詩「新しい夜」Ⅰ・Ⅱ
詩「新しい夜 Ⅰ」
私は生きていた
それを知っている
私は骨を数えることができた
遥か昔に彼らが形を還したことを知っている
見上げると月を見ていた
風は通り抜けていく
それで十分
国道にはまだ友達が名を無くさず街灯の柱を掴み
私は彼らに対して
呼び掛けて受けとる
月は未だに居座り
その声は幻想で
その幻想をこの身体が顕す
それでよい
何物にも触れ
それを型どる余命というものは
退屈にもかかわらず
素敵な遊戯である
詩「新しい夜 Ⅱ」
心臓に任せている
押し寄せてくる昔の映像はきのうのことで
それがあるから自分の弱さや苦しさになっている
逃れるのは簡単なこと
しかしそれは刻印された言葉やあの視線に向き合うこと
なぜなら諦める使命は
いつの間にか染み付いてきたもので
死とは心臓の停止
記憶は肉体とともに火葬され
この感情や欲情はまた神秘に還るのか
それとも星だけの知る世界に預かるのか
それまでの道のりはくたくたになるだけでよいのかもしれない
可笑しなことと感じても
なにか特別な迎合に話を合わせて
頷いて粗末という言葉を焼き付かせるのが精一杯のようで
ある種の人々は人間と相容れなくなるようで
但し全てを包めるのがこの意識溢れる庭で
存分に違うものと交わればよい