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Groundzeroへ続く物語
—グロル共和国—
—首都内特別教導区—
—『教会』管理物件No.7—
ヒュンッという音がした。
反射的に物陰に身を潜める。
耳元を矢が掠め、後ろの壁に穴が空く。
目の前の通路は曲がり角。後ろには誰もいない。
ヒュンッ。
また、矢が飛んでくる。
壁に刺さった矢の向きを見る。
目の前から飛んできたはず。
しかし、建物の間取りからして、矢の軌道でも曲げない限り、刺さらない角度だ。
警戒をしながら、相手の魔法を考察する。
おそらく、相手は矢に干渉して、軌道を曲げたか、気体に干渉して、矢の通り道を作ったか。
相手のレートからして、俺にマーキングして、矢を誘導できるとは考えにくい。
ならば、こちらの位置を特定するための何かがあるはずだ。
周囲を注意深く見渡す。
しかし、どんなに眼を凝らしても、その何かは見付からない。
ヒュンッ。
このままでは、じり貧だ。何か、打開する方法は無いのかッ。
此処にいても、建物の地形を生かせているのは、彼方。
いずれは負けるだろう。
一先ず、後ろへ逃げるため、曲がり角と自分の真下に向かって、催涙煙幕を張る。
そして、後ろへ駆け出そうとした瞬間、