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詩「銀色の鏡台に」
詩「銀色の鏡台に」
極北の雪に覆われた大地で
太陽がゆらゆらと
白い威勢を放ち
曲線に沿って跳ね回る
凍てつかせるところへ
太陽とは生きるに必要な眩暈を
生き残れるかは誰次第でもなく
脅威からの逃走
頭に悩まされるほど美しいのなら
僅かな悲しみのようなもの
誰が気丈だとて
己との重ね合わせに一瞬
怖れこそが幾つもの通路への発見だと
なぜ書き残せるのだろうか
己の証言 そんなものは
誰に言うというのだろうか
その場所に立ち気づくことがある
だがどうしてその場所から
無事に生還できたと言えるのだろうか
置かれるところは見るほどわからなくなる