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最強を目指して  作者: 風舞 氷菓
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第5話 格上との戦い

 ……もう…ストックは…尽きたぜ………。

 受付嬢の始まりの合図と共に、ガンドは大剣を振りかぶって近付いてくる。


「こういう決闘には、不慮の事故ってのが付き物だよなあぁ!!」


 ガンドは醜悪な笑みに顔を歪めていた。どうやら不慮の事故として、殺す気まんまんのようだ。観客も、みんなそれを望むかのように満面の笑みだ。


 本当にクソ野郎しかいない。


 つくづくシンヤはそう思う。

 怒りで思考が止まりそうになるが、何とか抑える。迫ってくる大剣に意識をやった。


 火炎剣を抜き放ち、受け流す準備をする。受け止めようとすれば、腕がガンドの力に耐えられずに、一環の終わりだろう。

 迫り来る大剣をしっかりと見切り、受け流しに専念する。


 振りかぶられた大剣の腹に剣を合わせ、自分より横に進行方向をずらす。思いの外力が強く、手が痺れるが何とか耐え、腕、腰、足と体全体を使い、衝撃を緩和させながらガンドの大剣を横にずらした。


 シンヤの右側に、あと一歩と行ったところでガンドの大剣が床に突き刺さった。予想とは違った感覚にガンドは驚き、間抜け面を晒す。

 シンヤはその隙を逃さず、反撃に移った。

 MPを2消費し、剣に熱を持たせる。モンスター――魔物を狩っている最中に分かった事だが、火炎剣は込める魔力量によって炎の熱量が変わると言うものだ。

 たかがMPを2込めた位では、大した熱量は持たない。しかし、剣身自体に炎でなく熱を持たせる事で、熱量は飛躍的に効率化が進む。


 魔力の動かし方は簡単だ。アーツを発動させる事で、自動的に動く何かを感じればいい。それを意識を持って動かせば良いのだ。

 剣に込める魔力の込め方を工夫すれば、熱だけを持たせることも難しくはない。


―――


魔力操作LV1を獲得しました。


―――


 シンヤは赤くなった剣身を見ながら、ガンドの首目掛けて斬りかかる。

 ガンドは剣が床に突き刺さった事を理解出来ず、呆けていたが、自分に剣が迫っている事を知り、急いで獲物から手を放してバックステップをする事で距離を取った。


「な、なかなかやるじゃ――」


 ガンドが何か言おうとするが、その最中にもシンヤは離された距離を急いで詰める。

 頭の中で呪文を唱え、【斬】を発動させながら距離を詰めたガンドに向かい、真っ黒に染まった剣で頭に向けて横薙に剣を振るう。


「ひいぃ!!」


 ガンドは何とか尻もちを付いて避けたが、シンヤは追撃の付きを放とうとする。


「こ、降参だあッ!!」


 ぎりぎりで言い放ったガンドのセリフに、シンヤは突きの軌道を変えてガンドの顔の横を通り過ぎた。

 ガンドの顔は恐怖に染まっており、シンヤによって放たれた【斬】を纏う突きで、頬には赤い線が一本刻まれている。


「…え!?あ、そこまで!!」


 ギルド内は静まり返り、状況を理解した受付嬢が決闘の終了を告げた。


「さてガンド、約束の賭け金。忘れたとは言わせないぞ」


 ガンドも事の重大さを理解し、これからの事に顔を青褪めていた。

 シンヤは床に突き刺さった大剣に手を触れると、ストレージに収納した。大剣は青い光となって消えていく。


「まずは大剣からだ。あと防具や金も出して貰おうか」


 そう告げるとガンドは悲鳴を上げながら、ギルドを後にして行った。

 シンヤは受付嬢に向き直り、フードで唯一隠れていない口を笑顔に歪ませ、こう告げた。


「ギルドは賭け金の回収、手伝ってくれるんだよな?」


 受付嬢は、顔を引きつらせる事しかできなかった。






◇◇◇






「やべえぞアイツ!新人潰しのガンドを倒しやがった!!」

「ガンドってCランクだろ!?」

「大剣をしまったスキルってアイテムボックスか!?」


 ギルド内に居た冒険者たちがざわつく。どうやら驚愕から意識が復帰したようだ。


 シンヤは現在、受付で冒険者登録をしている。受付嬢の顔は、引きつったままだが。


 「で、ではこちらの用紙に必要事項をお書きください。代筆は必要でしょうか?」

「いや、結構だ」


 ユニークスキル【言語理解】の効果で、文字や会話に支障はない。

 用紙には、名前や年齢、種族、戦闘スタイルや使える魔法の属性など書く項目があったが、必須なのは名前と年齢、種族だけのようだ。


 さらさらっと書いて、そのまま提出する。


「これでよろしいのですか?戦闘スタイルや魔法属性を書かない場合、パーティーを組む際苦労しますよ?」

「ソロでやるつもりだから構わない」

「そ、そうですか……」


 受付嬢が困惑しているが、知らぬ顔をしているシンヤ。


 シンヤにはガチャがある以上、戦闘スタイルや使える魔法属性は直ぐに増えるだろうし、ならば元から持っていたという設定にした方が、後々楽だろうと思ったからだ。

 それにガチャは特異な能力でもある。パーティーを組んで、誰かから情報が漏れ出る危険性があるより、一人でずっと居た方が良い。それに動きやすくもある。


「それでは、冒険者の説明を致します。

 まずランクについてですが、上から順にS、A、B、C、D、E、Fとなっています。依頼の難易度と、その達成度によって冒険者のランクが上がります。シンヤさんは一番下のFランクからのスタートになります。上を目指して頑張って下さいね。

 次に依頼ですが、難易度によってランクが設定されます。自分のランクの一つ上の依頼までしか受ける事が出来ないので、良くランクはご確認下さい。

 最後に、冒険者は全て自己責任となっております。ギルドは一切の責任を負いません。

 以上が冒険者の説明となります」


 シンヤは小さく頷く。


「では、これが冒険者のギルドカードになります。お受け取り下さい」


 そう言うと、灰色の金属プレートを渡して来た。

 そこには、先程用紙に書き込んだ情報が書き込まれている。これで晴れてシンヤは、冒険者となった。






 ポイント評価、ブックマーク登録よろしくお願いします。

 またストックが出来るまで暫く投稿しないと思われる。それに夏休みの宿題の仕上げもあるので。

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