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短編集

魔王ちゃん練る!

作者: 京 高

配信系の作品に触発されて書いてみました。

が、作者はまともに配信を見たことがないのでおかしなところばかりのはずです。

そういう部分はどうか笑って流してください。お願いします、何でもはしませんから。

「にゃーはっはっはっはっはー!」


 デデーン♪

 という効果音と共に高笑いをしながら画面に現れたのは、イラストっぽさがふんだんに残された幼女だった。大量のフリルやレースが取り付けられた可愛らしさを前面に押し出した衣装をまとっている。


 ただし、普通の幼女とは異なる部分もあった。

 側頭部には羊のような巻き角が、背中には蝙蝠のような皮膜の羽があり、さらに先端が三角になった尻尾が腰の後ろ付近から時折飛び出してきてはフリーダムに動き回っていたのだ。


「にゃーははは!よく来たな人間どもよ!……あれ?なんだっけ?…………あ!こ、ここは『魔王チャンネル』なのじゃ!そしてわらわこそ魔王であるぞよ!ひれ伏すのじゃー!」


 魔王と名乗る幼女の台詞――途中で明らかに手元を確認していた――にコメント欄が加速する。


《まっおうさま!まっおうさま!》

《魔王ちゃん、きちゃー!》

《いや、むしろ魔王たま!》

《フリップを出すやり方ではなく、手元にメモを置いておくタイプなのか》

《うむ。由緒正しき幼女だな。それでこそ魔王だ》

《いや、意味わからん》

《しっ!ロリコ〇は見てみぬふりをするのが一番だぞ!》


 怪しげな言葉が見えたのか、微妙に顔を引きつらせながらも魔王幼女が続ける。


「この放送はわらわが悪事を考えて、それを公表してしまうという恐ろしいものじゃ!ふっふっふ。お前たちを恐怖のズンドコに叩き込んでやるぞ。どうじゃ、怖いじゃろう。泣いて逃げて行ってもいいんじゃぞ?」


《まともな悪事は出てこないパティーン》

《ズンドコスンドコ♪》

《むしろ俺らの悪事に魔王ちゃんが泣いちゃうやつじゃね?》

《幼女を泣かせられると聞いて!》

《また変なのが湧いた……》


「あー!お前たちわらわのいうことを信じていないな!?」


《魔王ちゃん、がんばえー》

《はいはい。悪いことはいけないことなんだよー》


「ぐぬぬぬぬ……。それなら証拠を見せてやるのじゃ!わらわの悪事を知ってお(ピー)っこ漏らしても知らないからな!」


《女の子がピー音出させちゃいけません!》

《幼女のおもら……。ハアハア》

《おいおい、まじもんもやべーやつがいるぞ》


「わらわの考えた悪事!その初めてのえーよあるターゲットとととは!」


《とととはww》

《噛んだw》

《噛んだなww》

《かわいい》


「ええい!うるさいのじゃ!……ターゲットは幼稚園バスじゃ!ふっふっふ。最近の幼稚園バスは動物にしたり、キャラクターにしたりと派手じゃからのう」


《うちの子の通ってる幼稚園のバスはハ〇トリ君だぞ、ニンニン》

《うちの近所のはパ〇マンだな。ちなみに二号だ》

《F先生好きの幼稚園多いな!? というかそこは某猫型ロボットにするべきなのでは?》

《なんで猿やねんw》

《A先生のせぇるすまんとか面白そう》

《どーん!》

《絶対子どもが泣く》

《先生たちの労働環境が別の意味でブラックになりそう……》


「???何の話かよく分からんから話を進めるのじゃ。これを見よ!」


 魔王が指さした先に写されたのは、某機関車シリーズの主人公っぽくされた幼稚園バスの写真だった。


《トー〇スじゃねえか》

《バスが機関車とか、よく考えたらシュールだよな》


「このト〇マスを……、ゴ○ドンに変えてやるのじゃー!!」


《んなっ!?》

《ひいっ!?》

《らめえ!?》

《あばばばばばば……》

《や、やめたげてよう!》


 魔王の言葉を機に、コメント欄は阿鼻叫喚の叫びで埋め尽くされる。


「くくっく。それだけではないぞう。このドラえも〇の幼稚園バスには……、後ろにネズミのカップルをくっつけてやるのじゃ!」


 世界的に有名なネズミをモチーフにしたキャラクター――一応、目の所に黒い線が入れてある――の写真が写し出されていた。


《ちょっ!?それは不味い!いろんな意味で不味いってばよ!!》

《悪事とか言ってる場合じゃなくなるから!》

《 放 送 事 故 ! ! 》

《めでぃっく!めでぃーっく!》

《お巡りさん、この子です!》


「にゃーっはっはっは!これでわらわの恐ろしさがよくわかったであ――」


 プツン。


『この放送は終了しました』



☆★☆彡 ☆★☆彡 ☆★☆彡 ☆★☆彡 ☆★☆彡 ☆★☆彡 ☆★☆彡



 デデーン♪


《はじまた》

《魔王ちゃん、生きてるー?》

《よく再開できたな》


「人間どもよ、よく来たのじゃ。前回は突然終わってしまって済まなかったのじゃ。まさか運営に強制終了させられるとは思ってもいなかったのじゃ……」


《いやいや、それですんだだけでも不思議なくらいだから》

《垢停止か垢バンくらってもおかしくない内容だったもんなあ……》

《某猫型ロボット、某ネズミー、うっ!頭が……》


「そこはまあ、わらわの魔法の力であれやこれやして何とか誤魔化したのじゃ」


《魔法すげー(棒)》

《魔法を使ったのか。それならなら大丈夫だな……ってそんな訳あるか!》

《ノリツッコミもここまでくるとわざとらしいな》

《魔王ちゃん、また始まったってことは、まだ何か悪事を考えてるの?》

《おい、まて!また危険がヤバいことになるぞ!?》


「うむ?悪事か?もちろんいくつかは考えておるぞ。こっかい議員のバッチを学級委員長バッチにすり替えるとか」


《うわあああああ!?……あれ?そんなにヤバくない?》

《ネタとして扱う分には問題なし、か?》

《実行したらとんでもないことになるけどな》

《それは前回も同じだろ》

《いや、前回のは愉快犯とかですむかもしれないが、こっちは多分本格的な罪に問われるぞ。あんな連中でも国民の代表だったり、政府の要人だから》


「なんだか難しい話をしておるのう。心配しなくても本当にやったりはしないから安心するのじゃ。ここはあくまでもわらわの悪事にお前たちが恐れおののく場所じゃからな!」


《確かに恐れおののくことになったよな》

《特に前回は肝が冷えた》

《あまりの恐ろしさにショック死するかと思ったぜ》


「なっはっはっは!そうじゃろうそうじゃろう!」


《あからさまなヨイショがひでえ》

《それに気が付かない魔王ちゃんのドヤ顔ww》

《まともというかえげつない悪事が本当に飛び出してきたこと以外は、予想通りのキャラだよなあ》

《ょぅじょかわいいよょぅじょ》

《また変なのが湧いてる……》


 こうして、コアなファンが付いたことで『魔王チャンネル』は無事に細々と続いていくことになるのだった。



                          おしまい


昨今ニュースに取り上げられている迷惑系の人たちを見ると、配信を強制終了されるなんてあり得ないんじゃないかと思いますが、その点には目をつぶっていただけると幸いです。



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[良い点] 題名が『魔王ちゃん練る!』なのに、魔王ちゃんは変な方向に作戦を練ってしまったみたいですね。 [気になる点] 魔王ちゃんは、コスプレ幼女でしょうか? それとも本物の魔族ですか? [一言] チ…
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