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詩集  作者: 蓮井 遼
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詩「記憶の傷」


詩「記憶の傷」



時々、人には

彼や彼女にしか分かり合えない

消えた傷痕を抱えている

人となりは

その空虚や嘆きや眼差しによって

物語ることから始めた

懲らしめたのは悪意だろうか

善意だったろうか

躾けたのは

愛することを取り上げたのではなかったか

ファニーとアレクサンドルに例える

厳格な教育は

監督自身の傷痕を作った

なぜなら親もまた

愛情によって取り返せないほど

子を痛みつけることがあるから


仁とはつまり

関係の逃れえぬさだめである

なぜ、彼は彼女が嫌いだったのだろうか

その感情故に平然と傷つけることを躊躇わなかったのだろう

そんな彼がなぜ誰かを好きになるだろうか

誰かは好きになり嫌いになるというのは

通常のことであろう


謝りと赦しは

もはや関係ではなく

個々に降りかかるのである

物語の進行は

消えた傷痕を持つが故に

分岐し完結されるのだろう

必ずしも状況だけとは限らないが

それぞれに置かれる今が

心細く確かにとどまり

尊重されるのだろう


自然の中にいる人が

人の中にもいて

移動に応えるのも人はまた

人でしかない





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