みが広がった。
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