41話 転生うさぎと怪蛇と神狼
小屋から外に出ると、わたしが薄々感じていた疑念が確信に変わりました。
――ああ、やっぱりここは神獣の領域のようですね。
公国以外で広大な領域を使っている場所は人間界ではないはずなので、ほぼ間違いないでしょう。ちなみに、公国の領域ではないことは季節に特化した世界観じゃないことですぐに分かります。
強いて言うならば、夏姫の領域の可能性がありますけど、こんなじめじめした樹海を作るとは思えませんし、魔力もかなり満ちていて魔物も多いようです。明らかに住人に危険が及びそうな場所を作るなんて考えられませんからね。
さて、話を戻しましょう。ここが人間界の領域でないなら残るは神獣の領域です。
人間達が定めた古くから生きている圧倒的な強さを誇る魔物、どうせ人型になれるでしょうから魔人ですかね。
これらを畏怖と一部の信仰が合わさって神獣というカテゴリーに分類されて呼ばれています。人間達が勝手にそう呼んでいるだけなので本人達がどう思っているかは分からないですけどね。
――たしか神獣は五体居るのでしたっけ?公国の近くにも領域があって、ここがそうだと仮定すると、恐らくこの場所はヤマタノオロチの領域ですかね。
ヤマタノオロチは地球では日本神話で有名な怪物です。
最初はその名前と特徴を見て目を疑いましたが、八つの頭を持つ巨大なヘビというのですから間違いは無いでしょう。なぜ日本神話の怪物がこの異世界に居るのかは謎ですけどね。
しかし、怪物とはいえこの世界では神獣です。人間と意思疎通が出来るほどの知性はあるはずなので、出会っていきなりぱくりはないでしょう。ないですよね?
黙って領域を出ることも考えましたが、ここでわたしの治療を待っていたということは襲うことはないはずです。
折角の機会なので会ってみたいですし、わたしを助けた理由も聞いてみたいです。ということで、早速会いに行ってみましょう。
わたしは〈魔力感知〉と〈精密索敵〉を使って周囲を調べながら、魔力の濃い場所に向けて歩みを進めます。
わたしの後ろを弥生達親子がなんの疑念も抱かずについてきます。どこに向かうのかくらい聞いてこないのでしょうか?・・・え?わたしの行くところにはどこへでもついていくから必要ない?・・・好意はありがたいのですが、わたしは結構危険なことをする時がありますので、そういう時にはついてこないように後で言い含める必要がありそうですね。
あ、そうそう。暇で暇で仕方のなかったこのおよそ十日間ですが、その間に冒険者カードからスキルの確認をしました。
いろいろと変わっていたこともあったのでもっと早くに確認して把握していれば、あのSランク冒険者達との戦闘も少しは楽になっていたかもしれません。反省です。でも、恐らく結果は変わらなかったと思いますけどね。
というわけで今のわたしのスキルはこんな感じになります。
【コモンスキル】
〈原初魔法レベル5〉〈危険察知レベル10〉〈気配遮断レベル10〉〈精密索敵レベル2〉〈神足レベル1〉〈空間跳躍レベル1〉〈魔力自動回復レベル4〉〈料理レベル3〉〈舞踊レベル10〉〈槍術レベル10〉〈体術レベル6〉〈柔術レベル2〉〈投擲レベル5〉〈刀剣術レベル3〉〈痛覚遮断レベル1〉
【エクストラスキル】
〈人体変化〉〈魔力返還〉〈魔力体〉〈魔力感知〉〈魔力眼〉〈魔力物質化〉〈魔力操作〉〈並列思考〉
【ユニークスキル】
〈異世界からの来訪者〉〈月の加護〉〈月魔法〉
いくつかのスキルが進化して上位スキルになっていますね。その他のスキルもほとんどが上位手前で止まっています。なにかきっかけがあれば上位に進化出来ると思いますね。
まだオロチの居る場所まで時間がかかるので、その暇つぶしに新しく覚えたスキルの詳細を再確認しますか。
〈神速〉・・・俊足スキルの上位。俊足より行動速度を速めることに補正がかかる。
これは、特に説明はありませんね。身体能力補正系スキルの上位になります。
ただ、〈俊足〉では移動速度だったのが神速では行動速度になりましたので、ただ走る速さだけではなくて、武器を振り回す速さなどにも補正が掛かるようになったみたいですね。
もちろん、速く振り回すとそれだけ扱いが難しくなるので、平行して武器スキルも鍛えないといけませんけどね。
ちなみに、身体能力補正系スキルも任意に入り切りが可能で、常時発動、俗にいうパッシブスキルではありません。
スキルを使う上でデメリットはほぼ無いので常時使っていてもいいのですが、そうすると日常生活が大変になる時もありますからね。主に筋力補正なんかは。
そんなわけで、わたしもそうですが、大体の人が任意で発動にしていると思います。はい次。
〈空間跳躍〉・・・跳躍スキルの上位。跳躍より高く跳ぶことに補正するほか、レベルに応じて空中でもう一度跳ぶことが出来る。
こちらも身体補正系のスキルになりますね。ですが、特殊な能力としてレベルに応じて空中で跳ぶことが出来るようになります。
魔法使いなら風魔法や重力魔法やら他にも様々な方法で飛ぶことが出来ますが、それらが使えなくても空中戦が出来るようになる素晴らしいスキルですね。わたしは魔法で飛べるので必要ないですけど。
〈精密索敵〉・・・索敵スキルの上位。周囲索敵時により詳しい情報を得ることが出来る。また、隠れている生き物を看破する能力が上がる。
こちらは〈索敵〉スキルの上位ですね。基本的に生き物の気配を感知するのが索敵スキルで、その上位であるこの〈精密索敵〉は感知した相手がどのような行動をしているのかまでがぼんやりと分かります。レベルが上がるとこれがよりはっきりとするのでしょうね。
また、〈気配遮断〉系のスキルや〈擬態〉スキルなどを看破する能力も上がります。ま、わたし達魔人の人化は擬態ではなく変身なので見破られませんけどね。
武器系スキルはダンジョンの時やリンナさんとの訓練の時に鍛えましたけど、〈痛覚遮断〉はいつどこで覚えたのでしょうか?
――・・・う~ん?・・・あ!きっとセラさんに聖剣で貫かれた後の数日間ですね!
たしかにあの時に少しだけ痛みが無くなっていきましたけど、あれは死にかけて意識が朦朧としているからだと思っていたらこのスキルの恩恵だったのですね。あまりにも激痛だったので無意識に使ってしまったということなのでしょう。
〈並列思考〉は・・・戦闘中によく考え事をしながら戦うのでそのせいで習得したのでしょうね。これで戦闘中にもっと考え事が出来ますね!
しかし本当に、もっと頻繁にスキルの確認をしたほうが良いですね。この間のようなことは突然起こるものです。その時に十全の力を出すには己の力を理解して使いこなさないといけませんからね。
改めて、これからはもっとスキルを頻繁に確認しようと心に決めていると、樹海の木々から抜けて大きな湖がある場所まで出ました。
――先が見えないほどの広さなのでまるで海のようですね。日本でいうところの琵琶湖のようなものでしょうか?さすがにあそこまで広くないと思いますけど。
わたしが水際まで歩くと卯月と如月が水際で遊び始めました。ここまで魔物に出会わなかったのはこの子達や弥生にあげたお守りのおかげなので(今はわたしもつけています)遠慮なく遊ばせてあげましょう。
「・・・弥生。ここからはわたし一人で行くので、ここで待っていてください」
「かしこまりました。あの方達ならば決して悪いようにはならないと思いますが、ご用心を」
――あの方達?
その言葉に少し引っ掛かりながらも、原初魔法を使って水面の上をすたすたと歩いて湖の中心に向かいます。
――さてさて、鬼が出るか蛇が出るか・・・って蛇が居るのでしたね。
そんなアホなことを脳内で考えながら進んでいくと、遠目に小さな島が見えました。そこに大きな何かが居るのが分かります。
わざわざ死力を上げて確認する必要もないのでわたしはそのままのスピードでゆっくり近づいていきます。
そして小さな島に辿り着くと、その中心に大きな白い大蛇がとぐろを巻いて鎮座していました。
「・・・おや、ヤマタノオロチは八首だと聞いていましたけど、人間の情報も当てにならないですね。・・・いや、この感覚からして分身体のようなものですかね?」
(開口一番随分な奴じゃのう。他に言うべきことがあるであろう?)
この頭の中に声が直接響く感じは・・・念話ですかね?まあ、蛇では言葉を喋るのは無理でしょうし、神獣ならば〈念話〉スキルくらい当然持っていますよね。
「・・・そうですね。これは失礼しました。助けて頂いてありがとうございます。お蔭様でここまで回復出来ました。・・・ヤマタノオロチさんと王都で会った魔人さん」
わたしがオロチの気配の影に隠れているもうひとつの気配に目を向けると、すっと影から白藍色の髪の女性が出てきました。
その目は楽し気に細められていて、鮮やかな蒼色の瞳でわたしを見詰めてきます。
「うふふふ~。まさかバレちゃうなんてねぇ~。前は声を掛けるまで気付かれなかったのにぃ~。折角驚かせようと思ったのになぁ~残念ねぇ~」
相変わらずの、のんびりした口調で女性は口に手を当ててころころと笑います。白い大蛇は呆れた様に首を振りました。
(お主、また人間の街に出向いていたのか?眷族たちの身にもなったらどうだ?)
「あらあらぁ~あの子達ならば領域の維持なんて楽勝だしぃ~。私がどうこうなるなんて夢にも思わないでしょ~?だ~いじょうぶよぉ~」
(そうではない。むしろお主がまた人間界で揉め事を起こさないか心配しておるのじゃ。たびたびやらかしては眷族達が後始末をしておるじゃろう?)
「失礼しちゃうわねぇ~私そんなにしょっちゅう揉め事なんて起こしていないもの~。私の可愛い眷族達だって面倒になんて思っていないわぁ~」
「・・・やっぱり、貴女も人間界でいうところの神獣でしたか」
――というか、定期的に揉め事を起こすって何やっているのですか?
わたしが二人の会話を聞いて、内心呆れて溜息を吐きながら女性に質問すると「もちろんそうよぉ」と澄んだ声で答えが返ってきました。
「私はぁ、北の雪原に領域を持っている雪白狼のフェンリルよぉ~。皆はリルって呼ぶわぁ~」
――こんな、こんな緩い感じの人がフェンリル。世の中ままならないものですね。
ヤマタノオロチがイメージ通りの人だった分、ショックが大きいですね。もう少し威厳のある立ち振る舞いをしてほしいものです。ええ、全く。
(こ奴のことは放っておけ。・・・それで?月兎の魔人よ。この後はどうするのじゃ?)
白い大蛇が舌をチロチロさせてわたしの目の前に顔を寄せてきました。正直丸のみ三秒前みたいな感じで恐ろしいのですが、そんなことはおくびにも出さずにわたしは今後のことを考えます。
「・・・そうですね。とりあえずは、人間界のことはあらかた学んだので、あの子達と暮らせる場所でも探そうかと考えていますよ。・・・人間達はわたしのことは死んだと思っているでしょうから都合も良いですし」
「天使ちゃんに核を砕かれて生きているなんてねぇ~。私も最初に見た時には、なんでまだ生きているのって思ったわよぉ」
「・・・聖剣で貫かれたこともそうですが、何よりも、偽物の魔石をその場に残してきたので、それをわたしの魔石と勘違いしてくれれば、ほぼ間違いなくわたしはあの場で死んだと思うはずです」
(偽物の魔石じゃと?)
わたしが収納からあの時の工作で置いたのと同じ偽物の魔石を取り出します。それを大蛇とフェンリルの女性がまじまじと見てきます。
「確かに~見た目と材質、魔力は魔石とほぼ遜色ないわねぇ~。でもこれ、鑑定されたらバレるわよぉ~?」
(人間界には鑑定の魔術具があるであろう?それを使われたらすぐにバレるぞ?)
「・・・逆に言ってしまうのならば、鑑定さえされなければそうそうバレませんよね?」
「う~ん。そうねぇ。魔物である私達ならぁ、違和感に気付くかもしれないけどぉ、人間達だと難しいかもねぇ~」
「・・・恐らく、わたしの魔石を持っているだろう人は鑑定なんてしないで大事に持っていると思いますので。問題ありません」
「・・・・なるほどねぇ。信頼していたのねぇ~」
信頼していた・・・と過去系にされましたが、わたしは今でもセラさん達のことは信用しています。あの時のことはどうしようもないことだったのだと理解していますから。
偽物の魔石は弥生達へのお守りを作っている時に思い付いた偶然の産物で、まさかこのような形で使う機会が訪れるとは夢にも思いませんでしたけど、念のためにと作っておいて正解でした。
作り方はとても簡単ですが、作るのは結構大変です。魔鉱石を取り込まない程度に自分の魔力で満たしてから魔石の形にして、しばらく月の加護で魔力が回復するのを確認してから切り離して完成です。
魔石の色は本人の魔力の属性と強さで決まっていて、わたしの場合は月属性という特殊な属性なので、淡い金色の魔石で、小さなお月様のようにぼんやりと光っています。
――魔石って死んだ時に出てくるものなので本当にこの色になるのかどうかは分かりませんけどね。
「私にも魔石作れるかしらぁ~。魔鉱石を魔力で染めれば良いのよねぇ~?よぉ~し」
わたしの偽物魔石が気に入ったのか、フェンリルさんが収納から魔鉱石を取り出して背筋がぞわっとするほどの魔力を一気に込めて染め上げました。
――いやいや、手のひらサイズの魔鉱石を一瞬で染め上げるなんてどんな魔力量ですか!?
「あれれぇ~?魔石っぽくならないわ?なんでかしら~?」
(普通に魔鉱石を魔力で染め上げるだけで偽物魔石が作れるならばとっくに知れ渡っておるじゃろうが。して、月兎よ。どのようにして作るのじゃ?)
――あ、オロチさんも作りたいのですね。まぁ、秘密にするほどのことでもないですし、教えましょうか。
わたしが偽物魔石の作り方を教えると、早速一人と一匹が魔鉱石を取り出して挑戦し始めました。
わたしは暇なのでその様子を端に見ながら夕焼けに色に染まっていく空をぼんやりと眺めて時間を潰します。
やがて空が暗くなり始めた頃、オロチさんが大きな頭を横に振ってわたしに顔を向けました。視線を感じたわたしもオロチさんの方を見ると、魔力が染められた魔鉱石がぽつんと置かれています。
(ダメじゃな。妾にも魔力回復のスキルがあるはずなのだが、ちっとも発動せぬ)
「・・・魔力の制御はしているのですよね?」
(うむ。しかし、妾から離れると魔力の回復対象から離れてしまうようじゃ。恐らくはお主のスキルが特殊なのであろう)
「う~~ん~~。そうみたいねぇ~。残念だけどぉ~私達じゃ無理みたい~」
フェンリルさんがとても悲しそうな顔で染め上げた魔鉱石を見詰めています。
わたしはあることを思い付いて二人に提案してみました。
「・・・では、わたしの魔力を少し混ぜてみますか?・・・わたしが作ったお守りは聖樹の魔力を維持したまま、わたしの魔力の特性を持っていましたから、もしかしたらいけるかもしれません。・・・ちょうど月も出てきますし」
「あ~。あのうさぎちゃん達のお守りねぇ~。あれも初めて見た時はびっくりしたわぁ~。でも見せてくれるだけで貸してくれなかったのよねぇ~」
(あの珍妙なお守りもお主の自作だったのか。それにしても面白そうな考えじゃな。早速やってみるのじゃ)
というわけで、わたしが興味津々の二人の魔鉱石に少しだけ魔力を注ぎます。全体の1%にも満たない量ですけど仕方ありませんよね。魔鉱石に魔力を込めるのも大変ですし、何よりわたしの魔力はまだ全然回復していませんからね。
少し待つと夜空に月が出てきました。すると、ほんの僅かにそれぞれの魔鉱石が光りだします。
――成功ですね。あの量の魔力でしかもすぐに制御を外しても効果が出るのですね。
「・・・この調子ならば今晩には綺麗な魔石が出来ると思いますよ」
「そうなのぉ~?わぁ~嬉しい~」
(ほうほう。楽しみじゃな)
「・・・これでお礼になりましたよね?」
わたしとしては命を助けられたわけなのですから、この程度で借りを全て返したとは思えませんが、それでも、あわよくばという気持ちで聞いてみます。
オロチさんが舌をチロチロとさせながら目を細めました。やっぱりダメですかね?
(もとより、其方に借りなどないわ。妾はリルに頼まれてお主をこの領域に置いていたのだからの)
「・・・ということは、わたしはフェンリルさんに借りがあるというわけですか?」
「そういうことになるわねぇ~。うふふ~。オロチも私がなんでわざわざ出向いてこの子を助けたのか分かってきたかしらぁ~?」
(やはりそのつもりじゃったか。・・・でも確かに、これほどの素養を持つ者はそうはおらんじゃろうなぁ。それに、久方ぶりに面白そうじゃ。妾も協力しようぞ)
「うふふ~♪これで話はまとまったわねぇ~。後でフェニにも協力を仰いでみようかしらぁ~」
「・・・あの、何をやらせる気ですか?」
なんだか話が不穏な感じでまとまっているような気がして、二人に声を掛けると、それはもうニコニコとした顔でフェンリルさんがわたしを見てきました。嫌な予感しかしません。
「警戒する必要はないわよぉ~?そうそう。私への借りの話だったわよねぇ~?」
「・・・え、えぇ、そうですね」
「私への借りはぁ~・・・・・・月兎ちゃんが神獣になることで返してもらうわぁ!」
「・・・・・・・・・・・・はい?」
――何ですって?わたしが、神獣に?なる?
「と、いうことでぇ~。魔力がある程度回復したらぁ~私達で協力して集中強化訓練よぉ~!」
(安心せい。妾が手綱を握っておるから、お主達の命に危険が及ぶようなことはせん。それに、お主はもうほとんどの段階をクリアしておる故に神獣になるまでにそう時間もかからぬよ)
「・・・はぁ。・・・いえ、そういうことでは無くてですね」
(何か問題があるのか?こう言ってはなんだが、妾達の力を借りて進化出来る機会などそうそう無いとおもうぞ?)
「・・・いえ、それはそうなのですが。・・・そもそも、神獣って人間達に勝手に呼称されているものでしょう?なりたくてなれるものでもないと思うのですが?」
わたしの言葉に勝手に盛り上がっていた二人が動きを止めました。そして、二人で目を合わせると小さく溜息を吐きます。
――え?わたし何か間違っていること言いましたか?
「その辺りの話もぉ~追々教えるわねぇ~。とりあえずは~貴方の神獣化計画は実行よ~」
「・・・はぁ。分かりました。お手柔らかにお願いします?」
なんだかよく分かりませんが、わたしはこの日から神獣に進化するべく、神獣の二人から指導を受けることになりました。
――いや、ほんとに訳が分からないです。でも、神獣二人に逆らうことなんて出来ないですし、仕方ないですよね?
夜空に姿を現した満月が困惑するわたしを煌々と照らしていました。




